TAJIHM の 兵庫の山めぐり <鳥取県の山
 
    とうせん 1388.0m 若桜町・智頭町(鳥取県)
 
1/2.5万地図 : 岩屋堂
 
【2012年4月】 No.4 2012-34(TAJI)
 
    沖ノ山林道より  2012 / 4

 2011年の7月に、大乢(智頭・若桜越)から新しい切り開き道で東山を登ったとき、冬にもこのコースを登ってみたくなった。問題は大乢までどのように行くかだった。中国自然歩道を歩いて行くか、沖ノ山林道の雪の状態が少ないようであれば、林道を途中から歩き出すことも考えられた。そこで翌2012年に入ると、残雪期の東山を登る機会を窺った。ところが3月中はなぜか休日となると天気は悪くなり、行けないままに過ぎてしまった。4月に入っても他の山行があったりして日にちは過ぎ、月の半ばになってしまった。そうして迎えた15日の日曜日が、ようやく晴れの予想となった。そうなると急に行きたくなった。どこからアプローチするかだったが、東山こそまだたっぷり雪の残っていることは考えられたが、林道の雪はかなり消えているのではと想像して、そこで沖ノ山林道を行ける所まで車で走り、雪で阻まれた位置から林道を歩いて行くことにした。
 姫路の自宅を離れたのは5時50分。現地で思わぬトラブルがあっても、時間に余裕を持ちたいための早朝出発だった。この日はパートナーは用事があったため、一人で出かけた。少し残念だったのは空模様で、青空が広がっているものと思っていたのに、朝の空は薄曇りだった。その空は国道29号線を走っていても変わらず、むしろ北に向かうほど雲の色は濃くなってきた。ただ天気は晴れて来るだろうと思うことにした。戸倉を過ぎると、道そばに雪を多く見るようになった。これでは林道にも雪が多いのではと、少し心配になってきた。鳥取県へと入り、岩屋堂で国道29号線を離れて南へと向かった。吉川集落を右手に見る辺りまで来ても、一帯に雪はほとんど見られなかった。その先の林道に入っても路上に雪は無かったので、これはけっこう先まで行けるのではと思え出した。ところが沖ノ山林道の終点の位置を過ぎると雪が現れて、車が進み難くなってきた。そこで車は沖ノ山林道の終点に止めることにした。スノーシューをザックに付けて歩き出す。考えていたよりもずっと手前から歩くことになったが、こればかりは仕方がない。上空を見ると薄い青空も見られて、天気は予想通りに良くなっているようだった。大道橋の辺りで雪が増えてきたが、まだ地表の現れている所があり、そこを歩いて行った。江浪川に架かる江浪橋を渡ると、左手に江浪峠への道が分かれた。その辺りはすっかり雪になっており、ここでスノーシューを履いた。林道の雪は60cm以上ありそうだったが、雪は良く締まっており、潜ることもなく歩いて行けた。そのまま雪の上をずっと歩くものと思っていたのだが、暫く歩くと雪は減り、更に消えてしまった。そうなるとスノーシューを脱ぐ。どうも春先の林道は雪があったり無かったりで、スムーズに歩けない。それでも一時間ほど歩くと、もう林道は深く雪に覆われている状態となった。林道はくねくねとしながらも西に向かったが、目印が無いため現在地が良く分からなかった。1時間40分ほど歩いて現れたのは吉川集落からの中国自然歩道コースで、地図を見るとその位置でまだ大乢まで6〜7kmはありそうだった。その合流点の少し先で、中国自然歩道が西の尾根に向かって分かれた。自然歩道は林道を横切った形だった。ここでちょっと思案した。この先延々と林道を歩き続けることは気分的にしたくなく、そうかと言って自然歩道で尾根に出て尾根を歩くコースは更に時間がかかりそうだった。但しまだ9時を回ったばかりと時間はたっぷりあったので、気分転換とばかりに尾根を目指すことにした。コースは左手に沢を見る形で西の方向へと向かったが、コースはすっかり雪で何となく分かる程度だった。ときおり現れる目印でコースを確認した。一部で陽当たりが良いのか地表の現れている所があったが、すぐに雪を踏むようになった。そのうちにコースが分かり辛くなったので、北西方向へと適当に登ると、それで正しかったようで、コース標識を見ることが出来た。次第に傾斜が増してきたので、ゆっくりと歩を進めた。周囲はすっかり植林地だった。尾根に出たのは自然歩道コースに入ってから50分が経っていた。後は尾根をずっと北に歩くのみ。尾根の傾斜は緩く、雪も良く締まっていて歩くことに問題は無かったが、周囲は植林が続いて全く展望は無かった。小さなアップダウンを繰り返しながら北へと向かって行くと、小さなピークながら一帯が平らになった所に出た。そこが狩谷山かと思われた。地図を見ると、大乢までまだまだ距離があった。木立の空いた所から東山も姿を見せていたが、まだ2時間はかかるのではと思えるほど離れていた。また大乢までの最高点は狩谷山では無く、その先の1210mピークなので、まだアップダウンが続くことになる。退屈な植林地歩きが続くので、このままずっとかと思えだしたとき、植林地を抜け出した。自然林となって風情が一気に良くなった。ようやくスノーハイキングをしている気分になれた。雪面の広がる風景になったり、氷ノ山から天児屋山までの展望が現れたり、またブナ林が眺められたりで、この尾根歩きを楽しんだ。但し空は曇り空に戻っており、雪の白さと空の白さがあまり区別出来ないのは、雪山の風景としては少し物足りなかった。大乢が近づくと、前方に東山の姿が大きく現れたが、これは一つの立派な山岳風景だと、暫し足を止めて眺めていた。