久米島を代表する山は宇江城岳とアーラ岳で、どちらも一等三角点の山だった。実際に久米島に来てみると、こちらのアーラ岳の方が風格があって登高意欲をそそられた。地形図では破線路は見られなかったが、点の記を見ると北尾根に山頂まで続く登山道がありそうだった。
このアーラ岳に向かったのは久米島に着いて三日目の2月2日で、この日の最初の山だった。レンタカーのナビをアーラ岳の北尾根辺りにセットして車を走らせると、アーラ林道に入った。アーラ林道はカンヒ桜が多いことで知られているが、2月始めはそのカンヒ桜がちょうど満開の時期とあって、車窓からは濃いピンクのカンