TAJIHM の 兵庫の山めぐり <鈴鹿の山
 
御池岳    おいけだけ 1247m
東近江市(滋賀県)
鈴北岳    すずきただけ 1182m
 多賀町・東近江市(滋賀県)/いなべ市(三重県)
 
1/2.5万地図 : 篠立 
 
【2008年4月】 2008-42(TAJI&HM)
 
   《御池岳》 鈴北岳より  2008 / 4 《鈴北岳》 御池岳の近くから  2008 / 4

 鈴鹿山脈の最高峰が山脈の北部にあるこの御池岳で、地図を眺めると御池岳の近くにも奥ノ平と呼ばれる1241mのピークがあり、鈴北岳を含めて一帯は準平原と呼べそうななだらかな地形になっている。その地形は別名、テーブルランドとも呼ばれているようである。この御池岳を姫路からの日帰りで楽しむことにした。目指したのは2008年4月の最終土曜日で、天気予報は晴れとなっていたものの午後は曇りが予想されたため、午前を主体の登山を計画した。
 26日の土曜日は早起きを心がけたこともあって4時前に目覚めてしまい、4時には自宅を離れることが出来た。未明の高速道は空いており、山陽道、中国道、名神道と順調に走って、7時前には彦根ICを下りてしまった。目的の駐車地点は国道306号線の鞍掛トンネル東口にある駐車場だった。7時半前と早い時間に着いたにもかかわらず、既に7、8台の車が止まっていた。そこを起点に御池岳、鈴北岳を巡るコースは鈴鹿山脈の入門コースとしてよく紹介されているだけに人気があるようだった。駐車場は鞍掛登山口になっていたが、そこは下山での終点位置として、往路の登山口としてはコグルミ谷登山口を考えていた。そこまでは国道306号線を歩いて行くことになる。車道は緩やかな下り坂だったので歩くことは問題は無かったが、この国道は幹線道路なのか大型トラックがよく走っており前後に注意が必要だった。20分ほど歩いてコグルミ谷登山口に着いて一安心となった。そこからは薄暗さのある谷沿いの小径を登って行く。空は薄黒い雲が広がって青空は少なかったが、雲の流れは速く雲の合間からときおり陽が射してきた。登山道はごく細い道だったが、よく踏まれており傾斜も適度で歩き易いと言えた。この日の登山では新緑を少しは期待していたのだが、漸く枝先に若葉が小さく芽を出した状態で、華やかな新緑は5月に入ってからになりそうだった。その小さな若葉も登るほどに見られなくなり、有名なオオイタヤメイゲツの群落もまだまだ冬枯れの姿だった。その風景の中にバイケイソウだけがまだ小さいながらも明るい緑の葉を広げていた。それが登るほどに増えて来た。少し薄暗さのある雰囲気が変わったのは六合目のカタクリ峠に着いてからで、そこからは尾根歩きとなって陽射しが周囲を良く照らすようになった。裸木の林も明るさに包まれおり、バイケイソウの緑がいっそう鮮やかだった。尾根歩きとなって道幅は広がり、それが緩やかなまま続いた。尾根はまだ春に遠い姿だったが、そこにときおり真っ白なタムシバの花が目に付いた。自然林の風景の中をそのまま歩いて行くものと思っていると岩場が現れて、そこを過ぎた所が九合目だった。そこより登山道の方向は南西方向へ折れて、少し傾斜が増して来た。登山道の上までバイケイソウが見られて、それを踏まないように登って行った。そして山上台地に出た所がコースの分岐点で、右手に向かえば御池岳山頂、左手に向かえばボタンブチに出ることになる。先に展望が良いと言われるボタンブチに向かうことにした。南東へと向かうが、山上はほぼ台地状と言ってよく、アップダウンはほとんど無かった。最初に樹林があり、そこを抜けると木々は消えてただ草原が広がっているだけだった。そのため強風をまともに受けることになった。冷たい西風で一気に厳しさが出て来た。その寒さに温度計を見ると10℃を指していた。先ほどの尾根歩きでは14℃ほどはあったので、一気に冷えたことになる。上空も黒い雲が広がっており、その流れは谷間で見ていたときよりもいっそう速く感じられた。草原の中を小径が続いており、ときに踏み跡程度になることもあったが、道なりに辿って行くとボタンブチの分岐点に着いた。ボタンブチは尾根筋からは西へと離れた位置だったが、そこは今暫く尾根なりに進むことにした。そのまま東へ緩やかに高度を上げてなだらかなピークに近づいた。そこは奥ノ平の手前で、地図では1241mの標高点が記されている。そこまで来ると南への展望が広がった。但しそちらはガス雲が多くあり、近くの藤原岳の辺りこそ見えていたが、それより南の山並みははっきりとは見えなかった。1241mピークに着いたものの風景は茫洋としており、それよりも強風と寒さで長居は出来ず、引き返してボタンブチへ向かった。山上の人影は少なく、遠くに一人二人と見える程度だった。ボタンブチは1241mピークから見ると北西に少し下がった位置で、草地の中の細道を緩く下って行くと、そこは崖となって谷へと一気に切れ落ちていた。