TAJIHM の 兵庫の山めぐり <沖縄県の山
 
本部富士    もとぶふじ 250.3m 本部町(沖縄県)
1/2.5万地図 : 仲宗根
 
【2009年1月】 No.1 2009-10(TAJI&HM)
 
    本部町の謝花原付近より  2009 / 1

 2009年1月の沖縄山行は最終日が11日の日曜日だった。前日の夜に那覇まで戻っており、この日は18時のフライトで帰る予定だった。そこで17時までに空港に着けば良いと考えて、それまでが自由時間だった。当初の予定はこの日は曇りが予想されたため、運玉森やグスクロードなど那覇市近郊でごく軽いハイキングを楽しむ予定だったが、ただそれでは物足りなさが残るのではと懸念を少し抱いていた。その11日の天気が夜に那覇のホテルで天気予報を見たとき、晴れの予想に変わっていた。そうなると青い海をじっくりと眺めたくなった。その海が良く見える山として思い浮かんだのが本部富士だった。本部半島の先端近くにあり、山頂からは東シナ海の大展望が期待出来そうだった。
 11日の朝は那覇市の中心部、国際通りにあるホテルを8時に離れた。沖縄本島は大きいと言ってもやはり島なので、高速道を利用すれば1時間ほどで本部半島の根元、名護市に着いた。後はナビを本部富士の西麓にある本部グリーンパークゴルフ場にセットして、本部半島の海岸を巡る国道449号線を走って行く。空は晴れているもののやや雲が多かったが、西の空はほとんど雲が無く、昼には快晴になりそうだった。うれしかったのは澄んだ視界だったことで、前日の強風が空気中のチリを吹き飛ばしてくれたようだった。嘉津宇岳や安和岳など本部の山並みがくっきりと見えていた。国道449号線は途中から片側2車線道路となってすいすいと走って行け、すんなりとゴルフ場の前に着いた。東には鋭い三角形の山が間近に見えている。一目で本部富士と分かった。後はその本部富士の登山口に向かうだけだったが、登山口への道がなかなか見つからなかった。北へ行ったり南へ行ったりとしたが、本部富士とは離れるばかりだった。そこで散歩している人に訪ねると、古島集落に入れば分かるのではと言われて、一度通っていた古島集落に戻った。そして適当に一つの脇道に入って行くと、ガイドブックの記述にあった道の両側にゴルフ場を見るようになり、その先にキャンプ場が現れた。またキャンプ場の入口には「もとぶ富士」の標識を見た。どうも今回の沖縄山行は玉辻山から始まって塩屋富士、ネクマチヂ岳と登山口探しに苦労したが、この本部富士でもまた苦労してしまった。登山口の標識のそばに数台の駐車スペースがあったので、そこに車を止めた。そして歩き出そうとしたとき、道は二つあった。一つは平坦なまま東に向かう小径で、もう一つは登り坂となって北に向かう幅広の道だった。よく分からないまま北に向かう道をクサリを越えて登って行くと、すぐに水道設備と思える建物の前で終わってしまった。間違っていたようである。登山口に戻り、改めて東への小径に入った。始めはただの里山道の雰囲気だったが、少し進むと遊歩道としてけっこう整備された道に変わってきた。もう道なりと言うか、登山コースのままに進めば良かった。小さな山なのだが、辺りは薄暗く深い森を歩いている雰囲気となってきた。そして登り道となって少し進んだとき、また雰囲気が変わってきた。ごろごろと大きな石が辺りに広がってガレ場登りとなったのだが、その石が独特のものだった。石灰岩質で、一つ一つが鋭く尖っていた。また岩の表面は穴が多くあいてザラザラしており、靴底に抵抗感があった。うまく歩かないとつまづきそうになったが、転べば軽いケガではすまなそうだった。ただ岩場登りとしては風変わりで、面白いと言えた。そのガレ場登りとなって樹林帯を抜け出たことで、一気に風景が背後に広がってきた。足下には本部町の町並みがあり、その先には青い海が広がっている。そこに浮かぶのは伊江島で、島の中央にある城山(ぐすくやま)が手に取るように見えていた。その風景が登るほどに広がってくるのは、開放感たっぷりだった。森の中を歩いていると、空気は少しひんやりとしていたのだが、陽射しを受けてガレ場を登っていると、快い涼しさがあった。