TAJIHM の 兵庫の山めぐり <愛知県の山 
 
明神山    みょうじんやま 1016.3m 新城市・東栄町(愛知県)
 
1/2.5万地図 : 三河本郷
 
【2006年11月】 2006-81(TAJI)
 
   乳岩より  2006 / 11

 兵庫で明神山と言えば、姫路市夢前町の神種にあって東の肩に小明神を持つ端正な姿を思い浮かべるが、全国的となると、どうも奥三河の明神山の方が知名度が高いようで、インターネットで検索すると、奥三河の山の記事の方を多く見かける。その奥三河の明神山も実は二つあって、一つは設楽町平山の北にあり、もう一つは新城市(旧・鳳来町)の北、東栄町との境にある。設楽町側は平山明神山と呼ばれており、新城市側はそれと対比して三ツ瀬明神山と呼ばれることもあるようだが、単に明神山と言えば新城市の方を指すようである。その奥三河の明神山を知ったのは1994年発行の「こんなに楽しい愛知の山100山」で、その巻頭写真が明神山だった。その姿はピラミダルで、奥三河の主峰として紹介されていた。それ以来興味を持っていたのだが、東海地方では有名であっても、兵庫からわざわざ登りに行こうと思うまでの関心は無かった。ところが2006年は後半の半年ほど名古屋に滞在することになり、そこで機会が有れば奥三河の山も訪ねてみたいと考えた。その奥三河の山の第一候補として明神山がまず思い浮かんだ。
 実現したのは11月に入って最初の日曜日となる5日の日で、その日は朝から快晴だった。ただその前の週から好天が続いていたため空は濁っており、東名高速道から見る三河の山並みは薄ぼんやりとしていた。豊川ICを下りて、後は国道151号線をひたすら北へと走って行く。奥三河の入口の山と言っても、登山口のある乳岩峡入口まではインターチェンジから1時間以上かかった。その登山口前の駐車場に着くと、そこは30台以上の車が既に止まっており、満車状態だった。しかも地元のナンバーはほとんど見えず、全国から来ていた。まるで百名山に来たかのようなその様子にちょっと驚かされたが、どうもよく分からなかった。ただ周りを見ると一組のハイカーを見かけるだけで、ひっそりとしていた。いぶかしく思いながら登山口を離れて、乳岩川沿いの小径を歩き始めた。好天とあって朝の空気は少し冷たさを感じさせた。コースはよく整備されており、程良い登り易さで続いていた。軽快なハイキングだった。最初のポイントが乳岩で、その乳岩に近づくと乳岩が朝の光に包まれて圧倒的な大きさで見えていた。その乳岩との分岐点では、当然明神山へと向かって行く。その先も軽快な登りを続けて行くと、前方から賑やかな声が聞こえて来た。その声へと近づくと、そこは一帯に巨岩や岩壁が幾つもあって、大勢の人が岩登りを楽しんでいた。どうやらこれが駐車場が満車状態になっていた理由のようだった。明神山はハイキングよりもロッククライミングで全国的に有名なようだった。その鬼岩を過ぎるとまたひっそりとして、マイペース登山に戻った。鬼岩から一登りした所が一服岩で、そこから方向は北東となり少し尾根歩きのようになった。左手に岩肌を見せたピークが見えたので、それが山頂かと一瞬思ったが、さほど高くも無かったので前衛のピークのようだった。気温は少し低めだったが、それがハイキングにはちょうど良かった。おまけに登山道はよく踏まれて歩き易いとあって、一服岩を過ぎてから少しずつピッチが上がって来た。程なく明神山で一番のがんばり所と言えそうな「胸突き八丁」の急坂が始まった。そこも勢いのまま途中休むことも無く一気に登りきると、その先ははっきりとした山稜となっていた。歩く方向は北となり、山頂へと真っ直ぐ向かうことになった。尾根はけっこうやせ尾根で、三ツ瀬からのコースが合流するとハシゴやクサリ場も現れたが、そこも勢いのままに通過する。ひと息ついたのは馬の背岩で、漸くの展望場所だった。前方に山頂が見えており、その左手には鳳来湖が望まれた。その馬の背岩だが、岩場の雰囲気としては雪彦山の岩場に似ているように思われた。そこを過ぎるとまた急尾根となり、休まず登って行くといきなりの感じで山頂の展望台が現れた。今少し登りが続くものと思っていただけに、呆気ない感じもした。明神山は三河の山の中でも登り堪えのある山と聞いていたのだが、道がはっきりしているだけにけっこう早足で登れてしまい、また途中に展望場所が少ないこともあって歩くことに専念して途中休まなかったこともあり、山頂まで2時間少々で登っていた。