そのため前方に視界を遮るものは何も無く、西に向かって展望が大きく広がっていた。但しモヤの強い視界で、展望を十分に楽しむとはいかなかった。また強風を一段と強く受けることになり、すぐに離れることにした。そこより御池岳山頂へと向かう小径が見えたので、それを歩くことにした。山頂が近づくと冬枯れの樹林帯に入り、その中を進んで行くと小さなピークに着いた。準平原の中のちょっとした高みなのだが、それが御池岳山頂だった。何と言うかあまりにも手応えの無い山頂で、山名標識が無ければ通り過ぎてしまいそうだった。せっかくの鈴鹿山脈の最高点なので、少し早かったがそこで昼食をとることにした。山頂は木々に囲まれていることもあり、風はほとんど受けず適度な暖かさだった。そこに着いたときは登山者は他に一人を見るだけだったが、20分ほどの休憩のうちに10人ほどの人が順次到着して賑やかになってきた。やはり御池岳は人の訪れの多い山のようである。ただそこまで歩いた雰囲気からまずまずハイキングとしては楽しめたものの、人気のコースとして取り上げられるほどのインパクトは感じられなかった。ちょっと疑問に感じたまま御池岳山頂を離れて鈴北岳へと向かい出したところ、この疑問が氷解した。まず樹林帯を緩やかに下っていると、そこはバイケイソウがいっそう多く若葉を出しており、その緑の鮮やかさに目を奪われた。その樹林帯を通してその先には穏やかな準平原が広がっていた。樹林帯を抜けてその準平原に足を入れると、そこは午前に歩いた奥ノ平とは雰囲気が違っており、鈴北岳を含めてなだらかな丘の中を高原散策している気分だった。ちょうど丘が風を防いでいるのも良かった。小さな池も点在しており、ちょっと大きめな元池のそばに立っていると、尾瀬の一角で佇んでいる気持ちにさせられた。地図を見るとその一帯は池ノ平とも日本庭園とも呼ばれているようで、なるほどの思いだった。そしてこの日本庭園があってこの御池岳に人気のあることを納得させられた。その雰囲気に浸りながら鈴北岳への緩やかな道を登って行った。そして着いた鈴北岳は御池岳と違って視界を遮る木々は無く、伸びやかな展望が広がっていた。但しボタンブチと同じく冷たい西風をまともに受けることになった。その冷たさの中で展望を楽しんだが、北の空にはガス雲が広がっており、霊仙山こそすっきり見えるものの、伊吹山などそれより北の山並みは雲に隠されていた。鈴北岳からは鞍掛峠へと下った。尾根を北東へと下るのだが、その下りではクマザサの枯れが目立った。兵庫の山と同様に鈴鹿の山でもクマザサは減少しているようだった。ところで4月後半では鈴鹿北部は花の季節にはまだ早いのか、それまで野花としてはスミレを見る程度だったのだが、この鞍掛峠への下りではカタクリの花が点々と咲いており、目を楽しませてくれた。鞍掛峠までは緩やかな道が続きのんびりと歩けたのだが、お地蔵さんの祀られた倉掛峠から鞍掛登山口への道に入ると、道の斜度は一気に増した。後は足下に注意しながらも休まず下って、駐車場へと戻って行った。登山を終えての感想は、御池岳に対しては鈴鹿山脈の最高峰としていくぶん鋭さがあるのではと考えていたのだが、実際に歩いてみると山頂に立つと言うよりも山上に広がる高原をのんびり散策する所だったと言うことで、ずんぶんイメージが変わってしまった。但し、けっして悪い変わり方では無かった。
(2008/5記)(2021/12改訂)
<登山日> 2008年4月26日 7:31鞍掛トンネル東口駐車場スタート/7:49コグルミ谷登山口/8:34六合目(カタクリ峠)/8:55八合目/9:18御池岳・ボタンブチ分岐点/9:31〜36奥ノ平(1241mピーク)/9:47〜52ボタンブチ/10:09〜29御池岳/11:04〜08元池/11:15〜44鈴北岳/11:58[1056m]ピーク/12:35鞍掛峠/12:48エンド。
(天気) 晴れとは言えるが雲の多い空で、その雲の流れは速かった。登るうちにいくぶん青空が広くなる。谷間の気温は14度と低めだったが、風は無くあまり寒さは感じなかった。山上に出て奥ノ平へ向かうと強い西風をまともに受けた。冷たさがあり気温も10℃まで下がっていた。御池岳では風は無く、気温も13℃に戻っていた。その先も元池までは穏やかな感じで青空も広がったが、鈴北岳では再び強い西風を受けた。但し気温は15℃まで上がっていた。視界は強い風にもかかわらずモヤがかっており、遠くの山にはガス雲に隠れているものもあった。下山中に上空の雲は増え、下山を終えたときはガスが山稜を隠そうとしていた。
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鞍掛トンネル東口の駐車場を見る 駐車場のそばは鞍掛登山口だった コグルミ谷登山口を登り出す
      
