前年の8月に登っていた鳥ヶ嶽だったが、あまりの暑さに全く易しく登れず、バテバテになって山頂に立っていた。無理をしてその後に尾根の縦走に移ったが、途中でギブアップとなった。そこで冬場にリベンジ登山をすることにした。易しく登れる山であることを再認識するためだった。向かったのは新年三日目で、備中呉妹駅の空は快晴だった。前回と同じく呉妹駅の駐車場に車を止めると、呉妹駅の待合所でトイレ休憩を済ませてからおもむろにスタートした。今回は毘沙門天磨崖仏がある石鎚山を登ることも目的だった。そこで先に石鎚山に向かった。その毘沙門天の案内標識は駅前からあり、それに従って歩くだけだった。おかげでごくスムーズに石鎚山の登山道に入ることが出来た。登山道も幅広の歩き易い道で、途中では高齢の参拝者とすれ違った。誰でも登れる山と言えそうだった。ただ山頂が近づくと急坂が現れた。それでも登山口に入ってから13分で磨崖仏の前に出た。高さ4メートルに近い大岩に2メートルほどの毘沙門天像が刻まれており、間近で見るとなかなかの迫力だった。その大岩の上が石鎚山の山頂だった。山頂では無く、磨崖仏のそばで昼休憩とした。昼食を済ませてから山頂に立つと、南に平らな大岩があり、そこは好展望地だった。南東から南西まで広く眺めることが出来た。石鎚山での休憩を済ませると、鳥ヶ嶽へと縦走に移った。細々とした小径を歩いて行くのだが、目印テープもあって道を誤るようなことは無かった。冬場のため蜘蛛の巣は全く無く、スムーズに歩くことが出来た。またヤブっぽさもあまり感じず歩けた。むしろ冷気の快さを感じながら歩いた。緩やかな尾根歩きが続いて、石鎚山から22分で鳥ヶ嶽の山頂に到着した。苦しかった夏場の尾根歩きが嘘のような易しさだった。鳥ヶ嶽で少時展望を楽しむと、下山は前回歩いた南コースではなく西コースに入った。その西コースが急坂続きだった。南コースも急坂だったが、それ以上だった。急坂の上に滑り易さがあって、足を置く位置を慎重に見極めながら下った。ただ道ははっきりしていたので、逸れる心配は無かった。麓が近くなると十字路に出た。そこを右手に向かえば車道に早く出られるのだが、呉妹駅に早く近づける左手の小径に入った。山裾を歩くようになり、南コースの登山口近くに出ることになった。車道に出ると、そこから呉妹駅まで10分の距離だった。鳥ヶ嶽から石鎚山へと続く尾根の縦走は、冬にこそすべきだったと分かったこの日の登山だった。
(2025/2記) |