この二つの山は地図では山名も標高も付いていないが、どうやら登山道があるだけでなく標識もあって、地元で愛されている山のようだった。但しごく低山でもあるので、登山としては短時間で終わりそうだった。そこで小豆島の最高峰である星ヶ城山を登った序での形で向かったのは2018年3月のことだった。好天が続いていたためこの日の視界も濁っていた。予定通り午前に星ヶ城山登山を済ませると県道31号線で北岸側へと下りた。そして海岸に出て県道26号線に合流すると、右回りの形で東へと走った。左手に見る瀬戸の海は薄ぼんやりとしており、対岸は見えなかった。その県道を吉田地区に入ったときに離れて吉田川沿いの車道に入った。すぐにキャンプ場が現れると、吉田川を挟んで公園(ふれあい広場)が見えたのでそこに駐車とした。北を見ると吉田山と吉田富士の並ぶ姿が間近に眺められた。ほぼ0m地点から眺めるためか標高は200m以上ではと思えた。始めに吉田川に沿って東へと歩いて荒魂神社の前に出た。そして荒魂橋を渡って吉田山に近づいた。キャンプ場のグランドの縁を歩くようにして北へと向かうと登山口標識が現れたので、登山道へと入った。山裾の辺りはちょっと山道が分かり難かったが、点々と標識が立っており迷わず歩いて行けた。斜面を登るようになると、ごく普通の里山道を登る雰囲気となった。周囲は瀬戸内の山らしく照葉樹が多かった。さほどきつい所も無く尾根に出ると、道は二手に分かれた。右手を進めば吉田山で、左手を進めば吉田富士だった。先に吉田山に向かった。尾根道は少しヤブっぽさがあったものの道ははっきりしていた。山頂が近づくと岩が増えてきたが、無理なく歩けてごく気楽に山頂に着いた。山頂と言ってもそこに三角点は無く、山名標識も付いていなかった。強いて言えば近くの岩に「吉田山」と書かれてはいたが、それも消えかかっていた。まずはマイナーな雰囲気の山頂と言えた。ただ少しは展望があって西の方向には吉田富士とその背後の尾根が眺められた。南は海岸線と南向かいの尾根を見た。14分ほどの休憩をとると、引き返して吉田富士に向かった。分岐点を過ぎて吉田富士の登りにかかると、意外やシダが増えてヤブの感じとなった。それでも急坂が始まると、また普通に歩けるようになった。吉田山と違い岩場の急坂もあってロープを伝って登るようになった。そして岩をよじ登るようにして山頂に着くと、そこは見事な展望台だった。岩場の山頂ながら足下の岩は平らになっており、そこからは南から西へとすっきりとした展望が広がっていた。北にも展望があって瀬戸の海が眺められた。海は薄ぼんやりとしていたが、海岸線の色がきれいだった。その吉田富士にも三角点は無く山名標識も付いていなかった。好展望の上に爽やかな空気に包まれての休憩とあって、吉田富士に対する好感度は高かった。おかげで30分ばかりのんびりと過ごした。そして下山は登ってきた道をすんなりと戻った。下山はやはり速く、登山口まで20分だった。どちらもごく小さな山だったが、登り味が違って二種類を楽しめたことになった。視界の良い日にもう一度登って瀬戸の海をすっきり眺めたいと思った。
(2019/1記) |