TAJIHM の 兵庫の山めぐり <岐阜県の山 
 
下呂御前山 (空谷山) 1412.0m 下呂市(岐阜県)
 げろごぜんやま
1/2.5万地図 : 湯屋
 
【2006年8月】 2006-64(TAJI&HM)
 
   下呂市少ヶ野より  2006 / 8

 御嶽山の西、南飛騨には御前山と名の付く山が二つあって、一つは地図では空谷山となっているが、下呂市にあるためか下呂御前山と呼ばれる山で、もう一つは萩原町にあり、こちらはただの御前山と呼ばれている。どちらも御嶽山の御前にあるため命名されたものと思われる。ただややこしいのは萩原町が2004年3月に下呂市と合併したことで、どちらの山も下呂市になってしまった。そこで最近の記述では、旧・萩原町の御前山を萩原御前山と読み替えているのを見かけたこともある。この二つの山を比較したとき、萩原御前山の方が山が大きく、登山コースも歩き堪えがあって面白そうに思われた。ただ下呂御前山も名湯の下呂温泉が麓にある山というのも面白そうで、気軽に登りたいときはこちらが良さそうだった。
 2006年8月後半の日曜日は、南飛騨地方の山を登ろうと考えた。そこでこの二つの御前山に興味を持ったのだが、どちらを登ろうかと考えたとき、残暑が厳しいおりでもあり手軽さと温泉にも入りたいとの思いが合致して、下呂御前山を目指すことにした。下呂市は高速道の恩恵のない地域のため、ひたすら国道41号線を北上することにした。朝の名古屋の空は思わしくなく、どんよりと雲っていた。そして小牧市を過ぎる頃より雨が降り出した。しかも強い降りになって来た。この日の天気に少し不安になり出したが、美濃加茂市に入る頃には小止みとなり、山間部に向かい出すと急速に回復して来た。下呂市に入る頃は青空も見られるまでになっていた。ガイドブックでは下呂温泉の温泉街を抜け、阿多野川沿いを進んで大洞集落を目指すとなっていたので、その記述通りに向かうと、阿多野川沿いの車道に出たときに、もう下呂御前山を示す標識が現れた。標識は道路脇に点々とあり、後はその標識に従うだけだった。道は自然と大洞集落を抜け、舗装のまま林道へと変わった。そして山中へと登りだしたとき、下呂御前山登山駐車場が現れた。既に3台ほど駐車されていたので、その並びに駐車とした。既に10時になっており、気温はもう30℃に迫ろうとしていた。登山口まで450mとあり、その間は炎天下の林道を歩くことになった。その登山口まで来ると、そこには管理小屋があり東屋も建っていた。その辺りは植林帯となっており、その中を登山道が始まっていた。歩き易い登山道で、ごく気楽な感じで登って行けた。また樹林の中を登るために涼しさがあり、気温を見ると22℃まで下がっており、暑さを感じないのは助かった。一度舗装林道と出会って、その林道を50mほど歩くことになったが、再び山道を登るようになった。その林道との合流点を含めてコースには適度に標識があって、山頂まであと何メートルと記されていた。またその標識とは別に俳句の書かれた標識もあった。例えば5合目には「五合目の雄峰仰ぎ日の盛り」とあった。道の様子はその五合目までは幅広の作業道風だったが、五合目を過ぎて漸く登山道らしくなった。六合目(標高1000m)で山頂まで1800mとあり、その後、また林道と交差することになった。その林道を越えたときに、「お助け水」への分かれ道が現れた。その枝道に100mほど入ると、その「お助け水」に着いた。夏場にはちょうど水のほしい所にあって、冷たい水でのどを潤すことが出来た。再び登山道に戻って登りを続けた。辺りは杉木立にクマザサの混じる風景で、七合目を過ぎると足下に岩がごろごろとし出した。そのとき予想をしていなかった展望地が現れた。山頂に着くまでに一服するのが良さそうな所で、そこに立つと温泉街が足下に見えていた。また西に向かって広く展望が広がっていた。