今少しじっくりと登っても良かったのではと思いながら、鋼鉄製の立派な展望台の最上階に上がった。そこは南の方角こそ木々に遮られていたが、すっきりとした展望が広がっていた。どの山も初めて見る山ばかりで、新鮮な風景だった。ただ残念なのはモヤの強い視界で、風景は薄ぼんやりとしており、遠方は判然としていなかった。くっりきとした山頂展望を期待していたのだが、こればかりは仕方がないことだった。それでも暫しの間、三河の山並みに目を楽しませた。山頂で20分ばかりを過ごすと下山に向かった。下山は往路を戻った。この下山は急坂もあってゆっくり歩くことを心がけたが、下り坂でもありまた道が歩き易いとあって、往路と変わらぬ時間で乳岩分岐まで戻って来た。その分岐点で時計を見るとまだ13時を回ったばかりだった。乳岩は乳岩峡と共に新城市の観光名所で、明神山は登山の対象だが、乳岩への道はハイキングコースとして整備されていた。時間も十分にあることでもあり、どのような所かの興味もあって立ち寄ることにした。明神山の経路では往復で数人しか会わなかったが、こちらはハイキングコースとあって、前方に歩く人あり、また下りて来る人ありと、けっこう賑わっていた。巨岩を巡るハイキングコースで、歩く時間も短く済むとあって、家族連れのハイカーを多く見かけた。その乳岩巡りでうれしかったのはその山上から明神山が望まれたことで、両翼を形良く延ばした姿は名山の風格があった。ところで乳岩のハイキングコースは一周出来るようになっていたのだが、崩壊があってか一部が通行禁止になっていた。その様子を見ようと周回コースを歩いてみると、なるほど巨大な岩がコースを塞いでおり、通れそうもなかった。その間近まで迫ってみると、どうやら人一人分は通れることが分かり、無事に通過することが出来た。ただ通った後に振り返ってみると、やはり通行禁止にしておくのが無難かと思われた。ともかく、この日は明神山のスポーツ登山が楽しめ、乳岩ハイキングも楽しめて、秋の好日を一日たっぶりと山で過ごせたのはうれしかった。
(2007/2記)(2010/3改訂)(2022/10写真改訂)
<登山日> 2006年11月5日 9:01スタート/9:31一服岩/9:57鬼岩/10:05鬼岩乗越/10:40六合目/11:09〜32山頂/12:00六合目/12:32鬼岩/12:52一服岩/13:07乳岩分岐/13:21乳岩遊歩道の最高点/13:48乳岩分岐点/14:03エンド。
(天気) 晴れ。好天続きで、空は濁っていた。気温は高めで、スタート時は11℃、山頂で16℃。風は無く、ちょうど過ごし易かった。視界は近くの山こそまずまず見えていたが、遠くの山はかすんで見えなかった。
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登山口駐車場は満車状態で何人ものザックを見た 乳岩川沿いを歩き始める 沢に架かる橋を渡った
登山道はひっそりとしていた 鉄階段を登って行く 丸太の階段を登る ごく気楽に登って行けた 最初の休憩ポイントは、この「一服岩」だった
見上げるばかりの大岩が点々と現れた 見上げるばかりの大岩が点々と現れた ここは鬼岩で、何とも迫力のある岩場だった
鬼岩乗越に着いた 木々を通して北向かいの尾根が見えていた 歩くうちにその北向かいの尾根が明るく眺められるようになった 木の根が這う所を通った
(←)
胸突八丁は急坂の
連続で、岩場には
クサリがかけられ
ていた

(→)
 馬の背岩は好展望
 地だった その前
 方に明神山の山頂
 を見る

(←)
馬の背岩より西の
方向を見ると、鳳
来湖が望めた

 (→)
  山頂が目前となっ
  てきた
最後の登りでは、尾根の色付きを楽しんだ いきなりの感じで山頂の展望台が現れた 山頂展望台は鋼鉄製の立派なものだった

展望台の最上階に
上がると、西から
北にかけての山並
みを眺めた
上の写真に写る大鈴山を大きく見る 展望台より東を望む 南アルプスはすっかりモヤの中だった
鞍掛山を大きく見る 御殿山を大きく見る 下山は同じ道を辿った まずは急坂の下りだった
馬の背岩まで戻ってきたとき、山頂を振り返った 植林を通して鬼岩を見る 乳岩川へと戻って行く
この下山では乳岩へ行くべく、遊歩道に入った 乳岩を見上げながら遊歩道を登った 乳岩を間近で眺めた
遊歩道は暫く鉄製の階段が続いた 乳岩の間から明神山を望む 岩のアーチを通して、明神山の山頂を眺めた
乳岩からの下りは岩の間を抜けて行く この下りでも鉄階段が続いた メインコースに戻って乳岩を振り返った