TAJIHM の 兵庫の山めぐり <福井県の山
 
野坂岳    のさかだけ 913.3m 敦賀市(福井県)
 
1/2.5万地図 : 敦賀
 
【2011年5月】 2011-49(TAJI&HM)
 
   敦賀市萩野町より  2011 / 5

 敦賀市の市街地から南西を見ると、ごく近い位置にどっしりとした山容の山が眺められる。それが野坂岳で、国道27号線で敦賀市を通過するときは、その姿を間近で眺められることになる。別名、敦賀富士と呼ばれるだけに、独立峰として端正な姿をしている。
 2011年の5月連休は少し足を痛めていたこともあって、遠征登山は遠慮していたが、ずっと日帰り圏内の山ばかり登っているのもどうかと思えて、急な思い付きで一泊二日の山行をすることにした。距離的に手頃なのが若狭の山で、連休中と言えども交通渋滞に巻き込まれずに行けそうなのも良かった。連休に入ってからの計画だったが、敦賀にはホテルが多くあるので、宿もすんなりと決まって、出発したのは5月3日の憲法記念日だった。朝をゆっくりしてしまい、自宅を離れたのは8時を回ってからになった。そのため国道27号線の旗護山トンネルを抜けて敦賀市の市街地に近づいたときは、11時半に近い時間になっていた。登山口として「野坂いこいの森キャンプ場」を考えていたのだが、そこまでの道順が意外と分かりかった。そこで地図を見ずに前方に見えている野坂岳に向かって適当に走って行くと、偶然に粟野駅の前に出た。そこからは標識も現れて、登山口まではスムーズだった。キャンプ場はファミリーで賑わっていたが、登山口の前まで車を進めると、そばの駐車スペースに偶然1台分の余裕があり、車はすんなりと止められた。予定では11時頃には登り出しておきたかったのだが、もう12時が近づこうとしていた。そこでスタート前に昼食を先に済ませることにした。そのためハイキングのスタートは更に遅れて12時を過ぎてしまった。そのハイキングコースだが、野坂岳は有名山だけに登山コースは良く整備されており、ガイドブックの「福井県の山」を開く必要も無く、ごくスムーズに登って行けた。遊歩道歩きで始まり、それが自然な山道となっても道幅は十分で、歩き易い登山道だった。登るうちに下山してくるハイカーとすれ違うようになった。単独者、二人連れ、ファミリー、グループと何人もの人とすれ違ったが、やはり連休中とあって登る人は多かったようである。登山道の周囲は始め植林地であったが、次第に新緑を始めたばかりの雑木林に変わってきた。またヤマザクラやタムシバが花を付けており、それを見ながらの登りだった。なかなか展望が現れなかったが、栃ノ木地蔵の水場を過ぎる頃より漸く北に向かって展望が現れ、敦賀の市街地が眺められるようになった。但しこの日の視界は前日の黄砂の影響が続いているようで、ひどいの一言だった。市街地はたいして離れていないのだが、何となく分かる程度の見え方だった。その先の敦賀湾になると、ほとんど判然としていなかった。程なくジグザグに登って行く七曲坂があり、別コースが合流すると山頂まであと2kmとなった。行者岩のそばを過ぎて程なく一の岳に着いた。そこは小さな祠がありベンチも置かれて休憩ポイントになっていたが、歩き易い登山道ということもあって休まず進んで行った。もうその辺りは新緑から遠い風景で、どの木立もまだ裸木の姿だった。ただ自然林の尾根となっており、その佇まいは優しかった。二の岳を過ぎると、ときおり残雪を道そばに見るようになった。木立もブナが増えてきた。もう登山者とすれ違うことは少なくなっており、静けさの中を登って行く。三ノ岳を過ぎるともう山頂は近かった。避難小屋が現れると、目と鼻の先が山頂だった。昼はさぞかし賑やかだったと思われる山頂も、もう13時半を過ぎているとあって、一隅に小さな子供を連れた若い夫婦を見るだけだった。その山頂は広く平らになっており、地表は芝に覆われていた。中央に立派な方位盤があり、少し離れて一等三角点が埋まっていた。そして360度の眺望が広がっていた。ひどいモヤに展望は期待していなかったのだが、敦賀湾の方向を除くと、周囲の山並みはぼんやりと言うことも無く見えていた。その山頂で佇むうちに強い風が吹いてきた。それを潮時とするかのように若いファミリーは下山したので、後はパートナーと二人きりとなった。まだ下山する気は無かったが、やはり風は冷たいとあって一時的に避難小屋に入ることにした。その小屋は手頃な広さで、片隅に野坂岳権現が安置されていた。そして壁には山頂からの展望写真が飾られていた。それを見ておおよその山の位置を頭に刻んだ後、再び山頂に立った。風は少し弱まっており、寒さはあまり感じ無かった。そして展望だが、着いたときよりはいくぶん良くなっているようだった。強い風に黄砂は少し吹き飛ばされたのかも知れない。近くに見えるのは雲谷山や庄部谷山のようだった。そして西方向には先ほどは見えていなかった久須夜ヶ岳がごくうっすらとながら分かるようになっていた。敦賀湾も海の色が少し分かるまでになっていた。その視界が良くなったことで、結局山頂では一時間ばかり過ごすことになった。下山は登ってきた道を引き返すのみ。その下山ではこちらと同じように午後の山頂を楽しむためか、二人のハイカーとすれ違った。再び新緑が見られ出すと、その様を眺めたり、路傍の草花を眺めたりとゆっくりと歩いたのだが、登山口に戻ってきたのは16時前とまだ夕方とも言えない時間だった。午後からの登山であり、山頂でも十分にゆっくりしていたのもかかわらず、それでもってこの時間に下山出来るのだから、どうも野坂岳は半日で楽しむのが相応しい山ではと思ってしまった。
(2011/6記)(2021/8改訂)
<登山日> 2011年5月3日 12:05スタート/12:43山頂まで2km地点/13:02一の岳/13:24二の岳/13:33三の岳/13:39〜14:44山頂/15:25山頂まで2km地点/15:37栃ノ木地蔵/15:57エンド。
(天気) 薄晴れから薄曇りの空。黄砂の影響とのことで、近くの風景もぼんやりとしていた。スタート時の気温は16℃。風は無く、登山としては適温と言えた。山頂に着いたときはほぼ曇り空で、気温は14℃まで下がっていた。風が強くなってきて、少し肌寒さを感じた。ただ風のおかげで山頂に立つ間に視界はいくぶん良くなって、鶴が湾が見えるまでになってきた。また近くの山並みも、意外と見えていると言えるまでになった。下山を終えたときは薄曇り程度だった。
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 キャンプ場にある登
 山口に着く 登山コ
 ースはコンクリート
 舗装で始まっていた

