星山については苦い思い出があった。それは1994年8月のことで、登山コースを横切っていた地図に載っていない林道に惑わされて、その林道をどんどん歩いてしまった。途中で間違いに気付いて引き返したものの、山頂に立つのに2時間半もかかってしまった。また下山時もその林道を歩き過ぎてしまい、2時間ほど余分に歩いてしまった。そこで普通にすっきり登って山頂に立ちたいとの思いを持っていた。ただその思いも是非にと言うほどでもなかったため、先延ばしするうちにずるずると年月が経ち、漸く向かったのは20年後の2014年9月の最終土曜日のことだった。出来れば快晴の空でと考えてこの日にしたのだが、岡山北部の空は雲が多く、中国道から見る那岐山は雲に隠されていた。それでも雲の多い晴れと呼べる程度の空だったので、予定通り星山を目指した。中国道を久世ICで降り、国道181号線、313号線と走って行くと、「勝山美しい森」の標識が現れた。後はその標識に従うだけだった。細い車道を走って行くが、車道は次第に林道の様相を見せてきた。山中を走るようになり、小さな尾根を越したとき、前方に展望が現れて星山の姿が望まれた。星山は雲に隠されることも無く、その端正な姿を見せていたので一安心だった。「勝山美しい森」に入ると登山者用の駐車場があり、そこに駐車とした。既に数台の車が止まっていた。ハイキングとしてはごく一般的な星山ハイキングコースを歩いたことでもあり、その様子は下の写真帳でご覧いただきたい。東口コースに入り、往路は前山を迂回するコースを登った。そして復路は前山に立ち寄るコースを歩いた。どちらも子供でも無理なく歩けるコースで、樹林が美しかった。また山頂が近づいたとき、クマザサが広がってくる風景も悪くなかった。登るほどに展望も広がって、その風景を楽しみながら登った。往路は迂回コースを歩いたこともあって、76分で山頂だった。山頂に着くと6人ほどのハイカーがいたが、順次下山を始めて、暫くするとパートナーと二人だけの山頂となった。山頂は草地になって開けており、東面こそ笹と樹林で視界を阻まれていたが、西面側は視界を妨げる木が無いため、広い範囲で展望が広がっていた。また樹間を通してだったが、北の山並みも少し眺められた。蒜山の姿ははっきり見えていたものの、大山はほぼ雲に隠されていた。山頂に着くまでは雲の多い空だったため、陽射しを受けることは少なかったが、山頂に着いた頃より少し青空が広がってきたこともあり、陽射しを受けるときが多くなった。また風はときおり吹いてくる程度だったものの、少しひんやりとした感じがあって快かった。その雰囲気の良い山頂で過ごしたのは45分ほど。山頂を離れると往路を引き返し、途中から前山コースに入った。コースは前山の山頂から少し離れた所を通っていたが、山頂への道が分かれたので、前山の山頂に寄り道した。山頂こそ樹林に囲まれていたが、その手前までは展望があって、星山の姿を大きく眺められた。これで星山には十分の思いとなって、後は主コースに戻って、登山口を目指して下って行った。そして最後に余録としてシバ栗拾いを楽しんだ。朝に登山道の入口辺りで、落ちたばかりと思えるシバ栗の実を見ていたのだが、誰も拾っていなかったようで、そのシバ栗を拾ってみると、栗ご飯一食分程度を拾うことが出来た。
(2014/10記)(2020/12改訂) |