◆ TAJI&HM の 兵庫の山めぐり <日光の山> ★ | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
日光白根山 (奥白根山) | 2578m | 日光市(栃木県) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
にっこうしらねさん | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
1/2.5万地図 : 男体山 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
【2006年5月】 | 2006-33(TAJI&HM) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
男体山より 2006 / 5 |
深田久弥氏の「日本百名山」では白根山と名の付く山が二つ選ばれており、志賀高原のそばにある白根山は草津白根山として、男体山の西に聳える白根山は奥白根山の名で紹介している。ただ奥白根山はもう少し分かり易いように、最近の表記では草津白根山と同様に地名を付けて、日光白根山と呼んでいることが多いようである。草津白根山は同じくらいの高さのピークが幾つか並ぶ穏やかな山容を見せるが、奥白根山は標高が2500mを越えており、北関東以北では最も高い山とか。写真で見るとその山容はがっしりとしており、いかにも山全体が溶岩が盛り上がって出来ていると言った様で、その高さに見合う堂々たる姿をしている。この奥白根山の登山適期は6月から10月とされており、秋の紅葉期がもっとも美しいとのことだったが、遠くに住むこちらとしては、その登山適期に合わせて登るのはなかなか難しいことである。比較的休暇を取り易いのは五月連休となるが、この季節はまだまだ雪の多いことが予想され、よほどの好天が期待されない限りは二の足を踏むことになる。しかし天気さえ良ければ春の雪は締まって登り易いものなので、易しいコースを選べば、雪山と言えども難しいことでは無いとは言えそうだった。 2006年5月連休の山行は、日光周辺の山を目指すことにした。まず登ることを決めたのは男体山で、男体山以外は奥白根山を含めて幾つかの候補を考えていたが、はっきりとは決めていなかった。姫路を離れたのは5月3日の午後のこと。名神でこそ数十キロの渋滞に巻をき込まれたが、北陸道は空いておりスムーズに車を走らせた。その日は五月晴れで、視界も申し分無く澄んでいた。その天気の落ち着き具合を見て、明日の4日も同様の好天になると確信した。そこで、雪山であっても奥白根山を目指そうと、4日の山を漸く決めた。そこで途中のSAに止まってガイドブック(アルペンガイド7奥日光)を開き、登山コースも菅沼新道コースと決めた。関越道に入ったのは23時過ぎ、そして大和PAに入って仮眠とした。すぐに寝込んでしまい、目が覚めると辺りは未明の薄明るさが漂い出していた。5時間ばかり寝ていたようだった。すぐに出発とする。新潟県の山間部を走るため、薄明の中に見える風景は、まだまだ雪の多く残る風景で、田畑も雪に隠れていた。山々も冬姿で越後三山は真っ白だった。まだ3月と言ってもおかしくない風景だったが、桜の木だけが季節を感じさせるように満開だった。奥白根山の雪の多さを想像しながら車を走らせた。その雪も関越トンネルを越すとぐっと減り、沼田ICを降りたときは、街には雪のかけらも見られなかった。時間は6時前になっていた。コンビニで軽く朝食をとり、後は国道120号線をひたすら走って日光の山を目指した。片品村の中心部を過ぎて山岳地帯に入ると、さすがに雪が現れて来た。高度が上がるほどに雪は増え、山もすっかり白くなってきた。菅沼地区に入って登山口に注意しながら走っていたのだが、左手に見えた菅沼に気をとられて通過してしまい、金精トンネルに来て通り過ぎたことに気が付いた。あわてて引き返し、菅沼新道登山口を探した。登山口の駐車場に着いたのは7時15分のこと。既に5台ほどの車が止まっており、出発するグループも見られた。登山コースの方向を見ると、駐車場の先からいきなり1メートルを越す積雪だった。そこで最初からアイゼンを履いて歩き出すことにした。上空は澄んだ青空が広がっており、雪面はまぶしく光っていた。その雪面にはトレースがはっきりと付いていたので、歩くのは至って楽だった。雪はザラメ雪で、朝の時間とあってよく締まっていた。始めは林の中を歩き、程なく谷間の上り坂となった。雪面に点々と大きな石があるのは、雪解けで斜面を転がって来たものであろう。その落石への注意をしながら歩を進めた。やがて斜度が大きくなってきたが、アイゼンが気持ち良くきいて、けっこう気楽に登って行けた。始めこそ樹林に囲まれて展望は無かったが、登るほどに後ろの方向となる北の方向に白い山並みが現れてきた。真っ青な空にくっきりと稜線が現れていた。急坂を登りきって座禅山の東面側に出たときは、歩き始めてから1時間以上経っていた。一帯は平坦になっており、そこに出て奥白根山がいきなりと言った感じで現れた。雪をまとったその姿は、間近なだけに写真で見る以上の圧倒的な迫力だった。ただその辺りよりトレースが追い難くなった。