七国見山は広島県呉市の上蒲刈島にある山で、呉市街からだと安芸灘大橋を渡って下蒲刈島へ、更に蒲刈大橋を渡って上蒲刈島に出ることになる。この七国見山に向かったのは2018年11月の最初の日曜日で、この日は広島県全域で快晴が予想されていた。
朝に自宅を離れるとひたすら山陽道を走った。そして東広島市で東広島呉自動車道に入ると終点が呉市の阿賀地区だった。国道185号線に出ると東へと走って仁方地区の二つのトンネルを抜た。その先で国道から下蒲刈島への道が分かれた。そして安芸灘大橋が見えてくると料金所を通ることになった。有料の橋であることは分かっていたが、料金は720円だったのでちょっと高いのではと思ってしまった。ナビに従って下蒲刈島の東海岸線を走り、蒲刈大橋を渡ると上蒲刈島の南の海岸線東西へと向かった。快晴の空ながら少し空気は濁っているようで右手の瀬戸の海は霞んで見えていた。原トンネルを抜けるとそこは七国見山の南麓で、ウォーキングセンターの標識が現れた。そのウォーキングセンターに七国見山の登山口があるので、ウォーキングセンターに着くとその前の駐車場に車を止めた。時間は12時半だった。ウォーキングセンターの建物の横に登山口標識が立っており、おかげですんなりと登山道に入って行けた。それは観音コースで、ほぼ階段の道になっていた。10分少々登って一度林道に出ると、すぐ先が西泊公園で展望台になっていた。青い海に瀬戸の島々が浮かんでいたが、うっすらとした視界のため島々もうっすらとしていた。そこからはまた階段の登山道を登って行くことになった。その階段を十数分ほど登って五合目に着くと、そこに建っていたのは西楽寺だった。その先から登山道は漸く自然な道となって良い感じで登れるようになった。周囲は常緑樹帯と言ってよく、いかにも島の山を登っている雰囲気があった。六合目に出ると尾根を望めるようになったが、まだ距離があった。そして八合目に着いたとき大きな岩が現れて、その上に立つと西泊公園で見たときよりも更に広がりのある瀬戸の風景が得られた。もう十分に展望を楽しんだことでもあり、登ることに専念して山頂を目指して行く。ただ登山道は傾斜はさほどきつくないものの、なぜか地表はモコモコとしており歩き難さがあった。どうもイノシシが掘り起こしたのではと思われた。そのため滑らないように注意して登った。その登りを続けて着いたのは410mピークで、そこはすっかり樹林に囲まれており単なる通過点の雰囲気だった。その410mピークからは歩く方向は西へとなり、緩く下って緩く登り返して山頂到着となった。そこには展望台が建っており、良い休憩場所になっていた。この日はスタートしてから誰とも会っていなかったが、山頂も無人とあって一人で山頂展望を楽しむことになった。ただ展望は木々の生長もあってか、途中で出会った展望岩よりも見える範囲は狭かった。それでも瀬戸の展望を楽しむには十分だった。山頂で10分ほど過ごすと、下山は北西方へと続く登山道を下った。そちらの道も観音コースとされており、ウォーキングセンターからの道よりも道幅は広かった。その下山道も地表はモコモコしており、歩き難いことに変わりなかった。こちらの道は展望は無く、ただ下るのみだった。とにかく休まず下ると30分ほどで林道に合流した。ガイドブックの「新・分県登山ガイド 広島県の山」を見ると、後は林道を七国見山の南面側へとずっと歩いて行くようだった。林道は舗装されていたものの途中に災害地があり、土砂が道を覆っていた。どうやら車の通行は出来ないようだった。林道は緩やかな上り坂で、それは七国見山の南側に出ても続いた。上り坂の頂点は採石場を足下に見る位置で、道路を離れて採石場の最上部に立つと、足下に採石で岩肌が荒々しく削られた風景が広がった。下り坂に入ると瀬戸の風景を長めながらとなった。途中には東屋の建つ所が2カ所あって公園風になっていた。ただ2番目の公園は物見橋公園の名が付いていたが、東屋は老朽化のためか立入禁止になっていた。またその先では道路の崩壊している所があって、どうも林道は通行禁止のようだった。林道歩きの後半は展望を楽しみながらとなり、ゆっくりと海岸線に近づいた。そして最後は恋ヶ浜の近くで県道287号線に合流した。ウォーキングセンターまで数分の距離だった。まずは静かな島の山旅を楽しめて、満足の思いで駐車地点に戻って行った。
(2019/7記) |