◆ TAJI&HM の 兵庫の山めぐり <岡山鳥取県境の山> | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
那岐山 なぎさん | 1255m | 智頭町(鳥取県) 奈義町(岡山県) |
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1/2.5万地図 : 大背 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
【2009年10月】 No.6 | 2009-96(TAJI&HM) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
智頭町西宇塚より 2009 / 10 |
岡山の山で好きなのは那岐山。その姿は優しく、尾根の展望も素晴らしい。また登山道は歩き易く雰囲気も悪くない。おまけに美作ICを下りてからのアプローチも簡単とあって、他県の山としては珍しく何度と登っていた。その那岐山だが、これまで岡山側のコースしか登っておらず、鳥取側のコースには興味はあるものの、どうも登山口までが遠く感じられて登る機会を得ていなかった。その鳥取側のコースが意外と近いことが分かったのは、那岐山に近い桜尾山を訪れたときのことだった。それは09年10月のことで、国道53号線で鳥取県へと入り、智頭町内を走って物見峠へと向かっているとき、那岐山の登山口がこの近くであることを知った。そしてこの日に登った桜尾山からも釈山からも那岐山が大きく眺められて、那岐山を急に登りたくなった。そして登るのなら鳥取のコースでとすんなり考えた。そうと決めると、もう二日後の12日、体育の日にさっそく実行だった。 二日前の那岐山の空は少し雲が多く、午後は黒い雲も現れて尾根を隠すこともあったが、この日は澄んだ青空の広がる、まさに秋晴れの空だった。その那岐山を左手に見ながら国道53号線を走り、黒尾トンネルを抜けて鳥取県に入った。那岐地区に入り土師川沿いの県道295号線を西へと走る。国道53号線を離れる位置より那岐山登山口の標識が立っており、その後も点々と現れる標識に従うだけだった。最奥の集落の河津原を抜けると林道大畑谷線に入った。林道は車一台分の幅しかなかったが、舗装路で走るのはスムーズだった。ただ両側が杉の植林帯で、風で吹き飛ばされたのかその小枝がたくさん路上に落ちていた。真っ直ぐと言った感じで走ると大畑橋が現れて、そばに登山口標識が立っていた。はっきりとした駐車場は見えず、近くの路肩スペースに車が2台止まっていた。その一台の車のそばで出発準備をする人がいたので聞いてみると、特に駐車場は無く、適当に止めるとのことだった。9時半が近くなっており、それで2台の車なら、鳥取側のコースは期待通りに静かに登って行けそうだった。林道はその先もずっと延びていたが、入口には車は入らないようにとの注意書きがあった。歩き出すと林道はすぐに二手に分かれ、真っ直ぐ進めば西仙コースで、左手に入れば東仙コースだった。考えていたコースは往路は西仙コースを登り、下山路として東仙コースを下るとしていたので、ここは西仙コースを進んで行く。林道は傷んでおり、四駆車以外は厳しいようだった。ごく緩やかな登り坂で、沢と平行して南へと進む。始めは沢の右岸を歩いていたが、途中で林道は沢と交差して左岸を歩くようになった。そして沢とは少し離れて植林帯の中を登り出したとき登山道の入口が現れた。林道はその先でまた沢と交差してまだ続いていた。西仙コースの登山道に入ると、すぐに渓流コースと尾根コースの二つに分かれたが、ここはパートナーの意見を聞いて尾根コースに入った。渓流コースは寒そうだからとのこと。沢を横切って尾根を登り出す。両側から沢音が聞こえていた。周囲の木立は植林から自然林へと変わり、ブナも見られるようになった。これで雰囲気はぐんと良くなった。そして傾斜が増してきて、岩が目立つようになった。その急坂は一度緩傾斜となったが、長くは続かず再び急坂が続くようになった。むき出しの木の根が目に付くようになり、クサリの付く所もあった。但し注意書きがあり、クサリには固定が不安定なため使わないようにとのことだった。木の根や幹があるので、特にクサリの必要も無く登って行けた。その尾根登りを続けているときに避難小屋が現れた。馬ノ背小屋と名が付いており、小ぎれいな小屋だった。中を覗くとプーンと木の香りがしたので、まだ建ってから日が経っていないように思われた。その小屋に着いてようやく僅かだが展望があり、北の方向が眺められた。小屋を過ぎてもクサリ場があったが、そこも特にクサリを掴まずとも登って行けた。標高1000mの標識が現れると、その頃から登山道の周囲にクマザサが目立つようになってきた。次第に登山道は細くなり、ササの中を登る雰囲気となってきた。尾根もなだらかになってこのまま稜線かと思っていると、樹林帯を抜けてまた急坂となった。