そのまま南へと向かえば奥白根山は近いと思えたが、トレースは南東方向に続いているようであり、ガイドブックで確認すると、弥陀ヶ池のそばから方向を変えるとなっている。その池が見えなかったため、トレースのままにどんどん下って行くと、やがてトレースは判然としなくなった。そして大ぶりな池のそばに出た。湖面はすっかり凍って白くなっていた。その大きさから五色沼のようだった。どうやら弥陀ヶ池は雪で見落としたようだった。そしてその位置でコースから外れたと思えた。戻っても良かったが、山はすっかり雪に覆われており、どこでも歩けそうだった。そこで登山コースに向かって近くの急斜面を山頂から北東に延びる尾根に向かって登ることにした。同じ考えの登山者がいたのか、細々と雪面に足跡が見られた。その足跡を追うように森の中へと入った。森を抜けると雪で覆われた急斜面登りとなった。ただ気温の上がったことで雪の表面は溶け出しており、足跡は見えなくなった。尾根に向かって斜めに登って行くが、見た目よりも斜度があり、ひたすらアイゼンのツメが頼りだった。登るほどに足元に五色沼の風景が広がり、背後の山並みが現れて来た。気温も10℃ほどになっており、汗が背中に広がって来た。もう喘ぎながらの登りだったが、やがて尾根が近づいて来た。その尾根に着いてみると雪は付いておらず、かえって歩き難くなった。そこで岩場に近づく頃まで雪面を歩くことにした。そして岩場の手前で登山コースに向かった。北東尾根の東面側を登っていたのだが、尾根を越して北面側に出ると、間近に雪面に続くトレースが見えた。登山コースのようだった。登って来たルートとは数十メートルしか離れていなかった。少し大回りをしたが、これで一安心だった。今度はトレースのある雪面歩きである。気分的には楽になったが、斜度はきつく、一歩一歩踏みしめての登りだった。その登山コースに出てからは北の展望が良く、白い山並みが広がっていた。その中で比較的近くにあって鋭い姿で目を惹く山は、どうやら尾瀬の燧ヶ岳と思われた。コースは岩場の間を通るようになって一段と斜度を増したが、そこを乗り切ると北尾根に出た。もう山頂は間近で、尾根は陽当たりが良いのかほとんど雪は付いていなかった。そこでアイゼンを脱いで山頂へと向かった。それまで登山者はスタート直後に数人を抜いたときに出会っただけで、以後はずっと会っていなかったのだが、山頂が見えて来ると、数人が立っているのを見た。そして数分も登れば、もう山頂だった。途中でコースを外したものの、2時間半での山頂到着だった。その山頂で目にしたのは360度の遮るものの無い素晴らしい眺望だった。空はどこまでも澄んでおり、山の稜線はくっきりと見えていた。そして山頂一帯にはほとんど雪は無く、また風も無く陽射しは穏やかだった。文句なしの展望に文句なしの天気、そして登山者は数人いるだけでひたすら静かだった。もうすっかりこの状況に満足して、ただただ周囲の展望を眺めていた。北の山並みはコース途中で見えていたよりも一段と広く眺められ、尾瀬の山の奥に白い山がどこまでも並んでいる。南の方向でずんぐりとした姿は皇海山であろう。そして東の方向に目を向けると、山上から見える山で最も迫力ある山が座っていた。それが明日登る予定の男体山だった。この男体山は女峰山、大真名子山、太郎山などと一連の山並みを作っているのだが、男体山の存在感は圧倒的だった。この贅沢な眺めは想像以上のもので、山頂をあちらこちらと色々動いて飽かずに眺めていた。その山頂にいたのは1時間あまり。その間に登って来る人は数人程度で、下りる人もいたため、広い山頂は相変わらずひっそりとしていた。陽当たりの良い所で軽い昼食もとって十分にのんびり過ごした後で下山に移った。下山は菅沼新道コースをすんなり戻ることにした。但しコースを外れないことを十分に心がけて慎重に下った。下りとなるとアイゼンは急斜面でいっそう威力を発揮したのだが、その下りで数人の中高年グループとすれ違った。見ると軽アイゼンも付けずに登っていた。昼どきとなって雪の表面は溶けて滑り易くなっており、何とも無茶に思えた。ともかく急斜面を滑らないように慎重に足を下ろした。その急斜面を下りきると、程なく弥陀ヶ池のそばに出た。雪を被って湖面が分かり辛くなっていた。分かっておれば外すこともなかったと思えたが、二つのコースを歩けたと考えることにした。それにしても相変わらずの好天で、ほとんど雲は見られない。今少し山頂にいても良かったのではとの思いを抱きながら、登山口へと下って行った。下山を終えたときは、まだ13時前だった。2時間とかからず戻れたようだった。その後は中善寺湖畔へと金精トンネルを越えて行ったが、湖畔に着く前に湯元温泉でこの日の登山の汗を流した。 (2006/5記)(2011/5改訂)(2023/8写真改訂) |
<登山日> | 2006年5月4日 | 7:23スタート/8:40展望地/8:55〜9:03五色沼/10:05〜11:17山頂/12:56エンド。 | |
(天気) | 快晴。真っ青な空が広がる。空気は澄んでおり、風景がくっきりと見えていた。気温は朝方は3℃だったが、山上では10℃近くまで上がって来た。風はほとんど無く、陽射しを浴びていると、十分な暖かさだった。終日、この好天が続いた。 | ||
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