◆ TAJI&HM の 兵庫の山めぐり <鳥取県の山> | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
陣鉢山 じんぱちやま | 1207m | 若桜町(鳥取県) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
1/2.5万地図 : 若桜 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
【2008年3月】 No.2 | 2008-32(TAJI&HM) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
「響きの森」の近くより 2008 / 3 |
姿の良い陣鉢山だが氷ノ山が間近にあるとあって、雪山として魅力はあっても、短い残雪期はどうしても氷ノ山に関心が向かうことになってしまう。そのため、この山を雪山として訪れる人は少ないのではと思われる。登山ルートは東因幡林道を使えば登山としてはごく簡単なのだが、その東因幡林道は距離が長く、雪の季節にワカンを履いてとなると登山口まで片道2時間の林道歩きをすることになり、登山をするまでにけっこう足を使うことになる。その雪の林道歩きもワカンでなくスノーシューなら足の負担は軽減できるので、むしろスノーハイキングとして楽しめるのではと思ったのは、スノーシューで歩くことに少しは慣れた2008年3月のことだった。07−08年の冬は雪の多い冬で、残雪期に入った3月もたっぷり雪が残っていた。そこで毎週のように雪山を楽しんでおり、3月21日の金曜日もウィークデーだったが、一人で鳥取若桜の東山(とうせん)登山を楽しんだ。その東山の余韻の残っているその夜、翌日の登山のことをパートナーと話し合ったとき、やはり雪山を楽しむことになった。東山登山の翌日なので足の疲れも考慮して、無理せずかつ楽しく登られる山はと考えて、東山から見えていた陣鉢山が思い出された。そして最初に書いた林道をスノーシューハイクで楽しめるのではとの考えが思い浮かんだものである。 前日の午前はガス雲の広がる若桜町の空だったが、この日は快晴だった。雲一つ見えなかった。若桜氷ノ山スキー場を覗くと、ゲレンデはまだ白く営業が行われていた。そこにスキー客に混じって何人かの登山者を見かけたが、快晴の氷ノ山を目指しているのであろう。この日の山頂の賑わいが想像出来そうだった。こちらは国道482号線を走って兵庫県境へと向かう。国道の除雪はどこまでかと考えていたが、案の定、氷山命水から先は全く除雪されておらず、いきなり1メートルほどの雪ですっぽり覆われていた。その雪の始まる位置に駐車する。その駐車地点のそばには他にも数台の車が止まっていたが、氷ノ山を目指したようで、国道を覆う雪面にはトレースは見られなかった。その雪面を最初からスノーシューを履いて歩き出す。残雪期の雪はザラメ雪となってよく締まっており、スノーシューはほとんど潜らなかった。国道こそ雪に厚く覆われていたが、山肌の木立を見ると根明けが進んでおり、そちらは残雪期の風景だった。ただ国道ではあまり風情は感じられなかった。30分ほど歩いて東因幡林道に入る。元々細い土道の林道とあって、白い道はすっかり風景に溶け込んでいた。周囲は自然林が多くその裸木の枝を見ると、新芽が膨らんでいた。場所によっては林道を歩いているとは思えず、ただ林の中を歩いている雰囲気の所もあって悪くはなかった。雪の東因幡林道はスノーハイクを楽しむ所と言えそうだった。ただ東因幡林道に入ってから展望はほとんど無かったが、陣鉢山との中間点辺りまで来ると左手が谷に向かって急斜面となり、一気に展望が開けて来た。氷ノ山から三ノ丸、そして三ノ丸からは高山へと長々と尾根の続いているのが一望だった。氷ノ山の北隣りには赤倉山が氷ノ山に負けない堂々とした姿で並んでいる。その展望に誘われて一休みだった。ただその位置は崩壊地でもあるようで雪面が斜めになっており、足を滑らせると谷底に落ちる恐れがあった。慎重に通り越して林道歩きを続ける。また木立に視界を妨げられたが、今少し進むと今度は陣鉢山が見えて来た。ずいぶん大きく見えており、今すぐにでも登山口に着けそうだったが、そこから林道は山ひだなりにくねくねと曲がるため、なかなか陣鉢山に近づかない。いいかげん林道歩きにくたびれた頃、登山口と言える陣鉢山の尾根が分岐する位置に着いた。