◆ TAJI&HM の 兵庫の山めぐり <富山県の山> | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
毛勝山 けかちやま | 2414.5m | 魚津市(富山県) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
1/2.5万地図 : 毛勝山 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
【2008年9月】 | 2008-86(TAJI&HM) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
西北尾根より見上げる 2008 / 9 |
日本二百名山にはしっかり登れる山がけっこう揃っており、いつかは登ってみたと思える山ばかりだが、その二百名山を紹介している「日本二百名山登山ガイド」を眺めていると、毛勝山の項で目が止まった。「強靱な体力を保有している人のみ許される手強い山」として毛勝三山の盟主、毛勝山が紹介されていた。このような言葉に弱く、毛勝山に一気に興味を持ってしまった。位置的にも北アルプスの北西部で日本海に近い位置にあり、アクセスは比較的容易だった。そこで機会を図っていたところ、2008年9月中旬の三連休が季節的に登り易そうに思えた。天気も良さそうで、出来れば毛勝山を含めて二山ほど登ろうと考えた。ところがその三連休に近づくほどに天気予報が悪くなってきた。特に14日の日曜日が雨と予想され、一度は諦めることにした。それが三連休初日の13日朝を迎えて天気予報を見ると、富山の天気が一変していた。この13日こそ雨だったが、14日は晴れときどき曇りに変わっていた。これを見て急きょ毛勝山を目指すことにした。ただ日程的に毛勝山だけしか登れそうになく、そこで一番安上がりの計画を立てることにした。それは高速道を深夜割引時間帯に走って移動し、そのまま毛勝山を早朝から登り、そして下山後も深夜割引時間帯を利用して帰るというちょっとゲリラ的な登山計画だった。 13日はゆっくり登山準備をして、午後の4時を過ぎて姫路を離れた。高速道は余裕の80km走行。この日の関西は雨も混じるあいにくの天気だったが、夕方は曇り空まで回復していた。明日の晴れを期待して走って行く。眠気の来ないうちに走るだけ走って、ようやく眠気が来たのは富山県を中ほどまで走ったころで、23時に近づく時間だった。そこで呉羽PAで仮眠とした。その仮眠だったが、すぐに寝入ってしまい、目覚めたときは4時半になろうとしていた。あわてて出発する。予定では西北尾根の登山口を5時半には登り出すつもりだったのだが、どうも間に合いそうになかった。北陸道を魚津ICで下りると、後は県道52号線をひたすら南下するだけ。県道がやがて片貝川に沿い出すと、林道となって道は細くなってきた。更にダート道に変わった。もう5時半を回っており、辺りは薄明るくなっていた。林道は車1台分の幅で続いており、けっこう荒れていた。車高の低い車のためスピードを出せず、のろのろと走るしかなかった。前方の空はガス雲の空だったが、上空には青空も見られた。次第に晴れ間が広がってくれればと願いながら車を進めた。もう着いても良いと考え出したとき発電所が見えて、古い建物が現れた。その古びた様子に片貝山荘とは思えず更に先へ先へと車を進めた。そしてごく小さなコンクリート製の物が現れ、そこで車道は終わってしまった。ここに来て地図を開くと、どうやらそこは取水口の位置のようで、走り過ぎてしまったことが分かった。もう6時を回っており、予定より大分遅れてしまったが、とりあえず引き返すことにした。先ほど見た古い建物が片貝山荘だったと考え、その手前に近づいたときに片貝川に架かる橋を見た。その橋の先から始まる林道が登山口へつながるものと見て橋を渡った。林道入口には立入禁止と看板があったがかまわず走ると、数台の車が狭い駐車スペースに止まっていた。他にも数台が路肩に止められていた。そこが登山口の位置と見て、駐車スペースの僅かな隙間に何とか車を止めた。車の外に出ると、駐車スペースの奥から登山道が始まっており、その入口に見落としそうな小さな木の札があって、毛勝山登山口と書かれていた。無事到着したことが分かり一安心だった。身支度を調えてスタートしたのは6時20分過ぎだった。予定より1時間ほど遅れてしまった。もう森を見ても薄暗さは消えていた。遅いスタートのため他に登山者は見かけず、パートナーと二人っきりの登山だった。早朝の冷気の中を歩いて行くと言いたいところだが、気温は意外と高く20℃に達していた。その生暖かさに天気は良くならないのではと少しいやな予感がした。始めのうちは森の中を緩やかに歩くだけだったが、程なく急坂が始まった。