生憎の強いモヤでどの風景も薄ぼんやりとしていたが、そこには寒いほどの涼しい風があって、たちまち背中の汗を乾かしてくれた。八合目に着くと、そこは白樺平と呼ばれる平坦地で、辺りは優しげな自然林が広がっていた。石仏も置かれており、ちょうど森の中にどっぷりと浸っている雰囲気だった。そこに着いて主稜に出たことになり、後は北に向かって山頂を目指すだけだった。濃い緑に囲まれた尾根登りは良い雰囲気で、足の疲れも忘れて休まず登って行けた。そして九合目に着いて一度下り坂があり、登り返した所が山頂だった。歩き始めてからほぼ2時間での山頂到着だった。まず目に付いたのが立派な山名標柱で、下呂御前山と大きく書かれていた。そしてそこには空谷山の文字も見られた。後で知ったが、地元ではその名で呼ばれているようだった。その下呂御前山に期待していた一つに山頂から御嶽山を眺めることだったが、これはすっかり裏切られた。上空こそ青空が広がっていたが、周囲にはガス雲が湧いており、高峰は総て隠されていた。方位盤が置かれており、この山が展望の山であることを示していたが、この日は展望を諦めざるを得なかった。それでも美しい緑を抜けて山頂に立ったことで、この下呂御前山には満足する思いだった。山頂では直射日光を避けて木陰を求めた。そして涼しい風に吹かれながら暫し昼寝を楽しんだ。その昼寝の間に、北隣の萩原御前山のガスが薄れてその姿が現れてきたが、それ以上に良くなる気配も見られないため、1時間半ほどの山頂滞在で下山することにした。下山はすんなりと往路コースを戻った。そして下山を終えれば当然下呂温泉に向かうことになった。幸の湯は350円で入ることが出来、ぬるめの露天風呂に浸かっていると、下呂の山も悪くなかったとの思いが体全体を包んできた。
(2006/11記)(2012/9改訂)(2022/2写真改訂)
<登山日> 2006年8月26日 10:05登山駐車場スタート/10:46五合目/11:13お助け水/11:32〜37展望台/11:50九合目/12:00〜13:21山頂/13:37八合目/14:00六合目/14:30登山口/14:37エンド。
(天気) 朝の名古屋はどんよりと曇っていたが、国道41号線を北上するうちに徐々に良くなり、下呂市に着いたときはほぼ晴れとなっていた。但し雲が多く、高い山はすっかりガス雲に隠されていた。陽射しはまだ真夏のもので、下呂の市街は30℃に近い暑さだった。その暑さも麓だけで、山中に入ると涼しさがあり、気温も20℃まで下がって来た。山頂からの展望は、高峰は相変わらずガス雲で見えず、近くの山も水気を多く含んだ空気のために薄ぼんやりとしか見えなかった。
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登山口駐車場から歩き始めた 暫くは舗装路を歩いて行く 登山口には管理小屋と東屋があった
登山道に入ると、下呂御前山の案内図が立っていた 一度林道に出たが、すぐに登山道の入口が見えてきた 再び登山道に入った
もう一度林道に出たが、すぐに登山道の続きが見えてきた 七合目に出る前に水場への枝道があって、そちらに寄り道した 水場の名は「お助け水」だった
(←)
八合目に出る前に
展望の良い場所が
現れた 下呂の町
を挟んで梁谷山が
望まれた

 (→)
  梁谷山の上に広が
  る雲を見る
八合目に着いた そこは白樺平と呼ばれる所で、森の中に浸っている気分になった 山頂近くの上り坂は自然林が取り囲んでおり、良い雰囲気だった 山頂には立派な山名標柱が立っていた 周囲の山並みはガス雲に隠されていた
山頂は好展望地だったが、雲の多い空のため高峰は雲の中だった 写真は御嶽山方向を眺めてのもの 北の御前山(萩原御前山)も山頂は雲だった
山頂で休むうちに御前山の山頂が現れた 山頂から改めて下呂の町の方向を眺めた おぼろげに見える町を少し大きく見る