◆ TAJI&HM の 兵庫の山めぐり <鈴鹿の山> ★ | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
雨乞岳 あまごいだけ | 1237.7m | 甲賀市(滋賀県) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
1/2.5万地図 : 御在所山 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
【2006年9月】 | 2006-66(TAJI&HM) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
東雨乞岳より雨乞岳を見る 2006 / 9 |
鈴鹿山脈の主脈は伊勢平野の間近にあって、御在所岳を中心に南北に長く延びているが、その中心部より西に少し離れてこの雨乞岳は佇んでいる。伊勢平野から見る主脈上の山々は御在所岳、鎌ヶ岳が代表するように、岩峰鋭い姿を山麓から見せており、実に堂々としている。それに比べると雨乞岳は僅かに山頂部を覗かせるだけだが、主脈上から見るその姿は、鈴鹿の山ではこの山が一番大きいのではと思わせるボリューム感たっぷりの山容で魅了してくれる。 2006年の夏から暫く名古屋に滞在していたが、8月の東海の空はなかなかすっきりとした晴れを見せてくれなかった。それが9月に入った途端、まだ残暑の季節なのに、急に秋めいた空を見せて来た。その空が続くことを願っていると、3日の日曜日は願いが届いたのか、朝から澄んだ空が広がっていた。その空を見てぜひ登りたくなったのが雨乞岳だった。鈴鹿の山では一度は訪れたい山だったが、展望の山でもあることから晴れの日にこそと考えていたものである。名古屋からとなると、当然、東名阪道を走ることになるが、朝の空に鈴鹿の山並みがこれ以上はないと思えるほどくっきりと見えていた。朝早く名古屋を離れたため、鈴鹿スカイラインを走って武平トンネルを越えたときは、まだ9時には十分に時間があった。この日、参考にしたガイド本は、「名古屋周辺の山200」で、そこに紹介されているコースは稲ヶ谷を登るコースだった。そこで滋賀県側に入って登山口のある稲ヶ谷橋を捜したのだが、通り過ぎたのか野洲川ダムの近くまで来てしまった。そこで武平トンネルまで戻って改めて捜したが、やはり見つからない。これを数度繰り返しているうちに9時を回ってしまった。快晴の日にいつまでもムダな時間を過ごすわけにもいかず、結局は一番ポピュラーな武平トンネルの西口から始まる登山コースを歩くことにした。但し、地図もガイド本も無しで、案内標識だけを頼りにして登山をすることになった。この時間になると、武平トンネル西口の駐車場はほぼ満車状態になっていた。ただここを起点とする登山者は御在所岳や鎌ヶ岳に向かっているようで、雨乞岳を目指す人は少ないように思えた。素早く準備を済ませたが、登山口を歩き始めたときは9時半を過ぎていた。登山口付近はススキが繁茂して道が隠れ気味になっており、メインルートとしては意外な感じを持ったが、すぐに歩き易い道に変わった。これで安心と気楽に進んで行ったところ、程なく道は不確かになって来た。周囲は薄暗い植林が見えるのみである。方向も北に向かっており、これはおかしいと思って引き返すと、案の定、正規ルートは途中で北西方向に分かれていた。これでは先が思いやられると、慎重の上にも慎重を期して進んで行った。案内標識が少ない上、少し笹が茂っていたりトラバース道になったり、また小さな尾根を越したりと登山道は決して分かり易いとは言えなかったが、ひたすら登山道に神経を集中していたおかげで、無事に愛知川分岐まで着くことが出来た。ここで登山道はコクイ谷から来た道と合流すると、後は北西方向にクラ谷沿いの道を登って行くことになる。このクラ谷コースとなって道ははっきりとして、枝道に迷い込みそうな感じは無くなった。辺りは深い樹林帯で落ちつきがあり、山中に浸っている感があって良い雰囲気で登って行けた。やがて沢を離れて自然林の広がる山肌の登りとなると、木々は光りに包まれて一段と良い雰囲気となった。その雰囲気のまま七人山のコルに着き尾根歩きに変わった。そしてその先で急に視界が開けた。自然林を抜け出して、笹原の広がる風景となったのである。青い空の下に雨乞岳へと続く尾根が、これまた蒼々と見えていた。ただ陽射しの中に出て来ただけに急に暑さも感じた。その笹の中の尾根歩きは、登るほどに笹の丈が高くなって来た。程なくその笹で登山道はすっぽりと包み込まれたようになり、笹のトンネルを歩いている風になった。トンネルだけに風が通らず、一段と暑さを感じての登りでこれが少々長く続いた。東雨乞岳の山上が近づいて、いつまで続くのかと思い出した頃に突然のように抜け出した。また低い笹が広がる中の登りとなり、振り返ると鎌ヶ岳がすっきりと見えていた。前方は青空が広がるのみで、その空を見ながら登ると、程なく東雨乞岳の山頂に着いた。そこは笹原の中に地肌が平らに広く現れており、視界を遮るものは無かった。そして360度の眺望が広がっていた。真っ先に目に飛び込んで来たのは尾根続きとなる雨乞岳の姿で、写真で見たままの両翼をゆったりと広げた姿は、写真以上の美しさだった。翻るとそちらは御在所岳、鎌ヶ岳を中心に、鈴鹿の主脈が総て見えていた。それまでの疲れをすっかり忘れさせる風景だった。また山頂は陽射しを遮る木々が無いため、暑い季節も寒い季節も少々厳しい所ではと思われたが、この日はひたすら涼しい風が吹いておりこれ以上は無いと思える快さだった。この東雨乞岳の快さにすぐには雨乞岳を目指す気持ちにはなれず昼どきになっていたことでもあり、この東雨乞岳で昼休憩をとることにした。40分ほどの休憩の後、漸く腰を上げて雨乞岳に向かった。その雨乞岳まではひたすら笹原の道を歩いて行くことになる。見る限りは実にのどかそうで気楽に見えていたが、歩き出してみると笹が覆い被さる所もあって、見た目ほど優しい道でもなかった。ただ10分ほどの道のりで、あっさりと雨乞岳山頂に着いた。その山頂は少々灌木が茂っており、展望は東雨乞岳よりはやや劣ってはいたが、綿向山が間近に見えるなど、こちらはこちらで展望を楽しむことが出来た。そして東雨乞岳と雨乞岳の両方の山頂に立ってこそ雨乞岳を味わえたと思え、最初に考えていた稲ヶ谷コースを登らなくて結果として良かったのではと思えた。その雨乞岳の山頂は休憩するほどの広さはなかったので、10分ほどで切り上げて再び東雨乞岳へ展望を楽しみに戻って行った。 この日の雨乞岳登山は落ち着いた沢コース、自然林の美しい林間コース、笹のトンネル、山頂の笹原、そして大展望と実に変化に富んでおり、大満足の思いで往路を辿って帰路についた。 (2007/10記)(2022/8改訂) |
<登山日> | 2006年9月3日 | 9:32スタート/10:38愛知川分岐/11:32七人山のコル/11:57〜12:41東雨乞岳/12:51〜13:00雨乞岳/13:12〜17東雨乞岳/13:36七人山のコル/14:40愛知川分岐/15:03エンド。 | |
(天気) | 朝の空は快晴、雲はほとんど無し。澄んだ青空が広がっていた。気温は21℃で涼しさあり。その後、少し雲が増えて来るも、快晴には変わり無し。山上に出ると、気温は24℃まで上がるが、涼しい風があって、爽やかそのもの。好天は終日続いた。 | ||
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