TAJIHM の 兵庫の山めぐり <岐阜県の山 
  郡上市・美濃市
(岐阜県)
片知山    かたちやま 966.0m
1/2.5万地図 : 苅安
 
【2006年9月】 2006-69(TAJI)
 
   南麓の奥板山集落より  2006 / 9

 岐阜県の郡上市と美濃市が接する辺りは1000m前後の山並みが続いており、一帯は古くから高賀信仰と呼ばれる山岳信仰で栄えた所で知られている。そのためか登山道の整備された山が幾つか見られ、名古屋近郊とあって訪れる人の多い山域の一つになっている。
 その高賀信仰の山の一つである片知山を目指したのは2006年9月のことだった。この日は台風13号が九州の西の沖合を北上中で、その影響もあってか東海地方の空は、朝からすっかり曇り空になっていた。そして午後には雨になるとの予報だった。そこで奥深い山は敬遠して、名古屋市に近くまた登山時間も少なそうな山はないかと探して、この片知山に決めたものである。まずは東海北陸自動車道で美濃ICへと向かった。奥美濃の山並みこそ雲に隠されていたが、美濃市近郊の空は雲が低くたれ込めているという風では無く、山並みはまずまず見えていた。片知山への登山ルートは幾つかあるようだったが、この日は片知山のみを登る予定だったため、片知山登山の主ルートである南麓の口板山集落からのコースを考えていた。その口板山集落に入ると車は板山神社のそばにあった空き地に駐車とした。板山神社のそばから始まる道は集落を抜けて片知山の方向に真っ直ぐ続いていた。その道がこの日のコースで、いわゆる神底谷沿いを歩く予定だった。その道を歩き出すと、集落を抜けた辺りで土道となり、程なくか細くなって沢沿いに続くようになった。ただその山道で間違いは無いと歩き出したものの、片知山の名を道沿いに見かけることは無かった。周囲は植林が多く、ごく普通に山に入ったと言う雰囲気だった。山道は進むほどに更に細くなり、沢が枯れ出す頃には不確かになってきた。この道で良かったのかと不安になり出したが、道らしき所を進んでいくと、程なく「片知山」の標識が現れた。漸く一安心だった。後はその標識に従うのみ。なぜか標識が現れてから急にコースがはっきりとし出した。そして道は沢筋を離れてつづら折れの道となり斜面を登るようになった。周囲は自然林となり、山道は笹原の中を続いていた。道そばには点々と石仏も見られ、山岳信仰として歩かれてきた山だったことを窺わせる風景だった。先ほどまでの沢沿いの道とは大違いだった。そこまで来てガイドブックを見ると、そのつづら折れの道は「三十三曲り」と呼んでいるようだった。尾根が近づいた所で岩屋観音堂に出会った。大岩に抱かれるようにひっそりと佇んでおり、そこに立っていた標柱から、内部には十一面観音薬師如来像があるようだった。その観音堂を過ぎると尾根を登るようになり、いっそうはっきりとした道となった。そして急坂で続いた。谷筋を歩いているときは当然展望は無かったが、尾根登りとなっても周囲の樹林は自然林だったり植林だったりするものの、樹林が厚く尾根を覆っており、展望が開けることは無かった。そのままの雰囲気でとうとう山頂に着いてしまった。その山頂はと言うと、少し平らに開けているものの、南はススキの雑草地が広がり、他の方向も樹林が囲んで展望は悪かった。ところでこの片知山を選んだ理由の一つに、間近にある瓢ヶ岳を山頂から眺められるのではとの希望があったのだが、ほんの一部も覗けなかった。これでは片知山に登ったのに何一つ展望を得ずに下山することになるので、これでは少々寂しいと思い、そこで展望を求めて尾根道を今少し瓢ヶ岳の方向に辿ってみることにした。片知山から少し下るだけで、後はさほどの高低差も無く尾根は続いており、その尾根には笹に覆われてはいるものの細々と小径が続いていた。少し歩けば多少は展望は現れるのではと見ていたのだが、尾根の周囲の木々は切れること無く続いていた。そして30分ほど歩いて南岳との中間点辺りと思われる一つのピークに達したとき、それ以上進むことを諦めた。そこまでの展望はと言えば、西向かいの尾根が木の間からちらりと見えるだけだった。引き返すことにしたものの、まだ木に登っての展望は諦めておらず、登れそうな木はないかと周りを見ながら戻っていると、片知山に近づいた辺りで手頃なモミの木を見つけた。そしてさっそく登ってみた。およそ6,7mほど登ると、周りの木立が切れて一気に展望が広がった。そして見えたのはどっしりとした大ぶりの山だった。北の方向と言い距離感と言い、もうそれが瓢ヶ岳だと確信され、いきなりの出会いに少々感動する思いだった。そして揺れるモミの木に掴まりながら、その姿を脳裏に焼き付けた。もう後は下山するのみ。北側から片知山へと戻って行くと、片知山の登りにかかる鞍部に着いたとき、西へと下る道を見た。その小径で下山することにした。急坂下りだったが、片知渓谷林道へと続いていた。その近道で林道に下り着くと、後は渓谷沿いの舗装された林道を歩いて口板山集落へと戻って行った。
(2006/10記)(2014/4改訂)(2022/2写真改訂)
<登山日> 2006年9月17日 8:52板山神社そばをスタート/10:04岩屋観音堂/10:35〜55山頂/11:35南岳との中間点辺りを最遠地として引き返す/12:04稜線を離れて下山へ/片知渓谷に下り着く/13:45エンド。
(天気) 曇り空。麓の気温は23℃。山上に出る頃よりときおり陽射しが現れるようになった。気温は20℃ほどとなり涼しさを感じた。視界は少しモヤがかっている程度だった。下山頃より雲の厚みが増して、薄暗くなってきた。
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片知山へは、板山神社の横の道から歩き始めた 口板山集落を抜けて、片知山を目指す 山道は神底谷に沿って続いていた
はっきりと小径と言えそうな所もあった 斜面を登るようになって石仏を見るようになった 参道と言ってよい雰囲気となった
岩屋観音堂を過ぎた 尾根へと近づいた 緑が濃かった 尾根に着くと、尾根は笹に覆われていた
笹の中を尾根道は続いた 周囲を樹林が囲むため、展望は得られなかった 片知山の山頂に着いた そこは小さく開けているだけで、周囲は樹林が取り巻いていた 山頂から南の方向を見るも、そちらはススキの薮になっていた
南岳の方向に向かうと、今淵ヶ岳が望めるようになった もっと展望を得たく木に登ってみると、瓢ヶ岳も望まれた
引き返して片知山に近づいたとき、西へと片知渓谷の方向へと続く登山道を見た その登山道に入った 下山の尾根からも木の間越しだったが、瓢ヶ岳が望まれた 片知渓谷林道に出ると、後は林道を歩いて口板山集落へと戻って行った