初めての小豆島山行をしたのは1999年1月年のこと。ガイドブックの「分県登山ガイド・香川県の山」を参考にしてだった。その山渓ガイドブックが新版になったときに書き加えられたのが千羽ヶ嶽だった。他の小豆島の山も記憶が薄れてきていたので、2回目の小豆島山行をすることにした。向かったのは2018年3月の第二日曜日だった。この日は快晴ながら冷え込んだ朝だった。姫路港に7時前に着くと、7時15分発のフェリーに乗り込んだ。海上から見る播磨の山並みはうっすらしていたが、特に悪いと言うほどでもなかった。但し風は冷たく、デッキに長くは立っていられなかった。小豆島の福田港に着くと、すぐに千羽ヶ嶽南麓の橘地区に向かった。新ガイドブックでは荒神社からのコースが紹介されていたが、まずは駐車地点を決めるのが先決だった。橘地区に入ると国道436号線を適当な位置で離れて山の方向に向かった。うまく林道に入るとすぐに「親指岳」の文字を見た。二度目の文字を見たとき、その近くに路肩が広くなっている所があったので、そこに駐車とした。案内に従って東へと林道を歩き出すと、拇指嶽の登山口が現れた。それが千羽ヶ嶽への登山口でもあると思えたが、別に登山口があるのではと考えて今少し東へと歩いた。するとすぐに荒神社のそばに出た。ガイドブックと照らし合わせると、やはり先ほどの拇指嶽登山口が千羽ヶ嶽の登山口でもあるようだった。引き返して拇指嶽登山口に入った。登山道は整備されているとは言えなかったが、道ははっきりしており目印テープも続いていた。つづら折れの感じで登山道は続いており、周囲は自然林で少し薄暗さがあった。そのうちに傾斜がきつくなって岩を多く見るようになった。さらに傾斜がきつくなるとロープを見るようになり、それを掴んで登った。左手には木々の隙間から垂直の岩壁が見えていた。そのロープを掴んでの急斜面登りが終わると急になだらかになった。近くに岩場のテラスがあり、そこが拇指平と呼ばれる所のようだった。その上に立つと一気に展望が広がって、南の風景が一望となった。播磨灘だけでなく内海湾も眺められて小豆島の山に登っていることを十分に実感出来た。惜しむらくはこの日の視界が少し濁ってうっすらとしていたことだが、風景を楽しむ妨げでも無かった。その展望岩を離れて山頂に向かった。山頂へのコースも一部が岩場になっており、またロープを掴んで登った。そして樹林帯へと入り、そこを抜けて山頂に出た。最高点は岩場になっており、そこも好展望地だった。その最高点を含めて辺りに三角点は無く、西の方向に少し離れた数メートル低い位置で三等三角点(点名・橘)を見た。その山頂からは北へと歩いて林道経由で内海港へ下るコースもあるようだったが、この日の午後は別の山を登る予定をしており、移動のことを考えて千羽ヶ嶽はピストン登山を予定していた。そこで休憩を済ませると往路を戻って下山とした。再び急斜面の岩場を通るのだが、下りとあって登りよりも慎重さを要した。それでも下りは速く山頂から40分ほどで登山口に戻ってきた。休憩時間を含めても2時間ほどの登山だったが、いきなり小豆島の山を満喫した思いを持てて、千羽ヶ嶽に対する好感度は高かった。
(2018/5記) |