国道29号線を走って鳥取県に入ると、若桜町と八東町のどちらの町でもいかにも城山ではと思える姿の山を間近に見るようになる。若桜町の方は鬼ヶ城跡がある鶴尾山で、八東町の方は高平城跡がある城山だった。鶴尾山には2010年に登っていたので、城山にも登ろうと向かったのは2015年3月のことだった。車は少し離れているが若桜鉄道の隼駅に止めて、そこから歩き始めた。往路のコースとしては、北西尾根を登ることにした。その北西尾根の山裾近くには墓地や水道設備があって、そこまでは山道が付いていたが、その先に道は無かった。無くとも尾根は疎らな雑木林で、無理なく登って行けた。尾根も緩やかとあって、けっこう気楽な登りだった。ただ尾根の途中で倒木の多い所があり、そこはまたぐのが煩わしかった。山頂が間近になったとき、尾根が削られたようになった所が現れたが、そこは堀切ではと思われた。どうやら城跡に入ったようだった。山頂に着くと、そこは城跡らしく平らになっていたが、三角点は無かった。地図を見るとこの城山の山頂は東西に長く、東の方に三角点記号があった。そこで東の方向に移動した。東側の方が若干高いようで、そこに着くといかにも本丸跡ではと思える佇まいを見せていた。そこは広く平らになっており、中央に一本の木を残すだけで一帯の木は伐られていた。そのため展望は素晴らしく、北から東にかけてが広く眺められた。樹林に囲まれた山頂を予想していただけに、この好展望はうれしかった。北向かいにどっしりと見えるのは猫山だった。遠くには扇ノ山や氷ノ山も望めたが、春霞と言えそうな視界のため、そちらはごくうっすらと見えるだけだった。それでも広々とした展望を十分に楽しんだ。下山は北東尾根を下ることにした。そちらも城跡のようで、段々状になっていた。その城跡を離れても、尾根を易しく下って行けた。そして最後車道が見えてくると、尾根端法面工事で急斜面になっていたので、左手に回り込んで、無難に麓に下り着いた。そこから隼駅までは1.5kmほど国道482号線を歩くことになったが、田舎の道とあって通行する車は少なく、のんびりと歩いて行けた。国道は途中から若桜鉄道と接するようになると、その線路の脇にはツクシやオオイヌノフグリの花が咲いていて、春たけなわの感じになっていた。
(2015/3記)(2020/10記) |