久米島の山として分県登山ガイドに紹介されていたのが、宇江城岳とだるま山だった。宇江城岳は山頂そばまで車で行ける観光地でもあるので、実質登山対象となるのはだるま山と言えそうだった。そのだるま山の紹介コースもスタート地点とされた上田森農村公園の駐車場から上江州ダム湖までは車道歩きなので、ダム湖まで車を進めると20分ほどで山頂に立てる簡単な山ではあった。それでは面白くないので、山頂まで50分ほどかかるとされている紹介コースを歩くことにした。
向かったのは2024年2月の最初の日。前日と同様に良く晴れていた。上田森農村公園の駐車場に着いたのは9時前のこと。公園の北隣に見えていたのは大岳小学校だった。公園の入口にはだるま山の標識があり、登山口まで400mとあった。それは短過ぎると思いながら標識が示す東の方向へと歩き出した。100mほど歩いてまた標識が現れたが、そこには距離は描かれていなかった。小学校の縁を回るように北へと向かって行く。もう一本道なので道なりに歩いて行った。だるま山に近づくと、南麓側の山裾を東へと歩くようになった。ずっと舗装路だったが、雰囲気としては林道だった。その車道沿いに点々と咲いていたのはカンヒ桜で、小ぶりの赤い花が目を楽しませてくれた。ほぼ平坦な道としてだるま山の東側まで歩いて来ると、上江州ダム湖のそばに出た。その辺りは駐車スペースがあったので、楽にだるま山を登りたいときは、そこまで車で来ても良さそうだった。ダム湖の位置で車道は二手に分かれたので、左手のだるま山に近づく方に入った。すぐにコンクリートブロックの車止めが現れたが、道としてはその先も続いていた。ただ車道と言うよりも遊歩道の雰囲気はあった。その道そばに東屋を見ることがあり、その辺りは公園風になっていた。車道が終わると、山頂に通じる遊歩道が始まっていた。そこが登山口と言えそうだった。遊歩道はほぼ階段状の道で、易しく歩いて行けた。その易しいままに山頂に着いて、ガイドブックの通りに山頂展望を楽しめると思っていたところ、山頂で様相が一変した。そこはすっかりリュウキュウチクのジャングルになっていた。ガイドブックの通りにベンチを見たが、それはもう残骸になっていた。ガイドブックが書かれて10年以上経過していたが、その間に手入れはされなかったようで、今は展望の欠片も無かった。むなしく四等三角点(点名・だるま山)を確認したが、これでは登って来た甲斐が無いと思い、少し展望を探ることにした。周囲に登れそうなしっかりした木は無かったが、何とか体を支えてくれそうな木はあったので、それを登ることにした。ぐらつきながら何とか登ると、少しは展望が現れた。南に見えていたのはアーラ岳で、西の海岸線も少しは眺められた。これで漸くだるま山に立っていることを実感出来た。山頂で佇んでいたのは20分ほど。上江州ダム湖まで戻ると、ガイドブックに示された別の車道には入らず、往路コースをすんなりと戻った。再びカンヒ桜を眺めながらだった。
(2024/2記) |