◆ TAJI&HM の 兵庫の山めぐり <広島県の山> | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
古鷹山 ふるたかやま | 394m | 江田島市 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
クマン岳 | 399.5m | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
1/2.5万地図 : 似島 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
【2008年12月】 | 2008-127(TAJI&HM) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
高尾山の岩場より江田島を望む 2009 / 1 |
2008年の大晦日と翌日の新年を広島市の山で過ごそうと、一泊二日の小旅行を計画した。大晦日に登る山として最初に予定したのは、広島市の北部に位置する可部冠山だったが、心配は天気だった。天気予報では広島県北部は雪または曇りで、南部は晴れときどき曇りとなっていた。広島市内なら何とか晴れの区域ではと期待しながら姫路を離れたのは午前6時だった。山陽道は快晴だった。ほとんど雲は見られず、視界もくっきりとしていた。その空が暗転したのは西条ICに近づいたときで、一気に黒い雲が北の空から上空へと広がってきた。そしてちらちらと小雪も舞い出した。周囲の風景もその小雪に隠されるようになったので、あっさりと可部冠山は諦めて、翌日の元旦に予定していた広島市街に近い山、呉娑々宇山に目標を切り替えることにした。山陽道を広島東ICで離れて広島高速1号線に入ると、程なく広島市街が遠望出来るようになった。そちらは晴れのようで、市街のビル群に光が当たっていた。これで一安心と南下して行くと、雪雲も一緒に南下しているようで、上空は相変わらず黒い雲のままで小雪も降り続いていた。呉娑々宇山のそばを通っても同じ状態で、むしろ山は雪雲に閉ざされてしまった。これでは呉娑々宇山も楽しめないと、そこで頭の片隅に最後のプランとして考えていた、瀬戸内海に浮かぶ島の山に改めて目標を切り替えた。広島市街に入ると小雪こそ無かったが、上空はすっかり曇り空だった。市街の道路は大晦日の朝のためかひっそりとしており、その市街地を抜けて宇品港を目指した。頭に描いていた瀬戸の島は、広島湾に浮かぶ似島のことで、そこの安芸小富士登ろうとの考えだった。宇品港に着いたのは9時半で、駐車場に車を止める。ターミナルビルに近づくと、安芸小富士の姿がごく近い位置に見えていた。そしてターミナルビルに入って知ったのは、似島行きのフェリーがちょうど出航したことだった。次は11時と1時間以上も待たなければならなかった。これは後手後手に回っているようで、ちょっと嫌な予感がしたが、よく考えてみると似島以外にもハイキングの楽しめる島があるはずだと、持参していたガイドブック「ひろしま百山」を開いた。するとこの宇品港からフェリーの出ている江田島にも手頃なハイキングを楽しめる山が紹介されていた。それが古鷹山だった。そこで江田島行きのフェリーの時刻を見ると10時出航となっており、ちょうど良い時間だった。急きょ古鷹山を登ることにした。江田島の切串港行きのフェリーは、大晦日の午前は乗る人が少ないのか、10人ほどが乗っただけで出航だった。広島の海はまさに多島海の海で、どれが島でどれが陸地なのか区別がつかない風景で、間近に見えるのが似島と分かるだけだった。そして船はベタ凪の海を滑るように進んだ。江田島は広島の市街地からごく近いようで、30分の船旅で切串港に着いた。その江田島だったが、小雨が降っていた。どうやら北から流れてきた雪雲がここまで届いて小雨を降らせているようだった。その雨の中を歩き出した。雨の中でガイドブックを取り出すのは面倒なので、たしか単純に住宅地を抜けて南に向かえばと、ざっと読んだ知識を頼りに、適当に住宅地に足を踏み入れた。