TAJIHM の 兵庫の山めぐり <福井県の山
 
冠山    かんむりやま 1256.6m 池田町(福井県)
揖斐川町(岐阜県)
1/2.5万地図 : 冠山
 
【2010年8月】 2010-76(TAJI&HM)
 
   冠山峠の近くより  2010 / 8

 10年8月の第三週に出かけた福井の山への小旅行は、当初は経ヶ岳と大長山に決めていた。それが出かける段になって、大長山の林道が工事中と分かり、大長山に替えて赤兎山を登ることにした。出かけたのは20日の金曜日。この日は赤兎山を鳩ヶ湯コースで登ったのだが、簡単に登れると考えていたのが大外れで、厳しさのあるマイナーコースだった。結局8時間のハイキングとなってしまい、足の疲労は大きかった。二日目の山は経ヶ岳を予定していたのだが、その経ヶ岳を六呂師高原から登るとすると、往復で5時間を越えそうで、決して易しいとは言えなかった。そこで経ヶ岳を諦めて別の山を登ることにした。参考にしたのは新・分県登山ガイド「福井県の山」。それを開くと、すんなりと決まった。冠山だった。冠山は何度か登った岐阜県の山から良く見えていた山で、その特徴ある山頂の姿は記憶に残るものだった。その冠山を以前にも登ろうと考えたことがあったが、冠山峠からのコースがどうも易し過ぎるように思われて、そのため冠山だけを目指すのをためらう気持ちが起きて、行かずじまいになっていた。その冠山も足が疲れているときに考えると、素直に登りたくなった。それを決めたのは大野市内の旅館のことで、決めたとなると、疲れていたこともあって21時には寝てしまった。おかげで十分な睡眠がとれ、翌21日の朝は、すっきりとした目覚めだった。足の疲れもあまり残っていないようで気持ちよく冠山に向かった。
 大野市内から冠山へは、始めに国道476号線で飯降山の尾根を越えて旧美山町へ入った。暫く国道476号線を走り、池田町で国道417号線に折れると、後は国道417号線をずんずん走った。その国道が途中から冠林道に変わった。この林道は舗装路で続いてくれたので助かったが、福井岐阜の県境尾根まで達するので、小さな尾根を越したり谷越えがあったりと、長々と続いた。冠山峠は標高1050m。漸く着いたときは、大野市街を離れてから1時間半が経っていた。林道は峠を越えて岐阜県へと続いていたが、峠の位置のゲートは閉じられており、通行は出来なくなっていた。その峠の手前に駐車場があり、既に5台ほど車が止まっていた。用意を調えて峠に出ると、そこは広い場所になっており、冠山峠の説明板があったり、トイレも設けられて、ちょっとした観光地の体をしていた。少し高い位置に立つと、東にすんなりと冠山が眺められた。そこから見る冠山は、冠の姿と言うよりも風折れ烏帽子の姿に見えたが、特異な姿に変わりはなく登高意欲をそそられた。ただ峠には風が無く、けっこうな暑さだった。気温を見ると30℃を越えていた。その峠を離れて県境尾根を歩き出そうとしたとき、1台のマイクロバスが到着した。子供たちでいっぱいだった。マイクロバスに池田町の名があったので、地元の行事としての冠山ハイキングのようだった。東へと登山道を歩き出す。程良い歩き易さで、遊歩道と言っても良さそうだった。前方に冠山が見えていた。まずは1156mピークへと登るが、木々の中を歩くようになると、気温は27℃まで下がってきた。また僅かに風も現れて、暑さを和らげてくれた。木々には大きなブナも見られて、登山は簡単でも千メートルを越える山を登っていることを知らされた。1156mピークを越すと下り坂となり、その先では尾根は小さな起伏が続いて、あまり高度は変わらなかった。少し傾斜が付くと階段道となるので、気楽な尾根歩きだった。概ね木陰を歩けたが、ときに陽射しを受けることがあり、そのときは真夏の暑さを感じた。それを和ませてくれたのが尾根のブナで、ときに大木が数本と並んで現れた。ときおり下山者とすれ違った。歩くうちに冠山はどんどん近づいて、近くから見上げるようになると、あまり冠の風には見えなくなった。いよいよ山頂直下と思える辺りまで来たとき、近くに笹原の広がる風景が現れた。その中央はぽっかりと地肌を見せており、数人の若い男女が休んでいた。そこが冠平で、それを見て一息入れることにした。着くと冠平は風の通り道なのか、涼しいばかりの風を受けた。風の快さに長居してしまいそうだったが、小休止で腰を上げた。山頂へは冠平から道が延びていると思い込んでいたので、いざ先に進もうとしたところ、道が見えなかった。そこで休んでいた一人に聞くと、ここに来る少し手前に分岐点があったとのこと。そこで来た道を少し戻ると、灌木に隠されるようにして山頂への道が分かれていた。始めに急坂があり、その先で一度緩むと、次に岩場を登るようになった。ロープも付けられていた。なるほど見た姿のままに急角度の登りだったが、冠平からでは山頂との標高差は100mほどでしかなく、10分と登らず急坂は終わって平らな所に出た。そこより東に僅かに歩いた位置が、三等三角点のある山頂だった。てっきり誰かは居るだろうと思っていたのだが、無人だった。山頂はごく狭く中央が岩場になっていた。狭いと言ってもパートナーと二人っきりとあれば十分な広さだった。その山頂には冠平と同様に涼しい風が渡っており、陽射しの下でも十分な涼しさだった。そして360度と、総て見渡せる山頂だった。少し残念なのは視界がモヤがかっていたことだったが、前日の近くの山さえ判然としないほどのひどさでは無く、遠方がはっきりしない程度だった。まず東に大きく見えるのは、能郷白山だとすぐ分かった。北に二つ並ぶのは部子山と銀杏峯かと思われた。西に端正なのは金草岳のようで、南に鋭い姿は、暫く考えて蕎麦粒山だと分かった。2008年秋にその蕎麦粒山から冠山を眺めたことを思い出した。この全方位の展望を暫くの間ひたすら眺めていた。そして少し早いが、昼食タイムとした。その昼食時に足下の冠平を眺めると、集団登山の子供たちが集まっていた。そのうちに山頂を目指して来ると思っていたのだが、そうではなく、冠平で昼休みとするようだった。山頂には40分ほどいたが、結局二人っきりだった。下山は登って来たコースを引き返した。急斜面を下りると、賑やかな冠平へは寄らずに、すぐに尾根歩きに移った。昼となって、木陰の中でも風が無いときは、けっこうな暑さだった。そしてちょっと煩わしかったのがアブだった。登りのときも、ときおりまとわりつかれていたが、この下山ではしつこいアブが何度か現れた。体の動きを止めると、ときに刺してくるので、出来るだけ止まらないように歩かなければならなかった。前日の赤兎山のアブもけっこうしつこかったので、どうやら夏の福井の山は凶暴なアブが多いようだった。そのためそこそこのスピードで歩いたこともあり、下山は山頂を離れてから1時間で冠山峠に戻ってきた。下山といえども1時間で歩けるのでは、やはり冠山は登山としては簡単な山だと言えそうだった。またこの下山では、真夏の昼どきだと言うのに、登ってくる登山者と何度かすれ違った。思っていた以上に人気のある山のようだった。この下山後に冠林道を起点まで戻ってきたときに立ち寄ったのが、冠荘だった。その中の天然温泉でさっぱりと汗を流せたのは良かった。
(2010/9記)(2019/8改訂)
<登山日> 2010年8月21日 9:48冠山峠スタート/10:03[1156m]ピーク/10:47〜54冠平/11:03〜40山頂/11:49冠平との分岐点/12:26[1156m]ピーク/12:44エンド。
(天気) 快晴。但し、うっすらとした空だった。冠山峠の気温は30℃以上あったが、尾根を歩き始めると、木陰では26℃まで下がってきた。風はほとんど無いものの、木陰を歩いているときは、特に暑さは感じなかった。それが陽射しを受けると、一気に暑さを感じた。山頂直下の冠平では涼しい風を受ける。山頂でも同じく涼しい風を受けて、過ごし易いかった。視界はうっすらとしており、遠くはモヤの中に溶け込んでいた。下山は真昼どきとあって、木陰の風も生温くなっていた。
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冠山峠に着くと駐車場に数台の車が止まってい
登山準備をしていると、マイクロバスが到着し
登山道の起点には美濃国の三つの石碑があった
         