それもロープを伝って登ることもあり、これが暫く続いた。周囲の自然林が美しかった。登るほどに気温は下がって20℃を下回ってきたが、腕も使っての登りで一気に汗をかくことになった。やがてコースは左手にトラバースする形で進み、北西尾根に出た。後はひたすら尾根道として続いた。上空から西の空には青空が広がっていたが、向かう先の空はまだまだガス雲に覆われていた。尾根道はゆったりとした幅で、やや急坂で続いていたが、途中から緩やかになり下り坂になることもあった。歩き始めてから1時間ほど経つと、周囲にガスが見られるようになった。足元に見える片貝川の風景もうっすらとしてきた。ガスは次第に濃くなり気温は17℃まで下がってきた。周囲に杉林が見られるようになり、ときに杉の大木を見た。黙々と登るのみだったが、急に上空が明るくなり青空の現れることがあった。このまま晴れるのかと思っていると、長くは続かずまたガスに閉ざされた。これが繰り返された。天気は悪くないのだが、高い山にはガスがかかっているということだろう。その尾根歩きで、突然のように三角点(点名・曲谷)が現れた。地図を見ると1479mの地点だった。長く急坂を登っていたので体感的には1000m以上は登っているように思っていたのだが、800mも登っておらず、この先はまだ1000m近く登らなければならなかった。やはり毛勝山はしっかり長時間登ることを要求されそうだった。その尾根道だったが、次第に道幅が狭くなってきた。それまではTシャツだけで歩いていたのだが、クマザサや雑草がちくちくと肌を刺すようになったので、長袖シャツを着込むことにした。また登山道には木の根が多く現れて滑り易くなっており、ササの切り株に足を取られることもあって、けっこう歩き難い道だった。標高が上がってくるにつれ、ダケカンバやシラビソも見られて高山らしくなってきた。森の甘い香りも漂っていた。ただ登山道の歩き難さは変わらず続いた。空も青空が広がって尾根の先が見えたかと思うとまた濃いガスが戻ってきた。尾根も緩くなったりきつくなったりを繰り返した。その尾根も1700m辺りになってくると大きな木々は減って草地が見られるようになった。そしてちらほら高山植物の花も見かけられた。はっきりと雰囲気が変わったのはガスの中に小さな池が現れたときで、池の周囲にはチングルマの実が多く見えた。夏はチングルマの花で包まれていたようだった。その池はモモアセ池のようで、標高も漸く2000mを越えてきたようだった。その先でも小さな池を何度か見た。高山植物もミヤマリンドウの青い花があちらこちらに咲いていた。近くのピークはモモアセ山と思えた。巻き道もあったので巻き道を歩くと、ちょっと一帯は複雑な地形のようで、左手にも小さな尾根が見られてその間を歩くようになった。そして左手の山肌に取り付いて再び尾根に出ようとしたとき、急に前方のガスが薄れたと思うと、どんと大きな山が現れた。尾根の先でもありどう見ても毛勝山だった。もう展望は諦めていただけに、この突然の対面にはちょっと驚いた。更に晴れることを期待したが、やはり少しの時間だけの青空で、再びガスが前方の視界を遮ってしまった。その辺りは尾根を歩くのでは無く草地の中をトラバース気味に横切ることが多く、無理なく歩いて行けた。その草地の中の一本道がときおりガスの中から浮かんで見えた。ガスの中でも絵になる風景だった。このころよりぽつりぽつりと下山者とすれ違うことがあった。そのうちにまた大きめの池に出会った。それは形からしてクワガタ池のようで、そこを過ぎて急坂が始まった。もう足は十分にくたびれておりこの登りはきつかった。歩度が一気に鈍ってしまい、ときどき坂の途中で息を入れた。その途中ですれ違った登山者から、山頂はこの坂を登り切って20分ほど歩いた所だと教えられた。そこで急坂をまずは登り切ろうと気合いを入れて登ると、間近から人の声が流れてきた。そして平らな所に出た。ガスでうっすらとしていたが、辺りには木々は見えず、近くの少し高い所に何人かの人が集まっていた。その人の集まりに近づくと、何とそこが山頂だった。どうやら後20分ほどを、頂上部に出て20分と聞き違えていたようで、ちょっと気の抜ける思いで山頂の一角に腰を下ろした。時計はちょうど11時を指しており、登山口より4時間40分での到着だった。予定では5時間を超して、場合によっては12時ぐらいになると予想していたのだが、ガスの中を涼しく登れたおかげであまり休憩も取らず、予定より早くの到着となったようだった。まずは無難に山頂に着いたことをパートナーと喜んだ。山頂の先着者は6,7人のグループと単独と思われる登山者が3名で、いずれも中高年と言われる人たちだった。特にグループは60才以上と思われ、半数は女性だった。