丹沢の山並みで新幹線の車窓から一番目立っているのは大山と思えるが、その三角錐の形をした端正な大山を一度は登ってみたいと考えていた。その大山を登る機会が訪れたのは2021年8月に入ってのことで、厚木市に仕事で来たことを幸いにして、休日を利用することにした。泊まっていたのは小田急本厚木駅の駅前だったので、大山ケーブル行きのバス便が出ている伊勢原駅は僅か二駅先だった。向かったのは1日の日曜日のこと。真夏のことでもあり、大山を易しく登ろうと大山ケーブルカーを利用することにした。その大山ケーブルの始発時間は9時だったので、それに乗ろうと本厚木駅を7時半の電車に乗って伊勢原駅に下りると、何と北口4番のバス停には何十人ものハイカーがバス待ちをしていた。快晴の日曜日と言うことで少しはハイカーを見ると思っていたのだが、その大勢の人を見て大山の人気の程が良く分かった。何とか7時45分発のバスに乗れて、終点の大山ケーブルバス停で降車とした。降車後は前方を歩くハイカーの背中を追って歩いた。こま参道に入ると、坂道に並ぶ商店街の中を通って行くのだが、何とも昭和の香りがする商店街だった。そしてバス停から14分で大山ケーブル駅に着いた。この時間帯にケーブルカーを利用する人は少ないのか、ケーブルカーを待つ人は少なかった。往復切符(1120円)を買うと、改札待ちの先頭に立つことにもなって、おかげで混雑も無く9時発のケーブルカーに乗り込んだ。終点の阿夫利神社駅で降りるとそこは標高700mで、数分歩いた先が大山阿夫利神社下社だった。その本殿の左手より大山の登山道が始まっていた。その登山コースについては多くのガイドブックで紹介されていることでもあり、この日のハイキングの様子は下の写真帳でご覧いただきたい。本坂コースである登山道に入ると常にハイカーを前後に見ながらの登りとなった。登山道の道幅は広く、抜くにしても抜かれるにしても、またすれ違うにしても余裕があった。道も古からの道として自然さがあった。その登山道をひたすら登って行くのだが、蒸し暑い夏場の登山ためすぐに大汗となり歩度が鈍ってきた。そのため休み休みの登りだった。その下社からのコースには丁目の標柱が点々と立っていた。そして下社登山口から85分でヤビツ峠からのコースが合流した。そこは標高1174m地点だった。更に300mほど歩いて山頂到着となった。大汗をかいての到着だった。山頂には大山阿夫利神社の本社が建っていることもあって、少し手前から参道を歩く雰囲気となっていた。また山頂には茶屋も建っており、そこで冷たい飲み物や軽食がとれるようになっていた。残念だったのは空模様で、下社では快晴の空だったのだが、山頂に着いたときはガス雲が上空に広がっていた。周囲にうっすらガスの漂うこともあった。ただ休むうちにはガスは薄れて青空の広がることもあり、濃いガスでは無かった。ガスが薄れたときは麓の風景が眺められた。一見さほど広くない山頂に見えたが、あちらこちらに休める所があって、大勢のハイカーが来ても分散出来るようになっていた。それでも山名標識のそばで休憩とした。山頂で50分ほど休むと下山に移った。大山は下社から周回で歩ける山で、下山は見晴台に通じるコースに入った。始め階段や木道歩きが続いたが、途中で自然な山道歩きとなった。こちらも前後にハイカーを見ながらだった。この下山ではすぐにガス帯を抜け出ることになり、木々の空いた所が現れるとそこからは麓の風景が眺められた。下るうちに尾根は緩やかとなり、山頂から1時間で見晴台に着いた。そこは広く平らになっており、ベンチが多くあるだけでなく東屋も建っていた。展望台の名があるものの、麓の見える範囲は広くなく、下山途中で見えた風景とあまり変わらなかった。ただ展望台の名はそこから大山が見えることを指しているようで、山頂はすっきりと見えていた。その山頂はやはりガスがかかったり消えたりを繰り返していた。その展望台から下社へと戻るのだが、そのコースはトラバース道で、遊歩道と呼べそうな良く整備された道だった。途中には二重滝があり、休憩ポイントになっていた。トラバース道は最後は下社手前の広場の位置で往路に合流した。そこからは再度下社に出て境内を散策する考えもあったが、すぐ近くに阿夫利神社駅があるので、すっかり汗まみれになっていたことでもあり、すんなりケーブルに乗り込むことにした。駅に着いてみると、ケーブルカーが発車する直前だった。そこですぐにケーブルカーに乗り込んだ。ケーブルカーを降りて商店街を抜けると、今度は伊勢原駅行きのバスが待っていた。そのバスにもすぐに乗り込んだ。おかげで14時半には本厚木駅に戻って来ることが出来、ホテルに入るとすぐにシャワーを浴びたのは言うまでもない。大山が人気の山であることが良く分かったこの日だが、とにかく大汗をかいた大山登山だった。
(2021/10記) |