歩き出すと、すっくと立つ冠山を前方に見た 尾根の道は優しい雰囲気で続いていた 前方に見えるのは1156mピークのようだった
    
冠山は近づくほどに姿を変えた 尾根の周囲は自然林が広がっていた ブナ林も見るようになった
   
冠山が見えると、やはりじっと眺めてしまう 坂の部分は丸太の階段になっていた また冠山の見え方が少し変わった
   
ブナの大木を見上げる 山頂直下に来ると、冠の姿には見えなかった 先に冠平に向かった
        
冠平へはササの道を歩いた 冠平から冠山山頂を見上げた 山頂を目指すと、岩場の急斜面を登った
    

 岩場を登ってくるパー
 トナーを上から見る
 後方に冠平が見えてい
 る

    周囲は灌木林となって
    最後のひと登りをする
     
山頂は露岩地になっていた 明るい山頂だった 三角点は基部が露わになっていた 山頂からは足下に冠平が見えていた
    
山頂は360度の展望だった 北西から北、東、そして南東を眺める 能郷白山までの尾根が一望だった ただ視界はいくぶんうっすらとしていた
    

 上の写真の銀杏峯
 を大きく見る

    上の写真の能郷白
    山を大きく見る
    
次に南東から南、西、そして北西を眺める これでぐるりと360度だった
     

上の写真に写る蕎
麦粒山を大きく見


金草岳は近いだけ
にはっきりと見え
ていた
山頂を離れて岩場を下って行く 足下の冠平では、子供たちが昼休憩をしていた 斜面ではカライトソウがよく咲いていた
    
ブナ林が優しい県境尾根を戻って行く 1156mピークを越すと、冠山峠が見えてきた もう冠山峠は近い 正面奥に金草山を望む
   

 冠山峠を見下ろす
 位置に戻ってきた

    冠山峠に立って今
    登ってきた冠山を
    遠望する