そこを登りきって小さなピークに立つと、山頂が正面にどっしりと見えていた。そこからはそのまま山頂に向かって行くのでは無く、一度右手の方向に少し下って林に入った。そして登り坂となったとき、再び石灰岩のガレ場登りとなった。靴底への抵抗感が大きくて躓きそうな何度もなったが、とにかく転ばないように慎重に登って行く。ただ岩登りとしてはやはり面白かった。この岩登りがあってか、ごく小さな山なのだが、ちょっとした山登り気分を味わえた。そして歩き出してから30分で山頂到着となった。その山頂が最高の展望台だった。空は青く晴れており、その空の下に本部の町並みと海の風景はもちろん、本部半島の山並みも広く眺められた。また北の海には伊平屋島に伊是名島も見えている。この小さな山でこれだけの開放感を味わえるとはちょっとした驚きで、本部富士に来てしみじみ良かったと思えた。その山頂も20分ほどで切り上げることにした。やはりせっかく来た沖縄なので、午後にもう一つ登りたい気持ちがあってのことだった。下山はすんなりと登って来たコースを引き返したが、その下山で一ヶ所だけ道を誤りそうになる所があった。手前のピークへと右手に曲がるべき所を、真っ直ぐな方向にも踏み跡があってちょっとそちらに入ってしまった。すると本州では見かけない強烈なイバラがあってそれにひっかかってしまった。そのイバラはしつこいと言う表現がぴったりのイバラで、抜け出すのに一苦労させられてしまった。こんなイバラがあるようでは、コース以外を歩くのはちょっと無理ではと思えた。この下山では、ガレ場を登り以上に慎重に下ったが、それでも30分とかからず下山を終えた。下山後は本部町の町中にも立ち寄った。そこからどのように本部富士が見えるのかとの興味からだったが、本部富士は間近で見るよりもいっそう鋭角的な姿を見せていた。その姿を目に焼き付けて名護の街へと戻って行った。
(2009/2記)(2010/2改訂)(2021/4改訂2)
<登山日> 2009年1月11日 10:06スタート/最初に北に登って引き返す/10:09再スタート/10:42〜11:00山頂/11:25エンド。
(天気) 登り出したときは少し雲が多く、まずまずの晴れと言ったところ。山頂では青空が広がる。前日の強風のおかげか視界は澄み切っていた。この日は風はほとんど無し。森の中では15℃と少しひんやりとしていたが、山頂では17℃まで上がって、良い感じになっていた。
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古島集落を抜けた先に漸く登山口を見つけて、
そばの路肩スペースに車を止めた
登山口に立っていた電柱には「もとぶ富士」の
標識が立てかけられていた   
始めにクサリを越えて北へと登ったが、道はす
ぐに終わってしまった
道は水道設備までで、そこからはウフグシクム
イが大きく見えていた
駐車地点に戻って、仕切り直しで東への小径を
歩き出した
登山道の周囲はジャングルの雰囲気があった
やや急坂となってロープ沿いを登って行く 背後に海が眺められるようになった 海が広く見えるようになり遠くに伊江島も眺め
られた
石灰岩質の鋭い岩が辺りに広がり出した ガレ場を登ってくるパートナーを見る 山頂が間近に見えるようになった
一度下って樹林帯に入る ウフグシクムイを背後にパートナーが登ってくる 山頂に着くと、そこは岩場になっていた
山頂からは西に向かって素晴らしい展望が広がっていた
沖に浮かぶ伊江島を大きく見る 伊江島の中央に立つ城山(ぐすくやま)を大きく見る
山頂より北の沖合に伊是名島と伊平屋島を望む 海の色が美しい 山頂より北東方向を見る
南東遠くに八重岳を望む デーサンダームイを大きく見る 他にも石灰岩のピークが幾つか見られた
足下に見えた「癒しの展望台」を大きく見る 山頂の鋭い石灰岩を大きく見る 山頂を離れて石灰岩の中を下って行く
手前のピークに立って、山頂を見上げた ウフグシクムイを見ながら下った 鋭い石灰岩に靴底をひっかけないよう注意した
麓が近づいて公園風の森の中を歩くようになっ
登山道が緩やかになると、駐車地点はごく近く
だった
下山後に近くの丘に立って本部富士を眺める 
山頂よりも手前のピークが目立っていた