TAJIHM の 兵庫の山めぐり <香川県の山>
 
コミ山     212.8m 男木島
(香川県高松市)
ズッコ山     185m
 
1/2.5万地図 : 豊島
 
【2012年10月】 2012-92(TAJI&HM)
 
   女木港を離れて男木島へと近づくとき  2005 / 5

 四国は高松の沖に浮かぶ女木島、男木島には、島の風景を写真にしようと1980年代に二度訪れたことがある。女木島の印象は少なかったが、男木島は小さな島の急斜面に集落が固まるようにして並んでいるのが珍しかった。その二つの島をハイキング対象として訪れるのも悪くないと思いついたのは、2012年10月の体育の日を含む3連休を前にしてのことだった。そこで計画したのは車は宇野港に止め、フェリーで高松港へ。そして連絡船で女木島、男木島へと向かおうと言うものだった。二つの島をゆっくりハイキングしようとすれば、どうしても高松港8時発の船に乗らなければならない。となると自宅は4時過ぎに出なければならないことになる。それでも行きたいと実行したのは、8日の体育の日だった。自宅を出たのは4時15分。山陽道をまず走って備前ICで降りた。そしてブルーライン、岡山バイパスと走り、県道30号線で宇野港へ。未明の道路は空いており、予定通り6時に宇野港に着いた。その宇野港だが、乗船予定の宇高国道フェリーの近くには駐車場が見当たらず、少し離れていたが、JR宇野駅の近くの駐車場に駐車とした。一日500円だった。もたもたしていたものだから、フェリー乗り場に着いたのは、出向の10分前だった。ところで宇高国道フェリーは17日で休止とあった。あと9日である。乗客離れからフェリー代を値下げせざるを得ず、結果として経営を圧迫したのかも知れない。こちらは乗船だけなので、高松まで往復700円と言う安さだった。早朝の便とあって、車は乗用車が5台だけ。客室内は閑散としていた。この日の空は快晴で視界も良く、瀬戸の海に出ると、瀬戸大橋がくっきりと眺められた。そして高松が近づくと、男木島、女木島には西から近づいた。その上空は澄んだ青空と僅かな雲を見るだけで、朝日がまぶしかった。高松港に着いたのは5分ほど遅れて、7時35分だった。そこから雌雄海運の桟橋へと移動した。桟橋には既にフェリーは着いており、まずは乗船券を買うことにした。先に男木島を目指すため、男木島までの運賃は500円だった。宇高国道フェリーと比べるとずいぶん高いが、独占経営だから仕方がない。フェリーに乗り込むと、30人ほどは居りそうで、まずまずの賑わいだった。船は8時発。ごくゆっくりと走る船だったが、島までの距離は短いとあって、先に立ち寄った女木島までは20分だった。そして男木島へと近づいた。男木島の集落が見えてくると、以前と変わらず、狭い斜面に軒を接すように多くの家が並んでいた。二十数年ぶりに見る風景は懐かしいことは懐かしかったが、どうも新しい家は見当たらず、全体に寂れている印象を受けた。男木港には定刻の8時40分に着いた。港は新しくなっており、風変わりなデザインの待合室も出来ていた。その建物を横目に歩き出した。一応2.5万分の1の地図と観光案内図は準備していたのだが、港には案内板があり、また灯台方向を示す標識もあって、迷わず歩いて行けそうだった。この男木島でどのように行動するかは決めていた。男木島には二つのピークがあって、三角点ピークはコミ山と、その南で一段低いピークはズッコ山と呼ばれているとか。その二つ共に登ろうと考えていた。そしてアプローチとしてはコミ山の中腹にあるジイの穴までは遊歩道があるので、そこまでは楽なハイキングとなるが、その先が分からなかった。ただ山頂への小径ぐらいはあるだろうと思えた。そしてコミ山からは尾根伝いでズッコ山へ向かい、ズッコ山からは適当に集落へと下ろうと考えていた。まずはジイの穴を目指して、始めに集落を抜けて行く。なぜかやたらとネコを見たが、それと反対に犬は見かけなかった。すぐに集落は終わり、島の外周路を歩くようになった。イメージとしては道路から海が良く見えると思っていたのだが、そのようなことは無く、海岸線より少し高い位置を北へと続くのだが海岸側は雑木が視界を遮っていた。たまに木立の空いた所から海が眺められた。車道は車1台分の幅しかなく、また一部が崩落のために工事中で、迂回路が作られていた。そこを過ぎて暫く歩くと、ジイの穴への遊歩道が右手に現れた。階段状に作られた道で、一気に高度を上げていくと、島の北端へ向かう小径が分かれた。更に登ると、ジイの穴への道と展望所への道とに分かれた。ここは展望所へ向かうと、ごく短い距離で展望所に着いた。東屋が建っており、瀬戸の風景がまずまず眺められた。その風景を見ながら一休みとした。その先へも小径らしきものが見えたが、全くのヤブ道だった。そこで引き返して、ジイの穴へ向かった。なるほど大きな岩にぼっかりと穴が開いており、中は薄暗かった。ただ中に入ってみようと思うほどの興味は無かった。それよりも山頂への小径が気になっていたのだが、そこには無かった。辺りは岩壁になっており、登れそうに無かった。何となくその辺りから小径があるものと思っていただけに、誤算だった。ただ山頂までさほど距離があるとは思えなかったので、適当にヤブコギで登ることにした。