二回目の熊山は南麓側からと考えていた。それを実行したのは1回目から10年経った2003年11月22日のこと。北部は時雨模様だったが、瀬戸内側は晴れだった。この日の朝方は熊山を眺められる山として吉井川を挟んで対峙する三谷山登っていたので、熊山への移動は昼前になっていた。駐車地点は油滝神社の社務所前の駐車場とした。三谷山をのぼっていたときはすっかり曇り空になっていたのだが、その頃には再び青空が広がろうとしていた。香登コースを登ろうと、始めに小川沿いの車道を北へと歩いた。道そばの家はどこも備前焼の窯元のようだった。そのまま歩けば登山口に着けると思っていたのだが、ある窯元の所で行き止まりとなってしまった。実際は少し手前で右手に分岐した道が正しかったのだが、標識が無かったため道誤りをしてしまった。正しい道に入るとすぐに登山口の標識が現れて、車道から分かれて登山道(湯滝神社参道)が始まっていた。よく踏まれた道は古からの道らしさがあって、雰囲気は悪くなかった。急坂も無く易しく登って行けた。毘沙門堂の前を通り過ぎると、谷を見下ろす感じで登山道は続いた。周囲は低木が多いためか背中に陽光を受けながら登ることが多く、程良い暖かさを感じながらの登りだった。途中に展望の良い岩場があり、そこで一休みとした。登りを続けると尾根を歩くようになり、湯滝神社の下之宮、上ノ宮を過ぎて、登り始めてから1時間ほどで山上の駐車場に着いた。そのとき小さな電波塔が建つそばの490mピークを山頂と勘違いをして、三角点を探してしまった。誤りに気付き、改めて三角点ピークへの車道を歩いた。三角点ピークに着くと、二等三角点はなぜか赤く塗られていた。そこからの展望は、片上湾を梢越しに眺めるのがやっとだった。三角点ピークのそばには大きな電波塔(熊山無線中継所)が建っており、ちょうど作業が行われていた。その様子を見ながら、電波塔の上からならさぞかし360度の眺望を楽しめそうだと思った。その後は、お決まりの熊山神社から熊山遺跡、そして展望台と一巡りをした。熊山遺跡の前ではハイカーとは見えぬ三人が、ひたすら土下座をしていたのが異様だった。展望台には10人ほどがおり、そちらはハイカーだった。山の雰囲気を楽しんでいる風で、その中に入ってこちらもいっとき瀬戸内の風景を眺めて過ごした。この日はピストン登山を考えていたので、下山も香登コースで戻ったが、登り下りとも誰に会うこともなく静かな登山を楽しむことが出来た。
(2003/12記)(2025/4写真改訂) |