登山口と勝手に呼ぶが、別に目印があるわけでもないので、雪の斜面に適当に取り付いた。この尾根ははっきりしているので、すぐに尾根を追えるようになった。始めのうちは地表の現れている所も見られたが、程なく尾根はすっぽりと雪に包まれて歩き易くなった。尾根の雪もよく締まっており、スノーシューなら無理なく登って行けた。程なく右手の木立がばらけてくると、そちらに大きな山が二つ並んでいるのが望まれた。扇ノ山と青ヶ丸で、青空の下にくっきりと見えており、ようやく陣鉢山を登っている実感を持てた。尾根は緩やかなまま続いていたが、山頂の手前にある1123mピークの登りとなって、少し傾斜がきつくなった。それもごく短い距離で、1123mピークに立つともう山頂は指呼の距離だった。そこより鞍部への急坂を慎重に下り、やや痩せ尾根の鞍部を歩いて行く。左手に氷ノ山が見えていたので一休みをし、そして山頂へと最後の登りにかかった。けっこう急坂な上に雪溜まりもあり、木に掴まりながらの登りだった。ただ周囲の木立の多くはブナとあって風景としては悪く無かった。ちょっとあえぎながら急坂を登り切ると、そこから山頂までは数十メートルの距離だった。林道を離れてから一時間ほどの山頂なので、まずは簡単な登山とは言えそうだった。二度目の山頂だが、雪の季節はクマザサもネマガリダケも雪の下であり、ヤブコギとは無縁なまま山頂に立てたのは良かった。そして山頂は雪の無い季節とは比べものにならない展望を与えてくれた。尾根の途中でも扇ノ山と青ヶ丸は良く見えていたが、山頂は一段と広く風景が広がっていた。東には鉢伏山が真っ白な姿を現しており、遠くには蘇武岳から三川山へと続く尾根も見えていた。飜って西を見ると、こちらは梢越しだったが、遠くに真っ白になった鋭い山が見えている。一週間前のくらますからも見えていた大山だった。昼の時間になっていたため少し淡い見え方だったが、その姿にはやはり感動させられた。この山頂に立って見たかった展望に南の兵庫県境の山並みがあったが、それは山頂からは無理だった。そこで見える位置はないかと北西に緩やかに延びる尾根に入ると、すこし下った位置からすっきりと眺めることが出来た。その南の空は薄雲が広がり出して鮮やかさは消えていたが、三室山からくらます、東山と主立った山が一望だった。残雪期の陣鉢山はけっこう展望の良い山のようだった。山頂に戻ってようやく一休みとした。風は無くちょっとしたぽかぽか陽気で、言うこと無しだった。それにしても林道歩きの最初から雪面に足跡は全く無く、山頂も動物の足跡しか見られない。人気の氷ノ山のそばでは、やはり陣鉢山は影が薄いようだった。それでもこれだけの展望があり、落ち着いたブナの佇まいも眺められて、決して悪い山では無い。パートナーと二人してこの静かな山頂をじっくりと楽しんだ。山頂では一時間ほど過ごし、13時を回って下山とした。下山は往路のままに戻る。いわゆるピストンだった。登山口までは下りが主体とあって楽だったが、そこから先に長い林道歩きが待っている。雪の上を歩くと言っても午後は気温が上がっており、けっこう暑さを感じながらで、スノーシューも緩んだ雪に朝よりも潜ることになった。それでも残雪期の木立の佇まいに目をやったり、次第に近づく氷ノ山を眺めたりと、林道歩きに楽しみを求めながらの帰路だった。駐車地点に戻り着いたのは16時が近くなったとき。やはり下山後の林道歩きに2時間に近い時間がかかってしまった。足のくたびれ方は前日の東山以上ではと思えるほどで、その林道歩きの印象が強く、登山の印象が少々薄くなっていた。何だか陣鉢山に登っていたのがずっと以前のことだったように思われた。 (2008/4記)(2013/9改訂)(2020/4改訂2) |
<登山日> | 2008年3月22日 | 9:05氷山命水スタート/9:32〜35東因幡林道分岐点/11:08〜12東肩登山口/11:46〜50[1123m]ピーク/12:17〜13:14山頂/13:38[1123m]ピーク/14:00東肩登山口/15:26東因幡林道分岐点/15:50エンド。 | |
(天気) | 快晴。澄んだ空が広がっていた。朝の時点で気温は10℃。風は無く陽射しに暑さを感じるほどだった。雪はすっかりザラメ雪で、林道の積雪は1メートルを越えていた。山頂の気温は13℃。昼を回ると南から薄雲が広がり、薄晴れの天気へと変わって行った。 | ||
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