2023年の10月末日より四日の行程で山口県の低山巡りに出かけた。その初日の10月31日は移動日だったが、自宅を9時過ぎに出ても昼頃には山口県に着きそうだった。そこで午後の時間帯でも無理なく登れそうな山を分県登山ガイド「山口県の山」で探ると、蕎麦ヶ岳が一番適しているように思えた。
中国道をひた走ると予定通り12時過ぎに山口県入りとなり、徳地ICで高速道を離れた。国道376号線から県道24号線、27号線と走り、桜ヶ峠を越えて仁保中ク地区に入ると、北西方向に姿の良い山が望めた。その端正な姿から一目で蕎麦ヶ岳と分かった。登山口に着くと広い駐車場があり、12時40分にスタート出来ることになった。登山道は始めススキやシダが道そばに茂っておりマイナー感があったが、少し進むとその感じは減って、いわゆる易しい登山道となった。登山道は小さな沢に沿って西へとずっと続いており、急坂になることは無かった。登山道の雰囲気も悪く無かった。但し、展望は皆無だった。尾根に着いたのは歩き始めてから38分後で、そこから山頂までは450mだった。尾根歩きとなっても緩やかな道は変わらず、展望が無いことも変わらなかった。また変わらず登山道の雰囲気は優しげだった。520mピークを越すと木々の隙間から山頂が見えるようになり、山頂が近づいて漸く尾根の傾斜が増してきた。それでも急坂と言えるまででは無かった。そして尾根に出てから17分で山頂到着となった。その山頂が着いていきなりの大展望だった。まさに360度ぐるりと眺められた。位置的に山口県の中央であり、周囲は山また山だった。それでも瀬戸の海が眺められたし、山口盆地の市街地も眺められて、山口県に居ることを実感させられた。但し展望が素晴らしだけに、山頂には陽射しを遮る木は無く、強い陽射しをまともに受けることになった。真夏ならちょっと敬遠したくなる山頂ではあったが、もう空気はからっとしており強い陽射しもさほど気にせず展望を楽しんだ。初日にして山口県の山を十分に眺めた思いになれたのは良かった。下山は往路を引き返すのみ。登るのに易しかった登山道は下るとなるといっそうの易しさで、自然林の優しげな佇まいに目を楽しませながらゆっくりと戻った。快晴の空はずっと続いていた。
(2022/11記) |