そして大乢へとやや急坂となり、ようよう大乢越に着いたのは11時40分だった。歩き始めてから4時間が経っていた。そこからは9ヶ月前に歩いていたので、山頂までの距離間は分かっている。雪は締まっていたので、1時間程度で山頂に立てるだろうと考えた。予定では昼までに山頂に立ちたかったのだが、それは無理となった。支林道に入り、その林道を数十メートル歩いた後、左手の尾根へと向かった。大乢までの尾根にもうっすらトレースが付いていたが、こちらの尾根にははっきりと付いていた。そのトレースを追うようにして登って行った。始めに急坂が続いたが、スノーシューはしっかりと雪面にかかるので、無理なく登って行けた。空は幾分雲が薄くなったのか、ときに薄晴れに感じることもあった。登るほどに展望が良くなり、北東の氷ノ山から南の沖ノ山までを、ときおり足を止めて眺めた1320mピークが近くなると雪面が広がり、雪山を登る楽しさが味わえた。雪山に来て良かったと思えるときだった。1320mピークに着くと、山頂が望めるようになった。もう後わずかだった。西にも展望が現れて、ごくうっすらとながら大山も望まれた。視界は良いようだった。ネマガリダケが現れている所も見えたので、もう一週間もすればかなり雪は減りそうだった。その残雪を楽しむ思いで、最後の坂を登った。そして無人の山頂に着いた。歩き始めてから5時間15分経っていたので、ちょっとかかり過ぎである。その東山山頂は陽当たりが良いためか雪はかなり減っており、三角点の辺りは地表が現れていた。風は無く、けっこうのんびりムードだった。倒された木に腰掛けて、少し遅い昼食とした。そして昼食後は展望を楽しんでいたのだが、西の方向より一人の登山者が現れた。西側から鳴滝山経由で登ってきたとのこと。雪が少なく、ネマガリダケで苦労したとのことだった。やはり4時間かかったそうだった。その岡山からの登山者は少時の休憩だけで引き返したので、再び一人だけの山頂となった。天気は良くなりだしており、南の空には青空が見えていた。上空も薄晴れと言えるまでになっていた。そのうちにうっすらと陽射しも現れてきた。その中を下山開始とした。雪山の下山はゆっくり歩いても速く下れるので、大乢まで40分だった。その大乢からは、ひたすら沖ノ山林道を歩いて戻ることにした。緩い下り坂なので、どう言うこともないと、少々退屈な雪の林道歩きを続けていると、所々で土砂崩れが起きており、そこを越すときはちょっと注意が必要だった。その林道歩きを続けるうちに天気はどんどん良くなり、改正と呼べるまでになってきた。中国自然歩道が始まる位置まで戻って来ると、そこまで2時間近くかかっていたので、この先もまだ1時間半ばかり林道を歩くかと思うと、ちょっとうんざりする思いになった。ところがそうでも無かった。往路では見落としていたのだが、よく見るとフキノトウがちらほら顔を出しており、そのフキノトウを摘みながら歩いたので、長い林道歩きもさほど退屈しなかった。また朝よりも雪が減っていたので、スノーシューは要らなくなっていた。駐車地点に戻ってきたときは17時半を回った時間だったので、往路と比べると尾根を歩かなかっただけに、1時間ばかり短い時間で戻って来られたようだった。それにしてもこの日は9時間は歩いており、やはり雪の東山は安易には登れないと、改めて知ることになった。
(2012/11記)
<登山日> 2012年4月15日 7:30スタート/7:34大道橋/7:53大道中江林道分岐点/9:11林道を離れて中国自然歩道に入る/10:02尾根に出る/10:32狩谷山/11:24[1210m]ピーク付近/11:40大乢/12:21手前のピーク/12:45〜13:25山頂/14:06大乢/14:19杉のふる里公園/15:31吉川まで8km地点/15:59中国自然歩道分岐点/17:16大道中江林道分岐点/17:37エンド。
(天気) 朝の空は薄曇りだった。その後、晴れ間が広がり出したが、また薄曇りに戻ってしまった。林道の気温は7℃ほどと低かったが、尾根に出た頃は12℃まで上がっていた。風はほとんど無く、天気としては穏やかだった。山頂に着いた頃はまだ薄曇りだったが、その後雲が少し薄くなって、うっすらと陽射しが現れるようになってきた。下山中は天気は更に良くなって、薄晴れから青空が広がる空に変わってきた。気温も14℃まで上がってくる。視界は良く澄んでいた。
<< Photo Album 2012/04/15 >>
沖ノ山林道の終点標識が立つ位置より歩き始めた すぐに雪が現れた 大道橋を渡る 歩くうちに路上の雪は消えてしまった
木立を通して東山を見るが、まだまだ遠かった また雪が現れた 20分ほど歩いたとき、林道大道中江線が分かれた
再び雪は消えた 東に見えたのは「くらます」のようだった 雪は現れたり消えたりを繰り返した
東山の山頂がまた望めたが、ほとんど近づいて
いなかった
青空が広がって天気の回復を期待したが、いっ
ときだけのことだった
林道の雪は徐々に増えてきた
吉川からの中国自然歩道が合流すると、その先
に案内板が見えていた
案内板の位置で中国自然歩道は林道から分かれて
沢沿いに続いていた ここまで1時間40分だった
林道歩きに退屈していたので中国自然歩道を歩くこ
とにした 歩き出すと小さな橋を渡った
自然歩道の雪は多く、コースは分かり難かった 案内標識に出会って、コース上にいることを知
った
陽当たりが良いのか、雪の少ない所が現れた

