八塔寺山を21年ぶりに登ることにした。2017年の7月に入った最初の日だった。梅雨の最中でもあり軽いハイキングをしようと考えたとき、八塔寺山が思い浮かんだものである。登山時間が少なく、登山口との標高差も少なく、登山道も整備されているとあって、梅雨時ではちょうど良いのではと思えてだった。
ナビにまかせると、国道2号線から国道373号線へと入り、上郡町の中心部を抜けると山伏峠を越えて近づくことになった。この日は梅雨空が少し緩んでおり、青空も少しあって傘が無くとも登って行けそうだった。その空が岡山県に入る頃にはすっかり薄黒い雲に覆われてしまったが、それでも雨は降らないのではと思えた。八塔寺集落への車道に入ると、まず茅葺き茶屋の前に出た。そこから前方に小ぶりな山が見えたのでそれが八塔寺山かと思ったが、どうも形が違った。次にふるさとの駅の前で車を止めると、先ほどの山の左手に一回り大きな山が見えた。近くにあった案内板を見ると、大きな方が八塔寺山で、小さな方は飯盛山だった。八塔寺山が近づくと景観保全のためなのか茅葺きの民家を見るようになり、八塔寺山の麓に八塔寺が見えてきた。その八塔寺山から南の方向に少し離れて公園があったので、そこに駐車とした。この季節に八塔寺を訪れる人は少ないのか、他に車は見かけなかった。まずは八塔寺へと近づくと標識が現れて、そのまま進めば八塔寺山の登山口に着くようだった。また山頂までの距離は僅か800mでしかなかった。予想通りこれは簡単なハイキングになると思いながら登山口に近づいた。そこからのハイキングの様子は下の写真帳をご覧いただきたい。コースは八塔寺山遊歩道と名付けられており、四国八十八カ所巡りにもなっていた。そのためコースに入るとすぐに二番と番号が付された石仏が現れ、その次が三番だった。コースは始めの部分こそ草ヤブになっていたが、すぐに歩き易くなった。他の季節なら気楽なハイキングなのだが、梅雨時とあって蒸し暑さはかなりのもので、すぐに汗まみれになってしまった。標識は的確にあり、標識のままに歩いて行くだけだった。自然な山道の所もあれば丸太の階段道になっている所もあった。天気は少しずつ良くなっているようで、淡いながらも青空が見られるようになり、陽射しを受けるようになった。山頂が近づくと茅葺きの小屋(行者堂)が現れて、山頂への道はその小屋の左手から始まっていた。そこから100mも歩けば山頂だった。山頂には二等三角点(点名・八塔寺山)が置かれており、周囲は樹林が囲んで展望は無かった。その山頂から少し北の位置で東への展望があったので、そこで暫し休憩とした。僅かながら風があり、少しは涼しさを感じることが出来た。蒸し暑さでへばり気味になっていたので、少し体を横にすることにした。そのとき、ごく小さな虫が近くで動いているのが目に入った。よく見ると山ヒルだった。そうなると休む気にはなれず、すぐに下山とした。下山は歩いてきた小径を引き返さず、そのまま北へと歩いた。小径は山頂を巡っているだけだったので、長くも歩かず往路の道に合流した。後は往路コースを下って駐車地点へと戻って行った。休憩時間を入れても75分ほどのハイキングだったが、梅雨の最中ではこれで十分との思いになっていた。
(2017/7記)(2020/4改訂) |