TAJIHM の 兵庫の山めぐり <岡山鳥取県境の山 
 
那岐山   なぎさん 1255m 智頭町(鳥取県)
奈義町(岡山県)
 
1/2.5万地図 : 大背
 
【2007年7月】 No.5 2007-62(TAJI&HM)
 
     三角点ピークより山頂を望む  2007 / 7

 岡山県は隣県だけに何度となく訪れているが、その岡山県の山で一番好きな山となると、どうもこの那岐山のような気がする。滝山、広戸仙を従えてゆったりと尾根を広げた姿は優美さがあり、登山道の多彩さ、登り易さ、その雰囲気、そして山頂展望の良さと、名山の条件をそろえている山でもある。10年ほど前の「山と渓谷」に載っていた各県の人気の山ベスト5でも、岡山県の第一位はこの那岐山で、蒜山を大きく離しての一位だったと記憶している。この那岐山を2007年7月の台風4号が通り過ぎた翌日に訪れた。選んだ理由としては、大雨の後でもしっかり登れる山はどこが良いかとか、夏山シーズンを前に適度なリズムで登れる山は無いかなど色々と考えているうちに、自然とこの那岐山が頭に浮かんだものだった。
 この日は晴れが期待されており、朝の姫路は快晴。台風の後とあって視界は澄み切っていた。これに気を良くして勇躍中国道を走ったのだが、岡山県に入ると次第に雲が増えて来た。青空も見られたが、那岐山を見るとその山稜はすっかり雲に隠されており、ちょっとがっかりする思いだった。その上空も曇り空で、快晴は期待出来そうに無かった。考えていたコースは奈義町からのコースで、Bコースを登ってCコースを下るごく一般的なもの。その登山口駐車場に向かうと、登山口と離れた駐車場は2台が止まっているだけだったが、登山口に近い方はまだ8時を過ぎた時間にもかかわらずもう満車だった。そこで更に登山口に近づくと、路肩の駐車スペースに1台分だけ空きがあって、すこに車を滑り込ませることが出来た。そしていざ出発しようとしたとき、登山口の標識を見ると「Bコースは倒木により通行困難」と書かれていた。ただ倒木ならそれを越せばよい訳で、気にせず予定通りBコースを登ることにした。登山口に入るとすぐにBコース、Cコースが分かれる。そしてBコースへ。そのBコースを歩き始めて程なく、前日の台風によるものか登山道が水の流れになっていた。少し厳しくなってきたと思ったが、長くは続かず後は歩き易い状態で続いた。概ね植林地を登って行くが、上空はガス雲のままだった。そして登るほどにガス雲に近づき、やがて霧雨が降り出してガス帯に入った。これはこのままガス帯の中の登山かと覚悟して、それならしっかり歩くことに意識を集中することにした。ところが中間点を過ぎた頃より伐採地に入ると、次第に空が明るくなって来た。どうやらガスが薄れ出したようだった。そして辺りの様子も次第に見えて来た。程なく作業道を横切ることになったが、辺りは作業道だらけで、山の様子がすっかり変わっていた。山肌に付く幾つもの道が傷跡のように見えて何とも殺風景で、山林事業とは言うものの自然を崩してまで木を切り出すことに違和感を覚えた。その伐採地から再び樹林帯に入る頃には上空には青空も見られて、山稜もはっきりと現れた。そして振り返れば雲海が広がっていた。この天気の意外な展開にこれは展望も期待出来ると、少し気分を良くして登りを続けた。樹林帯は笹の茂った所もあり、草も増えて幾分煩わしさが出てきたが、気にせず涼しさに助けられながら休まず登って行った。そして山稜が目前となったときに、倒木帯の無かったことに気がついた。どうやら登山口の標識は、伐採中の作業に対しての注意だったようで、今は終わっているため要らぬ心配をさせられたことになる。稜線に出たのは歩き始めてから1時間半後。結局、登山道は何事も無く、そして誰一人と会わずに来られたことになる。もうそこからは登山道と言うよりもハイキング道の雰囲気で、ゆったりとした道幅で緩やかに主脈を走っている。道には木の葉がいっぱい落ちていたが、これは台風の名残だろう。これで天気が更に回復すれば良いのだが、上空は再び曇り空に変わっていた。そして風も出て、少し肌寒さを感じた。稜線を歩き出してもすぐに山頂では無く、暫くは木立に囲まれた中を登って行く。展望の無いままに登り、ようやく開けて来たかと思ったときは、山頂は目前になっていた。稜線に出ておおよそ20分で山頂に着いた。そこは展望地。視界を遮るものは何も無く、本来なら周囲をくまなく眺められるはずだが、上空は雲り空が広がっており周囲はうっすらガスが漂っていた。少し覗ける麓の方向も雲海とあって展望は全く期待出来なかった。