ササ地が広がるだけの風景となり、その佇まいは優しげだったが、ササが朝露に濡れており、ズボンの裾を濡らし出した。この季節はこういう事があるのでロングスパッツが必要と思えた。なるべくササに触れないようにして登って行く。もう高い木は無いだけに背後に鳥取の山並みが広がってきた。そして山稜が間近となって前方に避難小屋が現れた。もうその頃には周囲のササは乾いており、気にならなくなったのは助かった。避難小屋のそばを通って山上に出ると、そこは三角点のある1240mピークだった。三角点はあるものの、最高点ピークでは無いのでひっそりとしていた。東に最高点ピークが見えており、そちらは賑わっているようだった。静かな方が良いと、三角点のそばで昼休憩とした。上空は所々に雲が浮かんでおり、尾根はときおり雲の影となったが、まずは良く晴れていると言えそうだった。そして那岐山では久々に味わう澄んだ視界で周囲が眺められた。南の方向こそ逆光で薄ぼんやりとしていたが、東には後山が、北には三国山の尾根、そして西にはうっすらとながら大山までが望まれた。風が少しあり、陽が隠されたときはちょっと寒さを感じたが、陽射しの中ではほど良い暖かさとなって、秋ならではの爽やかさがあった。この三角点ピークで30分ほど過ごした後、最高点ピークに移動した。そこで昼を過ごす人がほとんどのようで、着いたときも10人以上の人は昼食をとっていた。こちらはただ休むだけなので、少し離れて腰を下ろした。この東峰とも呼べる最高点ピークに着いて、氷ノ山が望めるようになった。東山と沖ノ山の間に山頂を覗かせていた。 この最高点ピークからも大山を再び目に出来た。やはり人の多い所は長く居ると疲れてくるので、20分ほど休んで腰を上げた。そして更に東へと歩き出す。山頂を離れるとすっと静かになるのは悪くなかった。周囲はササと自然林の尾根で、その辺りは那岐山の尾根の中でも落ち着きのある風情で、歩いているだけで楽しくなる所だった。周囲を木立に囲まれたため一度展望は閉ざされたが、下り坂になってビューポイントが現れた。鳥取、岡山、兵庫の三県にまたがる山並みが一望だった。天気の良い那岐山は、本当に展望に恵まれると改めて思った。そこより少し進むと岡山側のBコースが分かれ、今少し先が鳥取の東仙コースの分岐点だった。東仙コースに入ると、こちらも西仙コースに負けない美しい自然林が登山道の周囲に広がった。但しこの東仙の登山道は丸太の階段道でずっと続いた。階段は古びていて風景にとけ込んでいるのは悪くなかったが、段差が大きいため足にとっては負担が大きかった。歩度を上げると足がくたびれるので、ゆっくり目で下った。そして周囲の木立の風景を楽しんだ。このままずっと階段のままかと思っていると、尾根が緩くなると自然な登山道に変わった。それにしても鳥取側の登山道は静かだった。往路の西仙コースでは誰とも会わず、この下山路でも一人とすれ違っただけだった。その下りの途中で、突然林道に出会った。ただそこは横切るだけで、再び登山道に入って尾根の下りを続ける。但し林道交差の位置から10分ほど下ったとき、尾根を離れて左手の方向へと斜面を下ることになった。そして小さな沢を横切ると少し登り坂があり、その先でまた丸太の階段道での下りが始まった。それまでもけっこう急坂はあったが、そこはそれ以上ではと思われる急坂になっていた。それにしても急坂で歩く所が結構長いので、地図を取り出して確かめると、登山口と山頂とでは標高差は600m以上あった。その急坂の階段道を下りきると林道に合流した。もう後は林道を歩いて登山口に戻るだけだった。 この鳥取側の那岐山登山コースは、大畑橋を起点に東仙コースと西仙コースの二つのコースを歩くことで周回ルートで楽しめるが、何よりも静かでマイペースのままに登れるのが良かった。那岐山の魅力を新たに見つけた思いになって駐車地点へと戻って行った (2009/11記) |
<登山日> | 2009年10月12日 | 9:32登山口スタート/西仙コースを登る/9:47登山道入口/10:13〜18馬ノ背小屋/10:32標高1000m地点/11:05〜42那岐山三角点ピーク/11:51〜12:14那岐山山頂/12:24〜32東の展望ポイントで休憩/12:36東仙コース分岐点/12;57標高1000m地点/13:04林道を横切る/13:14尾根を離れて左手へ/13:31林道に下り着く/13:47エンド。 | |
(天気) | 快晴の空が広がっていた。雲はほとんど無く、まさに秋晴れだった。気温は13℃と少し低めだったが、登る条件としては悪くなく、良い感じで登って行けた。風もほとんど無く、穏やかだった。山稜に出ると少し雲が多くなっていたが、まだまだ快晴と呼べる空で、陽射しに当たっているとぽかぽかと快かった。視界は遠方が僅かにうっすらしている程度で悪くなかった。 | ||
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