毛勝山はなるほど長い登りでけっこうきつさを感じたが、特に危険な箇所も無く、本に書かれていたような強靱な体力が必要な山とはちょっとイメージが違った。他の登山者もごく普通に山頂に立っている雰囲気だった。そのことでも少し拍子抜けする思いだった。ただこれもガスの中を登ってガスの山頂に立っていることでの感想で、これが日盛りの中を登って山頂で劔岳や後立山連峰と対面しておれば違っていたかもしれないが。まずは軽く昼食をとることにした。その昼食の間にグループは下山し、他にも下山する人がおり、山頂はこちらを含めて4人ほどになってしまった。このガスの山頂では何もすることは無かったが、山頂の気温は18℃と程よい涼しさがあり、また風の快さもあったので、下山は夕暮れまでに麓に着けばよいと考え、暫し昼寝を楽しむことにした。グループが去って静かになったのは何よりだった。そのうち一人が着いて二人が下りて、山頂は三人となる。その山頂はただガスに包まれるばかりでもなく、ときおりは上空のガスが消えて青空の広がることがあった。また周囲のガスも薄れて近くのピークが現れることもあった。その青空が現れたりガスに包まれたりを何度か繰り返した後、12時を回って周囲のガスが広く消え出した。そして現れたのが毛勝三山のあと二つの山で、釜谷山と猫又山だった。その二山が暫くはすっきり見えていたためそれ以上の晴れを期待したが、その背後の赤谷山の一部が見えるまでだった。ただその風景にお目にかかれて、漸く毛勝山に立っていることを実感することが出来た。少し時間が経つと再びガスが周囲を取り巻きだしたので、腰を上げることにした。結局一時間半ほど山頂で過ごしたことになった。もう一名の登山者も同じ思いらしく身支度を始めていた。下山はひたすらゆっくり下ることを心がけた。登りと同じだけの時間がかかっても17時には下山出来る計算で、気分的に楽だった。この下山では山上の庭園を楽しもうと、クワガタ池やモモアセ池のそばで暫しの休憩をとった。そのためモモアセ池を離れたときは14時が近くなっていた。ちょっと遅くなってしまったので、後は休まず下山を続けることにした。その下山がけっこう厳しかった。木の根や切り株を避けながらの下りは疲れた足にはけっこう負担だった。また少し下るとガスが薄れ出したこともあり、陽射しを受けて下ることが多かった。気温も20℃ほどになって暑さが応えてきた。ただガスはすっきりとは晴れず、ときに上空はガスに覆われた。15時を回って三角点ピークを過ぎると尾根道が歩き易くなり、これで気分的に一段落と思っていると、パートナーが遅れ出した。久々の長時間歩行で、しかも標高差のある登山とあって、少し足を痛めてしまったようだった。そのパートナーのペースに合わすため、一気に歩度は落ちてしまった。特にロープ場はゆっくりとなり、結局登山口に戻り着いたときは、往路と変わらぬ時間がかかっていた。登山口の駐車場には他に車は見えず、周囲の森には薄暗さが漂っていた。山頂に立ったときはさほど厳しい山とも思わなかったのだが、こうして下山を終えると足の疲れは相当なものになっており、やはり毛勝山は手強い山だと思わずにはいられなかった。 登山口を離れると、後は真っ直ぐ帰るのみ。魚津ICから北陸道をひたすら走って行く。体は十分過ぎる疲れを感じていたが、翌日は祭日とあって体を休められると考えると気分はずいぶん楽だった。それでもずっと走り続けられる訳にもいかず、途中の南条SAで仮眠をとった。そして再び高速道を走り続けて、日付の変わった15日深夜1時前の帰宅となった。自宅で寝る時間を持てたことは有り難いことだったが、それにしても何とも強行軍の毛勝山登山だったと思いながら寝についた。 (2008/10記)(2021/12改訂) |
<登山日> | 2008年9月14日 | 6:21スタート/8:00〜05点名・曲谷/9:28〜31モモアセ池/10:20クワガタ池/11:00〜12:27山頂/13:36〜42クワガタ池/15:05〜10点名・曲谷/16:51エンド。 | |
(天気) | 朝の空は上空には青空が見られたが、毛勝山はすっかりガスに包まれていた。朝から気温は20℃ほどあり、空気が生暖かかった。ただ登るほどに気温は下がって、中腹を過ぎてガス帯に入ったときは17℃ほど。更に歩くうちに15℃まで下がってきた。ときおりガスが割れて青空が現れたが、すぐにガスが空を隠した。山頂はすっかりガスの中。山頂では昼の時間帯とあって、気温は18℃まで上がっていた。その山頂には長い時間を過ごしていたため、ガスの切れることがあり、一時的ながら毛勝三山の展望を得た。下山中は朝よりはガスが薄れて、陽射しの中を下ることがあり、けっこう暑さを感じた。ただふもとが近づくと、またガス雲が増えてきた。 | ||
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