コグルミ谷を歩き始めると少し新緑が見られた コグルミ谷を細々と登山道は続いた カタクリ峠からは尾根歩きが始まった
      
尾根は木立が空いて歩き易かった 六合目にて新緑のバイケイソウを見る 尾根から御池岳の方向を見る
    
尾根の途中には岩場もあった 九合目辺りは登山道までバイケイソウを見た 山上台地に出て大きな木を見上げる
    
まずは奥ノ平の方向に歩いて行った 尾根から南の方向を見る 1241mピークに立ってボタンブチの方向を見る
   
1241mピークから御池岳の方向を見る ボタンブチに向かうとき御池岳から1241mピークに続くなだらかな丘の風景を見る
    

 ボタンブチに立
 って南から南西
 の風景を眺める

   竜ヶ岳の方向を
   大きく見る
   
ボタンブチを離れて御池岳を目指す 御池岳山頂を見る 山頂一帯はカルスト地形だった
     
御池岳山頂を離れて鈴北岳に向かう バイケイソウが辺り一面に若葉を出していた 北へと日本庭園の中を歩く
    
窪地に残雪を見た 小ぶりの池は真ノ池のようだった 日本庭園より鈴北岳を見る
     
元池のそばにパートナーが立つ 鈴北岳へと緩やかに登山道は続いた 鈴北岳の山頂に立つ
   

 山頂から御池岳
 を望む

  天狗岩の方向を
  大きく見る
 
     

 鈴北岳山頂より
 北の風景を見る

     左の写真の烏帽
     子岳を大きく見
     る
        
鞍掛峠へ下山を始めたとき霊仙山を大きく見る 下る方向に烏帽子岳を見る 1056mピークまで下りて鈴北岳を振り返る
   
クロモジの黄色い花を見る カタクリの花を見る 鞍掛峠への道は優しげな尾根道だった
     
バイケイソウのカタクリの混じる風景を見なが
ら歩いた   
鞍掛峠に立つ そばの祠には地蔵さんが祀られ
ていた
鞍掛登山口に向かっているとき、尾根を見ると
ガスがかかろうとしていた