2023年に北アルプスの燕岳を登ろうとの計画を立てたとき、その帰路で信州の低山を一つ登ろうと考えた。コースタイムが短く山頂展望の楽しめる山の条件で検索すると、一番の候補に挙がってきたのが高鳥谷山だった。
燕岳に向かったのは9月に入った最初の日だった。快晴に恵まれて澄みきった山頂展望を楽しめた。そして翌2日は下山で、燕山荘を7時前に出ると、中房温泉には10時前には下りてきて、バスを待っても12時前にはJR穂高駅に戻って来た。そうなると午後がすっかり空くことになった。そこで予定を変更して3日に登る予定だった高鳥谷山をこの日のうちに登ってしまうことにした。安曇野ICから伊那ICまで高速道を走って、高鳥谷山の西麓、高鳥谷神社の駐車場に着いたのは14時前だった。ちょうど下山してきたグループに登山時間を聞くと、やはり1時間で登れたとのことだった。始めは緩やかな参道歩きだった。道幅はたっぷりある上に階段にもなっており、いかにも参道と言った趣があった。入口の鳥居から高鳥谷神社まで8分だった。高鳥谷神社から先もはっきりとした登山道が真っ直ぐ山頂方向に続いていた。その登山道が林道と交差すると、そこに入山禁止の標識が立っていた。どうやら高鳥谷山はまったけ山のようだったが、標識には入山禁止期間が書かれていなかった。その先は登山道を囲んで幅広のビニールヒモがずっと続いていた。どうも登山道以外には入らないようにとの注意と思えて、そのまま登山を続けることにした。登山道はやや急坂の所や表土が削られて歩き難くなっている所があったが、概ね無理なく登って行けた。途中で「覺順霊神」と彫られた石碑を見ることがあり、山頂が近づいて左手から林道に繋がるコースが合流した。その先で登山道が二手に分かれると、早く山頂に着こうと直進コースを進んだ。そして高鳥谷神社から50分で山頂到着となった。そこは広く開けており小さな祠が置かれていた。それが高鳥谷神社の奥宮のようだった。ベンチとテーブルもあり、そして何よりも展望が素晴らしかった。西に向かっての展望で中央アルプスが全く遮るものも無く眺められた。その予想以上の展望には目を瞠らすばかりだった。但し午後も3時になっており、稜線の多くは雲に隠されていた。東は南アルプスが見えるとのことだったが、そちらは木々の隙間からで、しかも中央アルプス以上に雲が湧いておりほぼ見えなかった。その東の方向に林道が見えていた。地図を見るとそちらの方向に三角点記号が付いていた。そこは小さなピークで、奥宮の位置とほぼ同じ高さだった。林道に下りるとGPSを見ながら東へと100mほど歩いて三角点のそばに出た。GPSを見ると左手のピークが三角点の位置だった。斜面を登ってピークに出ると、そこは樹林に囲まれており、その一隅に三等三角点(点名・火山)を見た。三角点を確認したことで奥宮に引き返すことにした。良く見ると奥宮までは林道とは別に尾根道があり、それを辿るとたやすく奥宮に戻ってきた。今一度西の展望を楽しむと下山に移った。下山はもう一つの緩やかな道に入った。それを数分下ると往路コースに合流することになり、後は登山口まで往路コースをひたすら辿った。下り坂となって登っているときよりも歩き難さを感じたが、易しいコースに変わりなかった。淡々と休まず下ると、40分で登山口に戻ることになった。高鳥谷山は気楽な登山を楽しめる山と言えそうだった。ところで高鳥谷山は国土地理院の地図では「高烏谷山」と「鳥」では無く「烏」の字が使われていたが、現地では神社名も標識も「鳥」の字が使われていた。
(2023/9記) |