横山岳は湖北の山の紹介では必ず取り上げられる山の一つで、関西百名山にも選ばれている。そこで一度は登ってみたいと考えていた。但し山については詳しくは無く、ガイドブックで位置こそは知っていたものの、文章はほとんど読んでおらず、しっかり登れる山ぐらいの知識しかなかった。向かったのは2012年9月の中旬のことで、まだ残暑は続いていたが漸く朝晩は涼しくなりだしていた。
姫路の自宅を未明に出て、山陽道、中国道、名神と走って行く。途中で仮眠をとったり朝食をとったりもしたが、北陸道の木之本ICを8時前には降りることが出来た。参考にしたガイドブックは新・分県登山ガイドの「滋賀県の山」で、そこに紹介されているコースを歩くことにした。それは白谷登山口を起点として、往路は東尾根コースを歩き、下山路は三高尾根コースを下るもので、5時間コースとなっていた。心配は天気のことで、天気予報では滋賀南部は曇り時々雨、北部も曇りとなっていた。ただ午前は比較的良さそうとのことだったので、それに期待した。滋賀県に入った頃に明るくなってきて空の様子が分かり出した。薄く青空が広がっており、やはり午前は良さそうだった。それが伊吹山が見え出すと、その頂は半分雲に隠されていた。その北の山もしかりだった。ちょっと心配になったが、木之本まで来ると、周囲に見える山にガスは無く、少しは安心になった。それでも南部から次第に雲が広がる恐れはあった。国道303号線を走って杉野地区に入ると、横山岳の案内標識が現れてすんなりと網谷林道に入って行けた。前方には横山岳の西峰と東峰の並ぶ姿が見えていた。登山口に着くと、広い駐車場にはトイレがあり、立派な休憩小屋も建っていた。そこを起点にまずは東尾根コースの登山口を目指した。コースについてはガイドブックで紹介されていることでもあるので、ここでは詳細は記さないが、東尾根コースは本当にブナ林が美しい素晴らしいコースだった。尾根の途中からブナが現れ始めて、それが周囲に広がり出したときは、部分的なものかと思っていたが、ブナ林は東峰の手前までずっと続いて目を楽しませてくれた。ただ展望に関しては東尾根は良いとは言えず、ずっと樹林に囲まれていた。それが東峰の手前にある岩場に着いて、一気に良くなった。周囲の山並みが一望だった。ただ残念だったのはこの日の視界で、モヤが強く近くの山でもうっすらとしていた。また南の方向はやはり天気は良くないようで、金糞岳こそうっすら見えていたものの、その背後の高峰はガスに隠されていた。東峰で一休みした後、山頂であり三角点ピークでもある西峰に向かった。その間は吊り尾根になっているものの、標高差は30mほどだったので、気楽なものだった。また展望も良く西にはうっすらとした視界の中に琵琶湖も望まれた。西峰に着いて昼休憩としたが、ここで下山コースを変更することにした。ガイドブックではさらりとコースのあることだけが記されている白谷コースを下ることにした。往路、下山路共に尾根コースを歩くよりも、滝も見られる谷コースを下る方が面白いのではと思えてだった。その白谷コースは急斜面を下るのだが、いわゆるマイナーコースだった。一部で道が分かり難くなっていたり草が被っていたり、また岩場を抜けたりと険しさがあったが、普段でもヤブコギをしていることもありけっこう面白いと感じるコースだった。また途中で現れた五銚子ノ滝と経ノ滝の二つの滝は、一服の清涼剤として目を楽しませてくれた。それでもこの下りはけっこう足には厳しかったようで、もうくたくたになって登山口に戻ってきた。まずは下の写真帳で、この日の登山の様子をご覧下さい。ところで天気は悪くなかったのだが、登山中は誰とも会わず終始静かな山歩きを楽しめた。
(2012/9記)(2021/4改訂)(2023/6写真改訂) |