TAJIHM の 兵庫の山めぐり <高知県の山
 
五在所ノ峯    ございしょのみね 658.3m 四万十町・黒潮町
(高知県)
1/2.5万地図 : 窪川
 
【2010年1月】 2010-01(TAJI&HM)
 
   北麓の金上野より  2010 / 1

 2009年の年末は高知県への小旅行を計画した。ガイド本「新・分県登山ガイド 高知県の山」を参考に、初日の30日は本山町の白髪山を登ったところ、山頂付近は10センチ以上の雪が積もっていた。雪山に対する準備は特にしていなかったため、この日の登山こそ何とか切り抜けたが、翌日以降は県北部の高峰は諦めることにした。そして雪の心配が無さそうな太平洋側の山を目指すことにした。改めてガイド本を見直して、31日の大みそかに登る山として決めたのが、四万十町と黒潮町の境に立つ五在所ノ峯だった。
 30日の夜は高知市内のホテルに泊まり、翌31日はホテルを9時前に離れた。空を見ると、くっきりと青空が広がっており、安心して国道56号線を西へと走った。それが次第に空模様が怪しくなってきた。快晴の空に北からどんどん雲が流れてきて、暫くすると曇り空になってしまった。更に土佐市辺りまで来ると小雪までちらつき出した。一時的なものかと思っているとそうではなく、次第にはっきりとした雪となり、七子峠ではうっすらと車道に積もるまでになってきた。徐行運転のため11時が近い時間に漸く五在所ノ峯の麓に着いたが、雪はまだ降り続いていた。そこで道の駅「あぐり窪川」まで戻って、天気の回復を待つことにした。昼を回って漸く雪は止んだものの、山並みがガスに隠されたままだった。視界のない登山はしたくなく、この時点になって漸く五在所ノ峯を登ることを諦めた。この後は午後の登山として須崎市内の蟠蛇ヶ森を目指したが、こちらも時間切れで山頂を踏まずに下山とした。結局、大みそか登山は消化不良で終わってしまった。
 一度は登ると決めた五在所ノ峯なので、2010年新年の山として改めて目指すことにした。宿は引き続き高知市内のホテルとしていたため、また移動に時間がかかることになった。そこで須崎市までは高知自動車道を走って時間短縮することにした。この日は快晴。但し北の山並みはまだ雪が降っているようで、そちらから強い風が吹いていた。五在所ノ峯のそばに来ると、登山口に通じる林道入口に大きな看板が立っていた。その林道を進めば良かったのだが、入口にはゲートがあって車は進めなくなっていた。そこで林道の入口に近い空き地に駐車とした。前日の雪はまだまだ残っており、最初から雪を踏んで歩くことになった。但し雪と言っても、数センチ程度だった。平坦な林道を5分ほど歩くと、作業小屋の立つ位置に着いた。その右手に登山口があり、登山道が始まっていた。手頃な小径で、既に何人も登っているようで、雪面に多くの足跡が付いていた。植林地を数分も登れば尾根に出て、後は尾根を南へと登って行くことになった。雪は特に増えることも無く、ごく普通に歩いて行けた。ただ少し傾斜がきつくなると滑り易くなったので、そのときは慎重さが必要だった。登山道にはときおり標識があり、山頂までの距離が書かれていた。その標識に「あと500m」と書かれていた所に来ると、初めて南の方向に展望が現れた。南西方向で、緑の森の先に太平洋が陽光を受けて光っていた。但し、少しうっすらとした視界だった。その辺りまで来ると周囲の木立は人工林から自然林に変わっており、それも常緑樹が多いようで、青々と茂っていた。特に無理も無く登って、山頂に立ったのは歩き始めてから50分ほどだった。1時間以上はかかると思っていただけに、意外と早く着いたとの印象だった。山頂は平らに開けており、うっすらと積もった雪で白くなっていた。そしてその中央に一等三角点が置かれていた。山頂には他に一名を見るだけだったので、多くあった足跡は初日の出登山の人のものだったと思われた。その山頂は、ガイドブックでは展望は良いとは書かれていなかったが、少し木が切られたのか、北にも南にもまずまずの展望があった。