2020年正月は高知県へ山行に出かけた。高知県に入って高知の山として最初に向かったのは、安芸市の五位ヶ森だった。新年二日目のことで、この日は朝から雲一つ無い快晴の空だった。高知市中心部のホテルを8時半に離れると、西へと国道55号線をひた走った。そして安芸市の中心部に入って国道を離れると北上した。ナビに従って走ったのだが、なぜか車のすれ違いが出来ない細い道だった。栃ノ木地区まで来て県道210号線に入るとこちらも車一台分の幅しかなく、しかも安芸川に沿ってカーブが多くありけっこう運転に注意が必要だった。途中は民家を全く見なかったのだが、寺内地区で数軒見るようになり、県道の終点となる和田地区もちょっとした集落になっていた。その和田集落に入って五位ヶ森の標識を見るものと思っていたのだが、気付かず通り過ぎて林道に入ってしまった。一度引き返して改めて慎重に車を進めると、小さな五位ヶ森の標識を見た。その近くに安芸川に架かる橋があり、それが昭和橋だったが、その橋も小さな橋で気付かず通り過ぎそうになる橋だった。その昭和橋に近い山裾に車を止めると、昭和橋を渡って登山コースに入った。橋を渡った先にも五位ヶ森の標識があって、迷わず進んで行けた。斜面を登るようになると一帯は植林地だったが、そこは元は棚田だったようで石垣が残っていた。石垣は暫く続き、ずいぶん高い位置まで棚田があったようだった。その石垣が終わると、純然たる植林地の中を登るようになった。その中を登山道が続くが、小石が多くあり意外と歩き難かった。その歩き難さも登るうちには減ってきて、易しく登れるようになった。但し、ずっと植林地の中の登りだった。一度自然林が現れるもすぐに植林地に戻った。その状況が変わったのは登る方向が北から西に変わったときで、程なく植林地を抜け出して伐採地に出た。そこは南から西、北へと広く展望が得られた。その風景を眺めながら植林地と伐採地の境目となる尾根を北へと数分登ると作業道に合流した。そのすぐ近くが作業道の終点になっていたが、その作業道は地図には載っていなかった。GPSのおかげで山頂方向は分かるので、周囲の地形を眺めて少し作業道を歩くことにした。そして南尾根に接すると、そこから尾根に取り付いた。ところが一帯は伐採地となっており、そこはイバラが繁茂していた。何とも歩き難くこれでは時間がかかり過ぎると思い、出来るだけ作業道を歩いて山頂に近づくことにした。作業道は地図に載っていないため、ときに適当に斜面を登って作業道をショートカットした。その作業道は展望が良く太平洋まで一望出来た。但し12時を大きく回っていたので、早く山頂に着きたい気持ちが強く先を急いだ。登るうちにはっきりと山頂に向かえる作業道が現れて、そちらを進んだ。左手間近に南尾根があり、既に植林地になっていたので尾根に上がってもよかったが、そちらは下山で歩くことにして、往路は出来るだけ作業道を歩くことにした。ほぼ山頂の東側まで来たとき、左手斜面に取り付いた。そのまま山頂まで斜面を登って行くものと思っていると、作業道に合流した。そこは横切って斜面の登りを続けると、また作業道に合流した。五位ヶ森の山頂付近は複雑に作業道が付いているようだった。GPSで改めて現在地を確認して、その作業道で出来るだけ山頂に近づいた。そして山頂の真東の位置まで来てから改めて斜面に取り付くと、僅かな距離で山頂到着となった。作業道に出会ってから1時間が経っていた。山頂は自然林に囲まれており、植林地よりも雰囲気はずっと良かった。その山頂は北の方向に展望があって、大ボシ山が目に付いた。少時展望を楽しむと、13時を回っていたことでもあり下山に移った。山頂からは南尾根上に登山道があり、それがガイドブックの登山コースで、当初に予定していたコースだった。その尾根道を歩いて下山開始とした。自然林は山頂付近だけのようで、程なく周囲は植林地に変わった。その途中で一度作業道に接したが、あくまでも登山道を辿ると伐採地に出てきた。イバラの伐採地だったが、下る方向だったので適当に下って行くと作業道に下り立った。そこは往路で伐採地のために登るのを断念した地点だった。もうその先は一度歩いているので、安心して作業道を歩いた。そして登山道へと入った。登山道はずっと下る一方だったので、植林地を休まずどんどん下った。そして石垣の位置に戻り、小川名集落に入って昭和橋を渡った。この日は往路では作業道を歩いて少し遠回りをしたため、山頂まで2時間半ほどかかっていたが、下山は迷わず登山コースを下ったので、1時間50分で戻ってきた。展望の悪い五位ヶ森と思っていたのだが、作業道からは南の風景を山頂からは来たの風景が眺められて、けっこう展望を楽しめたのは良かった。
(2021/11記) |