ところが次第に上り坂となって丘に向かってしまった。そこで心配になって近くで庭に立っていた人に古鷹山を尋ねると、少しコースから離れていることが分かった。但しそのまま歩いても遠回りになるだけで、川沿いの車道に出られると聞いて一安心だった。その頃には小雨も止んで、空の雲も薄くなり出していた。丘から下って小さな川のそばに着いて、漸くガイドブックを開いた。その川が長谷川で、単純にフェリー乗り場からこの川沿いを歩いておればよかっただけのようだった。これで正しくガイドブックのコースを歩くことになった。川沿いの車道を南へと歩いて行くと、道が二手に分かれて、その分かれ目に古鷹山登山口の標柱が立っていた。右手の道の先には墓地が見えていた。そこはガイドブックを見て、左手の林道を進んだ。林道は緩やかな上り坂となり、周囲は山の風景に変わってきた。気温も下がって、温度計は6℃を指していた。ただ天気は確実に良くなっているようで、上空にはうっすらと青空が見えるようになってきた。車道のままに歩いて行くと、林道が二手に分かれた。そこに標識があり、右手の道は古鷹林道と名付けられていた。登山道は幾つかあるようだったが、ガイドブックの紹介コースは古鷹林道側にあるため、右手の道に入った。その古鷹林道からはときおり切串港が眺められたが、登山口はなかなか現れなかった。少し林道歩きに退屈し出したとき、ちょっとした広場が現れた。休憩の東屋もあったが、そこは大鷹(おたか)広場と名の付く単なる広場で、登山口では無かった。そこより少し進んで漸く登山口の標識が現れた。但し案内標識では登山口にはトイレがあるとなっていたが、そこには見えなかった。どうやら別の登山口のようだった。ただ林道歩きに退屈していたこともあって、そこより登り出すことにした。登り出すと、雑草があったりシダが道に被さったりと、ちょっとマイナーな登山道だった。その状態がその先もまだ続くのかと心配しだしたとき、別から来た登山道と合流した。道幅が広くなり丸太の階段道も有る様はすっかり遊歩道だった。どうやらガイドブックで紹介されているコースを歩き出したようだった。登るうちに陽射しも現れて、そして20分も登ればもう稜線に出た。西には岩肌も見える古鷹山のピークが間近に見えていた。ただその山頂には三角点は無いようで、尾根を逆に歩いた東のピークが三角点ピーク(点名・江田島)のようだった。まずは三角点ピークに先に立とうと、尾根を東に向かった。そちらはごく普通の山道の様子で、里山を登っている気楽な感じで登って行った。右手には江田島湾が見えていた。三角点ピークには6,7分で着いた。そこはさほど展望は良いとは言えず、二等三角点(標高375.7m/点名・江田島)を単に見たというだけの感じのため、すぐに古鷹山山頂へと向かった。一度鞍部まで戻り、山頂へと登り返す。こちらは岩肌を登る所もあって、ちょっと面白い登りだった。それでも鞍部との標高差は70メートルしかないため、ごく短時間で山頂に立てた。そこは三角点ピークとは違って、ぐんと山頂らしさがあった。適度な広さがあり中央には方位盤も置かれていた。そして何より素晴らしいのがその展望だった。一部を木々に遮られているものの、少し位置を変えれば360度の眺望が有ると言ってもよさそうで、何とも広い眺めだった。その展望は瀬戸の島を眺められるのはもちろんだったが、江田島の大きさをそこに立って初めて知る思いだった。切串港の街並みは島のほんの一部だったようで、南には江田島湾を挟んで島の中心部の市街地がずっと大きく広がっていた。その家並みの数にやはり江田島市と名の付くだけの大きさであることを実感出来た。北には広島湾を挟んで広島市街のビル群が並んでいた。また東にも大きな街並みが見えており、そちらは呉市のようだった。単純に島からの眺めと言えないスケールの大きさと面白さがあり、見ていて飽きなかった。その古鷹山に着いて分かったのは、隣のクマン岳まで尾根道がつながっていることだった。距離としては大したことも無さそうで、立ち寄る時間はありそうだった。始めの考えでは古鷹山の山頂を踏めば下山する予定だったのだが、もう行くと決めるとすぐに行動に移すことにした。