2024年12月に実施した「富士山を望む」をテーマとした山行で、一番期待したのが長者ヶ岳だった。分県登山ガイドを参考にしたが、その紹介コースは周回コースとしており、それでは下山後の駐車地点への移動が厳しいと思われたため、田貫湖からのコースをピストンすることにした。それを長者ヶ岳だけでなく天子ヶ岳まで歩く予定とした。
この日は朝から快晴で、田貫湖に向かう車中から眺める富士山は、くっきりと鮮やかだった。田貫湖の北東岸に着くと、そこに広い駐車場を見た。また駐車場は登山口に近い位置でもあった。案内標識に従って車道歩きを始めると、すんなりと登山口に入れることになった。その登山道はほぼ緩やかな尾根道で、ごく気楽な感じで登って行けた。道幅もあり、すっかりハイキング道だった。但し周囲は人工林のため、展望は無かった。易しい登山道を登るうちに、周囲は自然林に替わってきた。木々は葉を落としており、おかげで木々を通して富士山の姿が眺められた。富士山を眺められるポイントも何カ所かあり、休暇村からのコースが合流する位置では駿河湾も眺められた。1059mピークを過ぎると登山道の傾斜が増してきたが、易しいコースであることに変わりなかった。とうとう易しいままに長者ヶ岳の山頂に着いた。山頂は開けており、休めるように幾つかベンチが置かれていた。そのそばに三等三角点(点名・熊平)を見た。その長者ヶ岳の山頂が素晴らしい富士山の展望台だった。足下には田貫湖が見えており、まさに絵に描いたような風景だった。次に南隣の天子ヶ岳へと向かった。長者ヶ岳までのコースには点々と標識があったのだが、天子ヶ岳へのコースは赤テープを見るだけだった。始めは緩やかな下り坂で、途中からやや急坂下りとなった。鞍部までは130mほどの下りだった。その鞍部で漸く標識が現れて、山梨県の上佐野に至るコースが分岐した。そこより天子ヶ岳へと130mほど登り返す。その上り坂はやや急坂が続き、目印を追って登った。長者ヶ岳を離れてからずっと樹林に切れ目がなく、ほぼ展望の無い尾根歩きだった。それがとうとう天子ヶ岳の山頂まで続いた。山頂も単に樹林帯が広がるだけで、富士山をすっきりと見る所は無かった。また三角点の無い山頂でもあった。その山頂を眺めると、すぐに長者ヶ岳へと引き返した。鞍部へと下って登り返す。長者ヶ岳の山頂に戻ってくると、ちょうど昼の時間帯になっていたので、少し賑わっていた。それでも平日とあって10人までだった。富士山を見ると、山頂に少し雲がかかっていた。山頂で30分ほど過ごすと、下山は引き続き往路を戻った。始めは木々の間から富士山を常に見ながらの下りで、冬ならではの特典と言えそうだった。休暇村へのコースが分岐する地点を過ぎると人工林が増えてきて、富士の眺めは消えた。この下山では登山口が近づいた位置で、往路では見落としていた三角点を確認した。道そばの分かり易い所にあり、四等三角点(点名・田貫湖)だった。もうその当たりはごく緩やかな道になっており、すっかりハイキング気分で登山口に戻ってきた。富士山には雲がかかっていたが、快晴の空は続いていた。
(2022/11記) |