少し戻った位置が斜面に取り付き易そうだったので、そこより木に掴まりながら登り出した。けっこう下草が茂っており、灌木の小枝も邪魔で、なかなか厳しいヤブコギだった。イバラも多かった。山頂は近いの思いでイバラを切りながら登るが、なかなか進まない。振り返ると、のんびりとした瀬戸の海が眺められた。とにかく我慢のヤブコギを続けて、取り付いてから30分ほどで尾根上に出た。そこに漸く小径を見た。小径と言ってもヤブ道だったが、それを数メートル歩いた所が山頂だった。山頂では少しは展望を期待していたのだが、そこもヤブ地で、周囲は雑木が囲んでおり、展望は無かった。苦労して立った山頂にしては、達成感は無かった。少々残念の思いで山頂に立っていた。そのコミ山のピークから次はズッコ山に向かうのだが、その方向へと小径が続いていた。これは助かると歩き出したところ、尾根筋を離れて西の方向に下り出した。これは誤算だったが、小径がどこから来ているのかにも興味があったので、そのまま下って行くと、何と展望所に出ることになった。展望所の南から始まっていたヤブ道を辿れば山頂に立てた訳で、要らぬ苦労をしたことになる。その展望所から改めて尾根筋に向かった。笹ヤブに入ったが、軽いヤブコギ程度だった。ただ油断をしているとイバラに引っかかった。また灌木をかき分けることもあった。すぐに尾根を辿れると思っていたのだが、どうも地形がおかしかった。常に段々状になっているのである。その段もはっきりと石が積み重ねられており、人工的なものだった。歩くうちに分かったのは、一帯は尾根まで総てかつては段々畑になっていたのではと言うことだった。それが長年の放置で、すっかり自然のヤブに戻ってしまったようだった。大きな雑木も茂って、畑の面影はほとんど無かったが、そう考えると、この地形に納得した。ズッコ山の登りにかかると、雑木は疎らになり、少しは歩き易くなった。空いた所を探しながら登って、一番高い位置に着いた。このピークには三角点は無い。そこもコミ山と同様にヤブの山頂で、周囲は雑木が囲んで展望は無し。一番高い位置より少し進んだ位置が気持ち程度空いていたので、そこで休憩しようとザックを降ろしたとき、後ろでパートナーが「ハチがいる」と大声で叫んだ。続けて悲鳴があがった。刺されたようだった。どうやら山頂にハチの巣があったようである。その辺りには4、5センチはありそうなスズメバチが数匹飛んでいた。山頂を避けてパートナーに近づくと、指先を押さえていた。そしてそばに脱ぎ捨てた手袋に大きなハチがひっかかっていた。とにかく逃げるだけだった。少し離れた位置まで来たとき、小休止とした。はやハチの毒が廻ってきたようで、パートナーの体にジンマシンが出始めていた。良かったのは過去の経験からアレルギー性皮膚炎の薬を持っていたことで、それを飲ませて下山にかかった。ズッコ山からはうっすらとした小径が南の方向へと続いていたので、それを辿って行く。その途中でパートナーは息苦しくなってきたと言うので、もう一度薬を飲ませた。その下山道だったが、傾斜がきつくなって笹地に入ったときに見失ってしまった。もう小径を探す気持ちは無く、ヤブを一気に下った。そして集落の最上部の家の敷地に入った。その家は廃屋になっており、廃屋の門を開けて集落の道に出た。一気に山の世界から島人が暮らす世界に風景が変わった。足下には港まで甍が広がっており、海を見ると女木島が大きかった。そしてその背後は高松の街並みだった。何となくほっとするものの、とにかく帰宅を急ぎたく足早に港へと下りて行った。但し船でないと身動きがとれず、焦っても仕方がないことでもあった。高松へは男木港13時発のフェリーに乗る。高松に着く頃には薬が効いたのか、パートナーの調子は少しは良くなっており、緊急を要する事態で無くなっていたのは良かった。高松では14時30分発宇野行きフェリーに乗った。散々な男木島になってしまったが、島の雰囲気は悪くなかった。残念なのは女木島ハイキングが出来なかったことだが、このアクシデントでは仕方が無い。女木島だけなら無理のない日帰り圏内なので、次の機会にと気持ちを切り換えて、宇野港に着くと、一路自宅へと車を走らせた。
(2012/10記)(2021/4改訂)
<登山日> 2012年10月8日 6:30宇野港/宇高国道フェリー/7:35高松港着−8:00高松港発/雌雄島海運フェリー/8:40男木港着、すぐにハイキングを開始する/9:05ジイのアナへの分岐点/9:22〜27展望台/9:29ジイの穴/9:33山肌に取り付く/10:06〜20山頂/10:34〜42展望台/11:38〜45ズッコ山/12:09集落に入る/12:16男木港着−13:00男木港発/13:40高松港着。
(天気) 朝は快晴。澄んだ空が広がっていた。朝の気温は20℃ほど。その後は気温は上がって、コミ山山頂では24℃になっていた。風は僅かだったが、涼しさがあった。視界は良かった。昼になって薄晴れの空へと変わってきた。
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宇野港に着いて宇高国道フェリーに向かった 6時30分発のフェリーに乗り込んだ 暁の光に包まれた宇野港を出港する
    