南の風景は太平洋を足下に見るもので、先ほどの展望地より少し広く眺めることになった。南西方向にはごくうっすらと足摺岬も見えていた。北の空はまだ雪雲が広がっているようで、見えるはずの石鎚山系はすっかり雲に隠されていた。ガイドブックではこの五在所ノ峯で一番展望の良いのは尾根を北に400mほど歩いた所にある哨戒所跡とのこと。当然、そちらに立ち寄ることにした。頂上部は南北に長く延びているので、あまり起伏も無く歩いて行ったが、この山稜歩きで北風を強く受けるようになった。また木立に囲まれた薄暗い中を歩くので、それまで以上に冷たさを感じた。温度計を見ると−1℃を指していた。5分ほどで哨戒所跡に着くと、そこも平坦になっており、山頂以上に太平洋を広く眺められることになった。南東方向にはごくうっすらとながら室戸岬が細長く突き出ているのも見えていた。ただ東と西に木立があって、思ったほどすっきりとした展望地でも無かった。それにしてもそこは一段と風が強く、陽射しを受けていても、体の芯まで冷たさを感じた。この五在所ノ峯はここまでとして、後は引き返して下山することにした。山頂に戻ると、人影は無くひっそりとしていた。後から来た人はいないようだった。その下山では「あと500m」地点の展望地で再び足を止めて海を眺めたが、強い風のためか視界はいくぶん良くなっており、足摺岬が山頂で見たときよりも、少しくっきりと見えていた。その後も人と出会うことは無く、駐車地点には正午前に戻って来ることが出来た。この五在所ノ峯を選んだ理由として、山頂から太平洋を眺めたいと言うことだったのだが、ねらい通りに展望が味わえて満足というものだった。そこで午後でももう一度別の山から太平洋を眺めることにした。それは前日に時間切れとなって諦めた蟠蛇ヶ森で、これを登って前日の消化不良をすっきりさせてしまおうと考えた。その気持ちが起きるともう心は蟠蛇ヶ森に向かっており、そそくさと五在所ノ峯を後にした。
(2010/2記)(2021/10改訂)
<登山日> 2010年1月1日 9:48スタート/9:54登山口/10:09あと900m地点/10:24あと500m地点/10:37〜50山頂/10:54〜11:04哨戒所跡の展望地/11;09山頂/11:18〜21あと500m地点/11:40登山口/11:46エンド。
(天気) よく晴れていた。登山道は雪で白くなっていたが、うっすらとだった。尾根でも山頂でも風は少し受ける程度だったが、哨戒所跡は風が強く、身を切られる冷たさがあった。気温も1℃と冷え込んでいた。視界はまずまず良かったものの、北の空は雪雲が広がっているようで、高い山は見えていなかった。
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五在所ノ峯の大看板があって、見落とすことは
無かった
林道の入口にはゲートがあり、その先には車は
進めなかった
林道歩きでスタートする
林道を5分ほど歩くと作業小屋が現れた 作業小屋のそばが登山口だった 山頂まで1500m 始めに植林の中を登って行く
尾根に出て緩やかな道となった 真っ直ぐに南へ尾根を辿った やや急坂となって、後方に展望が現れた
北の山並みを眺められる所があった あと500m地点では太平洋が眺められた 山頂が近づくと、少し雪が増えてきた
五在所ノ峯の山頂に着く すっかり白かった 山頂の中央に一等三角点を見る 山頂から南西を見ると、うっすらと足摺岬が望めた
光る太平洋を眺めた 山頂の一隅には天測点があった 山頂から5分ほど歩いて哨戒所跡に着く

 哨戒所跡からは南西
 方向が広く眺められ
 た ごくうっすらと
 室戸岬が見えていた
上の写真の三崎山を大きく見る  哨戒所跡より北の山並みを眺める 高い山は雪
雲に閉ざされていた
東の風景は立木がじゃまをして、見えそうで見
えなかった

 下山時にあと500
 m地点で再び海を眺
 めた 朝よりも視界
 は澄んでおり、足摺
 岬がはっきりと望め
 た

 麓が近づいて、木々
 の隙間から山頂方向
 望望んだ