それでもガスが切れたときにほんのいっとき扇ノ山が現れて、ここが兵庫の尾根の西にあることを実感させられた。その山頂にいるときが天気の変わり目だったようで、空は急速に暗さを増しており、どうやらひと雨降りそうな雲行きになって来た。そこで休憩舎のある西の三角点ピークに移動することにした。まずは鞍部へと下って行ったが、そこまで着かないうちに小雨が降り出した。また周囲をガスが囲み出した。小雨のうちに休憩舎に着くと、程なく雨は小止みとなった。どうも気まぐれな天気だったが、西の空はすっかり雨雲で天気の回復は望めそうも無かった。その休憩舎で昼食を済ますと、長居をせず下山することにした。下山は三角点ピークから始まるCコースへと入った。少し下った頃より、また小雨が降り出した。もう止む気配は無く、次第に強い降りになって来た。このCコースは那岐山のメインコースだけに何人かの人とすれ違ったが、強い降りとなってもまだ登って来る人を見かけた。その中には若い単独の女性や高齢の女性も混じっており、登山者の層が広範囲なのが中国山地の山としては珍しく思えた。それだけ親しまれている山だと言えそうだった。その人気の一端がこのCコースの自然林の佇まいで、雨に濡れてしっとりとした感じになっているのも良かった。雨は中腹を過ぎて本降り状態となって来た。もう登って来る人はおらず、視界もすっかり雨に閉ざされて、ひたすら登山道を辿るのみ。登山口が近づくと、登山道は水の流れになっている所もあり、靴の中も濡れるほどになって来た。ともかく無事に登山口に戻り着いたが、それにしてもまずまずの晴れを予想していたのに大外れの天気には、本当に呆れる思いだった。ただ終わればそれなりに楽しめており、季節を替えてまた来たいと思ってしまった。
(2007/7記)(2019/7写真改訂)
<登山日> 2007年7月16日 8:51スタート/9:35林道を横切る/10:11八合目/10:40〜50山頂/10:22主稜線着/10:56〜11:20三角点ピーク/11:44登山口まで2km地点/12:25エンド。
(天気) 曇り空の中をスタートする。中腹よりガス帯に入ると霧雨が降って来た。それも稜線が近づくと止み、上空には青空も見えるようになった。それも長く続かず、再び雲が広がりガスも現れた。頂上に出た直後より小雨が降り出す。小雨は程なく止んだが、下山を始めるとまた降り出し、今度は本格的な雨で、下山を終える頃は強い降りになっていた。山上の気温は20℃で、風は僅かなため少し肌寒さを感じる程度だった。それも登っているときは、ちょうど良い感じだった。
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登山口にはBコースは通行困難と書かれていたが、風
倒木害なので予定通りBコースを進むことにした
登山道の一部は水の流れになっていた 前日の雨に濡れた登山道は、落ち着いた雰囲気になっ
ていた
登山道にはヤマジノホトトギスが点々と見られた 易しい登山道を登って行く やがてガス帯へと入って行った
中間点を過ぎると、作業道を横切ることになった 右手に伐採地が見えてきた その伐採地には作業道が縦横に走っていた
尾根のガスが少し薄れてきたかと思っていると 東の1009mピークがはっきり見えてきた 稜線のガスが消えるまでになった
笹地の中を登って行く 振り返ると雲海の風景だった 歩き始めてから2時間近くかかって主稜線に着いた
稜線の道は緩やかだった 樹林に囲まれるようになった 山頂が近づいて、漸く山頂を望めるようになった
那岐山の山頂に立った 山頂を示す石碑が置かれていた 1240mピーク(三角点ピーク)を見ると、うっすらガスがかかっていた そのうちに三角点ピークのガスが薄れてきた

北東方向の山並
みが姿を現して
きた

そこに見えていた
のは扇ノ山と青ヶ
丸の並ぶ姿だった
三角点ピークに近づいたとき、山頂方向を振り返った 三角点ピークに着くと、三角点を前にして山頂を見る 山頂を少し大きく見る

(←)
ガスが漂い出した
ので、休憩舎に向
かった

 (→)
  休むうちにガスが
  薄れて西に続く尾
  根が現れた
小屋の外に出て1240mピークに向かった 周囲は
ガスが増えようとしていた
1240mピークに戻って改めて山頂を眺めた 南か
らガスが押し寄せようとしていた
休憩舎の方向を見た 休憩舎ははっきり現れていた
下山はCコースを下って行った 雨に濡れた自然林を眺めながら下った 次第に大雨に
なってきた
一度林道に出た 登山口へはこの林道を横切って今少
し下ることになる