西を見ると、瀬戸大橋がくっきりと眺められた 早朝の海に大槌島を見る 大槌島を大きく見る
    

 フェリーは西側か
 ら女木島、男木島 に近づいた

 四国に近づいて、
 五色台の方向を
 見る
   
高松市街の方向を見る 女木島の南を通るとき、島の灯台が望めた 高松港に着いて、雌雄島海運の方向へと歩いた
    
雌雄島海運のフェリーに乗り込んだ 小さなフェリーは定刻の8時に高松港を離れた 行く先に女木島が見えていた
        

 フェリーは先に女
 木島に立ち寄った
 が下船はしなかっ
 た

   次にフェリーは男
   木島に向かった
   
女木島と男木島の間を通って男木港に近づいた 港に入って、山の斜面に並ぶ集落を眺めた 奇抜なフェリーの待合室を横目に歩き始めた
    
島の案内板を見る 案内標識に従って車道を歩いて行く 坂道となって集落の中を抜けて行く
    
振り返ると、港が眺められた 集落が終わって、緑の中を車道は続く ときおり海が眺められた
     
車道はほぼ平坦路で北に向かっていた 案内標識があって、遊歩道に入った 丸太の階段道を登って行く
    
途中で傾斜の緩むことがあった また丸太の階段道を登るようになった 北端の灯台への道が分かれたが、上を目指した
   
まだ階段道が続く ジイの穴に向かう前に展望所に向かった 展望所の東屋を見る
   

 展望所からは北西
 に向かって展望が
 開けていた

   左の写真の金甲山
   を大きく見る
    
上の写真の常山を大きく見る 次にジイの穴に立ち寄った 穴は覗くだけにとどめた 遊歩道に戻って、適当に急斜面に取り付いた
   
けっこうヤブの斜面だった 振り返ると、青い海が眺められた ますます急斜面となり、木に掴まって登った
   
更にヤブがひどくなった 山上に出て、かすかな小径を見た 小径を数メートル歩いた所がコミ山の山頂だった
    
すっかりヤブの山頂だったが小径は南へ続いて
いた
小径を辿り出すと、四国の山並みが眺められた 左の写真の勝賀山を大きく見る
   
小径は尾根に向かわず西の方向に下り出した 北西の海を眺められるようになる 最後にヤブをかき分けた
   
小径の終点は展望所だった この小径を歩いて
おれば苦労せずに山頂に立てていたことになる
次はズッコ山を目指すことにした まずは尾根
に出ようと引き返す形で歩いて行った
途中からヤブがきつくなって、またヤブコギ状
態になってしまった
    
地形は石が積まれて段々状になっていた どう
やら以前は段々畑だったようである
段々畑の地形がずっと続いて、尾根をすんなり
と辿ると言う訳にはいかなかった
ズッコ山の登りにかかって、少しは楽に登れる
ようになった
  
ズッコ山の山頂に着いた すっかりヤブの山頂
だった 全く展望は無かった
その山頂でパートナーが悲鳴を上げた スズメ
バチの巣があったようで刺されてしまった
大慌てでズッコ山を離れた 南に続く小径を辿っ
て下った
   
笹地に入って小径を辿っていたが、途中で小径
を外してしまった 後は適当に下って行く
後ろからパートナーがふらふらになりながら付
いてくる 全身にジンマシンが出来ていた
集落の最上部の家に出た その家は廃屋になって
いた
    

 廃屋を抜けて集
 落内の小径へ下
 りて行った

  集落内の道に出
  たとき、前方に
  広がる風景を眺
  めた
   
その集落の道を下って行った 右手に鳥居を見た その先は豊玉姫神社と思えた 港が近づいてきた
    
集落内の道は最後まで細いままだった 港に戻ってズッコ山を眺めた 早く島を離れたかったが、ここで45分ほど待つことになった