    周囲の木々は新緑が始
    まったばかりだった
      
周囲の木々が人工林に変わってきた ときおり水の流れが登山道を横切った 新緑となったタムシバを見る
   
タムシバの花を大きく見る 見頃は過ぎている
のか変色を始めていた
登山道には石が多く見られたが、緩い坂道とあ
って登り易いと言えた
敦賀湾の方向に展望が現れたが、ひどいモヤの
視界に敦賀湾は判然としていなかった
    
40分ほど登って、山頂まで2kmとなる 足下にミヤマカタバミをよく見かけるようにな
った
登るほどに木々は新緑から遠ざかってきた
    
行者岩を見る その先に西方ヶ岳が望めた 一の岳に着くと、そこに祠を見た イワウチワを見る
     
前方に山頂が望めるようになった エンレイソウを見る 振り返ると一の岳と西方ヶ岳が重なっていた
    
木立はすっかり裸木の姿だった 二の岳を通る 残雪が登山道のそばに見られるようになった
    
木の根が地表を這っていた ブナに覆われた三ノ岳を過ぎる 山頂手前には避難小屋が建っていた
    
山頂は広く平らになっており、芝地になっていた その中央に方位盤が立っていた 山頂の一角に一等三角点を見る
     

 山頂からは360度
 の展望が広がってい
 たまずは南から西に
 かけてを眺める
    
上の写真の庄部谷山の尾根を少し大きく見る 三重嶽の辺りを大きく見る
    

 北東から南東にかけ
 てを広く眺める
     
横山岳を大きく見る 岩籠山の後方に金糞岳をうっすら見る 伊吹山を大きく見る
    

 強い風が吹いたおか
 げで次第に敦賀湾が
 はっきり見えてきた
    
矢筈山の後方に久須夜ヶ岳が見えるまでになった 山頂ではカタクリがちらほら咲いていた 下山は登ってきたコースを引き返す
    
ブナの大木のそばを通る 下るうちに新緑を付けた木立を見るようになった 満開のマメザクラを見る
    
新緑色の山肌を見る 敦賀湾が往路のときよりもはっきり見えていた 下山では栃ノ木地蔵の水場で一休みする
   
水場のそばの栃ノ木地蔵を見る ニリンソウはまだ花を付けていなかった 登山口が近づく頃、先に下りた家族に追いついた