クマン岳への尾根道もごく気楽に歩けるもので、古鷹山からクマン岳へ歩くコースはポピュラーなようだった。その尾根の途中を林道が横切っていた。そこは鞍部の位置でもあるので、緩やかに下って林道に下り、そして改めてクマン岳登山口から登り出すことになった。クマン岳コースも良く整備されており、こちらの方が古鷹山の遊歩道よりも歩き易いのではと思えた。途中にはコンクリートで作られた階段もあった。前方にはクマン岳がすっきり見えており、細長いローソクのような岩が見えていた。その岩のそばまで来てみると、帆立岩と名付けられていた。その帆立岩の位置より5,6分緩やかに登った所がクマン岳の山頂だった。そこも平らに開けており、雰囲気は悪くなかった。なぜか小さな鐘があり、「クマンの鐘」と名前が付いていた。そのクマン岳も山頂展望が素晴らしかった。そこからも古鷹山と同じく島の中心部が眺められ、また似島に近いだけに似島の全景が眺められた。そしてクマン岳から見る古鷹山の姿も悪く無かった。ちょっと足を延ばして立ち寄る感じで来たクマン岳だったが、その眺望の良さに得をした気分にさせられた。クマン岳にも満足して、漸く下山とする。下山はクマン岳の登山道をそのまま戻った。但し途中で名残を惜しむように帆立岩に立ち寄って、最後の展望を楽しんだ。林道に下り着くと、後は林道をひたすら歩いて切串の町へと戻るだけだった。ただその林道歩きは退屈と言ってよく、古鷹山の登山口に着いたときにもう飽きてきた。その気分で大鷹広場に戻ってきたとき、ショートカット案を思いついた。それはそこから見えている植栽がされたばかりで地肌がむき出しになっている尾根を、一気に下ってしまおうという考えだった。いざ歩き出すと、人為的に段々状にされた山肌はけっこう急坂だったが、作業用の小径があって狙い通りに下って行けた。最後は草藪に突っ込んでしまったが、少しのヤブコギですぐに抜け出せ、畑地に下り着いた。予定通りに大幅に林道をショートカット出来て、その林道に合流した。そこから墓地そばの登山口標識まではさほどの距離でも無かった。そして切串の家並みへと入って行った。そのとき時計を見ると16時が近くなっていた。フェリーの時刻を見ると、次の船が16時だった。間に合うか間に合わないか分からなかったが、次の船まで50分も待ちたくなく、早足で街並みを通り抜けて行った。フェリーが港にあるのが見えると、最後は小走りになってフェリーに向かい、飛び込むようにして乗り込むと、1分と待たずに出航となった。これはどうやら林道をショートカットしたおかげだった。朝と同じく凪の海を進む船上で、離れゆく江田島を眺めると、あれが古鷹山であれがクマン岳とすぐに分かり、すっかりなじんだ風景のように思えてきた。その山並みを眺めなが胸に広がってきたのは、突然の島の旅になったこの日の登山だったが、たっぷりと旅情を味わえて登って良かったの思いだった。 (2009/1記)(2012/9改訂)(2021/11改訂2) |
<登山日> | 2008年12月31日 | 10:40切串港フェリー乗り場スタート/11:18墓地そばの登山口標識/11:51大鷹広場/12:03登山口/12:22古鷹山山頂と古鷹山東峰の分岐点/12:28〜31古鷹山東峰(三角点ピーク)/12:43〜13:24古鷹山山頂/13:46クマン岳登山口/14:06〜30クマン岳/14:36〜41帆立岩/14:47クマン岳登山口/15:13大鷹広場/15:40墓地そばの登山口標識/16:00切串港フェリー乗り場エンド。 | |
(天気) | 切串港に着いたときは小雨が降っていた。歩き出すと程なく止んだが、上空には黒い雲が広がっていた。その空も次第に回復して、登山道を登り出す頃には青空も見られるようになっていた。山上にいるときは曇り空が広がったり青空が広がったりを繰り返した。気温は7〜8℃。山上では冷たい北風を受けるも、さほど強くは無かった。視界はまずまず良し。但し北の空は雪雲に閉ざされていた。 | ||
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