 コースが判然としな
 くなったので、斜面
 を北西方向に登った

 やや急角度だった


     中国自然歩道が通る
     町境尾根に出た

 中国自然歩道はず
 っと植林地で続い
 た


   小さなピークに着い
   た そこが狩谷山と
   思えた
狩谷山から木立を通して東山を望む 尾根歩きを続けていたとき、南東に三室山を見た 陽当たりが良いようで、雪の消えている所が現れた 
ようやく植林が終わって、自然林が広がり出した ブナの大木も見るようになった 樹間が空いて展望が良くなってきた
北東の方向に氷ノ山を見る 振り返ると、後方の展望も良かった
なだらかな雪面歩きで、スノーハイクを楽しめた 大乢まで1.2kmと書かれていた 大乢までで一番高いと思われる地点(1210m)を通る

 あとは大乢まで下
 るだけとなったと
 き、東山が大きく
 眺められた

 東山の山頂を大き
 く見る
大乢へと急斜面を下って行った 大乢に着いた 一帯は1m以上の雪だった 東山に向かって支林道に入った
支林道をすぐに離れて尾根の方向に向かった 植林地の尾根を登って行く やや急坂だった 尾根にはトレースが付いており、それを追って行った
登るほどに後方に展望が広がってきた 尾根の木立が疎らになってきた

 ブナの根元では地表が
 見えていた 根明けだ
 った


   1320mピークまで
   来ると山頂が望めるよ
   うになった

 山頂を見ながら近づい
 た


    最後の雪の斜面を登
    って行く

 山頂に着いた

 ここは雪溶けが進
 んでいた


   三角点の辺りはす
   っかり雪が消えて
   いた
曇り空ながら視界は良かった 北の扇ノ山から南東の三室山にかけてを眺める
上の写真の右に続く風景を眺める
扇ノ山と青ヶ丸を大きく見る 扇ノ山を更に大きく見る

 氷ノ山の方向を
 大きく見る


   更に氷ノ山のみ
   を大きく見る
後山の尾根を大きく見る 駒ノ尾山の右手後方に見えているのは小豆島と思えた
植松山の尾根を大きく見る 那岐連山を見る

 西には大山がうっ
 すらと望まれた


   大山を大きく見る

 沖ノ山を大きく見
 る


    くらますと三室山を
    大きく見る
東の兵庫との県境尾根を見る
陣鉢山を大きく見る 山頂には40分ほどの滞在で、山頂を離れた 雪が割れてネマガリダケが現れている所を見る

 1320mピークの近
 くで、西に展望が開け
 ている所があった 大
 山もすっきりと眺めら
 れた

 上の写真の三国山の尾
 根を大きく見る
泉山を大きく見る 花知ヶ仙を大きく見る
鷲峰山の方向を見る 下山を続ける 根明けの木立を眺める
雪の消えた所は笹が現れていたが枯れが目立った 植林帯の縁をどんどん下った 登山口に下りてきた 前の広場を眺める

 沖ノ山林道の方向へ
 と歩く 上空は薄晴
 れから晴れに変わろ
 うとしていた


   大乢に着いて氷ノ山
   を眺めた そこから
   見る氷ノ山も悪くな
   かった
大乢からはひたすら沖ノ山林道を歩くことにし
程なく左手に現れたのは「スギのふる里公園」
だった
林道の周囲に広がる樹林を眺める

 振り返ると、東山
 の尾根が眺められ
 た

 林道歩きはひたす
 ら易しい雪道と思
 っていたのだが
 
土砂崩れを起こしている所があり、注意して通った ここは雪崩の跡かも知れなかった 前方のくらますの上空に青空が広がろうとしていた

 氷ノ山の上空も青
 空が広がろうとし
 ていた


   吉川まで8km
   の標識を見る
すっかり雪の消えている所があった 上空は快晴に変わってきた 中国自然歩道の分岐点まで戻ってきた
   
まだ1時間半ばかり退屈な林道歩きを続けるの
かと思ったのだが
林道脇をよく見るとフキノトウが顔を出してい
た おかげで林道歩きを退屈せずに済んだ
樹間からくらますを見る 光は夕方の色に変わ
ろうとしていた