広島県の尾道市近郊で海を眺められる山はないかと「新・分県登山ガイド 広島県の山」を参考にして探したとき、この黒滝山から白滝山へと続く尾根コースを登りたくなった。向かったのは2024年11月の最初の連休のこと。前日は同じ目的で「しまなみ海道」の生口島にある観音山を登っていた。その山頂からは多島海となった瀬戸の海が眺められた。その夜は尾道市内に宿を求めており、この日は尾道市から竹原市への移動となった。その移動には主に国道2号線を走ったが、国道からも多島海を眺められたのは良かった。但しこの日も少し濁った視界ではあった。ナビのままに走ると県道59号線に出ることになり、その道を南下していると黒滝山の標識が現れた。おかげですんなりと黒滝山の南を通る林道に入ることが出来た。そして登山口に着いてみると、そこに4台分の駐車スペースがあったのだが、既に埋まっていた。そこで今少し東へと林道を進むと、すぐに広い駐車スペースが現れて駐車出来ることになった。今回の山行ではガイドブックを持ってきておらず、前日と同様に地形図を読図して登ることになった。前日もそれで問題なく、この日の黒滝山も標識がはっきり付いており問題無さそうだった。登山口に入ると、はっきり遊歩道歩きだった。すぐに展望台やトイレ棟のある場所に着くと、そこには黒滝山を紹介したパンフレットが置かれていた。そのパンフレットにはガイドブックよりもずっと詳しい地図も付いており、至れり尽くせりだった。その地図が無くとも標識も的確に付いており、それに従って登れば良いだけだった。前日と同じく常緑樹に囲まれた小径を登って行く。信仰の山らしく点々と石仏を見ただけでなく、霊水池が現れたりお堂が幾つか現れて見所は多かった。また樹林帯を抜けたときは、瀬戸の海が視野いっぱいに広がった。まさに多島海の風景だった。その展望をいっそう広く眺められる展望台も現れた。北へと向かうようになると、岩山の姿をした黒滝山が見上げられた。易しい道は続き、岩山の危なっかしい所もないままに黒滝山の山頂に到着となった。当然のように山頂も好展望地だった。ただ前日よりは瀬戸の海はモヤが強いようで、薄ぼんやりとした見え方になっていた。一休みを追えると、白滝山へと向かった。登山道を歩き始めたとき、漸く北に白滝山の姿を見ることになった。白滝山も山頂は岩場になっており、堂々とした姿だった。黒滝山を離れると始めに階段道で50メートルほど下ることになったが、後はずっと緩やかな尾根道歩きだった。雰囲気の良い常緑樹林に囲まれてスムーズに歩けた。登山道は一部で尾根筋を少し離れて巻き道になることもあったが、ほぼ尾根筋を北へと歩いた。そして白滝山が近づいたとき、広い駐車場が現れた。そこは龍泉寺の駐車場でもあり、龍泉寺まで参道歩きだった。舗装路の坂を登っていると、南にすっきりと黒滝山を見た。龍泉寺に着くと、山頂へは舗装された歩道が左手より始まっており、その舗装路から更に山道が分かれてそちらに入った。最後は岩登りとなって山頂部の西端に出た。祠や鐘楼が建っており境内の雰囲気があったが、最高点は純然たる岩場になっていた。それは八畳岩と呼ばれる一枚の巨岩で、一登りと言った感じでその上に出た。岩の上は広く平らになっており、素晴らしい展望地だった。南は黒滝山を越して瀬戸の多島海が広がっており、北にも展望があって、そちらは大峰山から龍王山へと続く山並みだった。東にも西にも展望があって、この日一番の展望地だった。岩の上は陽射しを避ける物が無いので夏場は厳しいと思えたが、もう11月に入っており、陽射しは強くとも風の涼しさが相殺していた。おかげで良い感じで休むことが出来た。その白滝山での休憩を終えると、竜泉寺へと戻り、そして黒滝山へと歩いてきたコースを忠実に戻った。多少暑さを我慢しながらだったが、空気はからっとしていたので暑さはさほど気にならなかった。黒滝山を巻くコースもあったが、再度黒滝山の山頂に立った。但し十分に展望を楽しんでいたので、山頂では休憩を取らずにすぐに下山へと写った。登山道からは再び多島海の風景を眺めることになり、本当に展望に関しては申し分ない山だった。下山を追えると黒滝山が麓からどのようにながめられるのかと新たな興味が湧いて、南麓の忠海港へと移動した。その海際から眺める黒滝山は迫力があり、忠海の名山であることを実感することが出来た。
(2024/12記) |