2024年12月初旬に実施した「富士山を眺める山」の山行三日目は、前夜になって登る対照を変更した。予定では曇り空の予想を考慮して白水山としていたのだが、快晴が続くとの天気予報を見て天子山系を代表する山と言える毛無山を登ることにした。日本二百名山にも選ばれており、山頂展望も富士山を見る山として優れているようだった。難は登山口と山頂との標高差があることで、時間がかかるようだった。午前中に山頂に立ちたかったが、そうなると登山口には8時頃には着く必要があるように思えた。ただ富士宮市内のホテルで朝食を取る予定をしていたので、結局ホテル出発は8時半となり、登山口がある麓集落には9時を過ぎての到着となった。毛無山の標識に従って車を進めると、駐車場に着くことになった。但しほぼ満車になっていた。幸い最後の一台として車を止めることが出来た。そこは有料駐車場で、駐車料金は500円だった。その駐車場のそばから登山道に通じる林道が始まっていたが、今は伐採作業中とあり、通行禁止になっていた。代わりに迂回コースが示されており、そちらを歩いて登山口に向かった。そのため登山口に入るのは数分の遅れとなった。急きょ登ることにしたため地図を用意していなかったのだが、登山口を通過すると、的確に標識があって安心して歩けることになった。小さな沢を渡って登山道に入ると、すぐに急坂となった。以後、急坂が続くことになった。道としてははっきりしており、枝道は無くコースを外れる恐れは無かった。合目の標識が付いており、一合目、二合目と目にした。二合目を過ぎたときに右手に見えたのは不動の滝だった。岩場の急坂もあったが、そこはロープが付いていた。おかげで岩場でも危険な感じは無く、慎重に登れば問題無かった。冬場とあって木々は葉を落としており、その木々の枝を通して富士の姿が常に眺められた。登山道が緩むことはあったが、基本的に急坂だった。五合目が現れると、そこまで登山口から70分かかっていた。その中腹を過ぎても急坂は変わらなかった。八合目を過ぎて現れたのが、富士山展望台だった。岩場の展望台で、名の通り富士山がすっきりと眺められた。但し、山頂辺りは雲が増えていた。そこから今少し登って九合目を通った。その九合目のすぐ先で主脈に合流となった。稜線歩きに移ると一気になだらかな道となり、ごく易しく歩けるようになった。そして合流点から10分で毛無山の山頂に到着した。そこは広く開けており、山名標識が幾つか立っていた。そのそばに三角点があり、それは一等三角点(点名・毛無山)だった。山頂では多くの登山者が休んでいた。富士山の展望台でもある山頂は、富士山だけで無く駿河湾も一望出来た。富士山は山頂部にもう雲がかかっていた。上空も雲が増えており、空の半分以上に広がっていた。その毛無山の山頂とされる三角点ピークは尾根の最高点では無く、今少し東の位置にある1964mピークが最高点だった。そこまで歩くことにした。緩やかに下って緩やかに登り返したが、その辺りの登山道はどろどろになっていた。どうも木道が必要ではと思いながら歩いた。15分ほどで1964mピークに着いたが、そこは単なる樹林帯だった。すぐに三角点ピークへと引き返した。その山頂がなぜか無人になっていた。おかげでパートナーと二人きりで憩うことになった。富士山の頂はすっかり雲に隠されていた。毛無山の山頂で30分近く休んでいたが、新たな登山者は現れなかった。下山は往路コースを引き返した。地図を用意していなかったため、一番無難な選択だった。その戻る途中、稜線を離れるまでに数人の登山者とすれ違ったので、山頂で二人きりだったのは偶然だったと思えた。急坂の登山道をゆっくりと下った。下る方向に富士山を見ながらで、その山頂を隠している雲が徐々に薄れているのが分かった。長々と急坂下りを続けるうちにパートナーの足はすっかり疲れてしまい、途中からは全くのノロノロ下りになってしまった。足下に注意もするが、富士山にもときおり目を向けていると、二合目を過ぎた辺りではすっかり姿を現していた。空もほぼ快晴になっていた。けっこう時間がかかったと思って登山口に戻ってきたところ、まだ15時半だった。もう30分はゆっくりしていても良かったかと思いながら駐車場へと向かった。
(2025/1記) |