2020年1月21日に西表島を訪れたのは、西表島の最高峰である古見岳を登ることだった。その古見岳は予備日を入れて2日間を予定していた。その古見岳だけが目的だったので、最終日の24日は午後に西表島を離れる予定で、午前は主に島内のドライブを考えていた。ただせっかく西表島に来ていたので、名の付く山をもう一山登りたいとは思った。但し午前の1時間ほどで登れる山が条件だった。その考えで西表島の地図を改めて眺めて見つけたのが上原山だった。山頂には三等三角点があり、山頂と並ぶ150mピークには電波塔があってそこまでは管理道路が付いていた。その管理道路からなら20分ほどで山頂に立てそうだった。これは期待通りに1時間ほどで楽しめそうだった。その上原山は上原国有林にあるので、1月21日に西表島の大原港に上陸すると、レンタカーを借りた後に訪れたのが沖縄森林管理署で、古見岳の登山届を出すときに、1月24日は上原山の登る旨も記入した。入山禁止の山が多い西表島だったが、上原山は問題ないようだった。
1月24日朝に9時前に高那のホテルをチェックアウトすると、ひたすら県道215号線を西へと走った。上原山はやはり目立つ山で、標高は160mながら上原地区に入る前から前方に電波塔が見えたことですぐに分かった。レンタカーにはナビが付いていなかったので、GPSを見ながら走ると、すんなりと管理道路に入ることが出来た。そのまま走れば電波塔の位置まで進んでしまうので、管理道路の中間地点まで車を進めると、路肩が少し広くなっている所に車を止めた。そのとき後続車が現れて先へと進んだ。工事用の車だったので、どうやら電波塔では工事が行われているようだった。まずは車道歩きで三角点ピークに一番近い位置まで歩いて行くことにした。この日は前日の午後以上に快晴で、雲はほとんど見なかった。歩き出すとすぐに車止めのチェーンが現れたが、工事のために開かれていた。早めに車を止めたのは正解のようだった。登るうちに管理道路から海が眺められるようになった。快晴の下で見る海の青さは、ひたすらきれいだった。管理道路から電波塔を間近で見るようになると、何人かの作業者が電波塔に立っているのが見えた。道路が山頂に一番近づく位置まで来たとき、そこからは電波塔もすぐ近くだったので、先に電波塔に立ち寄った。電波塔はNTTのもので、工事関係の車が何台も止まっていた。それを見てから山頂への最短地点に引き返した。少し予想はしていたが、山頂への小径は見えなかった。それどころか辺りはすっかりヤブになっており、取り付くのさえ厳しそうに見えた。それを見てパートナーはああっさり登山を拒否してしまった。道路の上で待っているとのことだった。こちらはせっかく来たのだからと分け入ってみることにした。その位置から山頂までは尾根続きで距離も300mほどとあって、山頂はすぐ近くに見えていた。そしていざヤブに分け入ってみると、始めこそ何とか進んで行けたが、途中から草の茂り方が尋常でなくなってきた。草と言ってもちょっとした灌木ほどあり、体全体で押さなければ進めなかった。もう大汗をかいてだった。それでも何とか中間地点まで進んだとき展望が現れて、周囲を眺めることが出来た。そこからは電波塔が間近に見えており、その右手は青い海だった。その風景を見ているうちに先に進みたい気持ちは薄らいでしまった。と言うよりもまだまだヤブコギが続くことに戦意喪失状態になっていた。そうなると引き返すのみ。その引き返すときは尾根筋から少し離れて歩いたので、さほど苦労もせず管理道路に戻ってきた。パートナーと合流すると、管理道路を引き返して駐車地点へと戻って行った。電波塔の位置も山頂の一つと考えると、一応は上原山に立ったとは言えたのでそれで納得することにしたが、西表島の山は例え低山でも侮れないと思わされた。車に戻ると、その後は予定通りにドライブに移った。西へと走って県道215号線の終点となる白浜港に着くと、そこからは引き返した。そして途中の星砂の浜で昼休憩とした。またドライブに移り、今度は県道215号線を東の終点まで走った。車道から見る西表島の風景はひたすらのんびりとしており、ジャングルの厳しさとは真逆の世界だった。そのドライブを終えて大原港に戻るとレンタカーを返却し、14時発の船で石垣島へと向かった。
(2021/10記) |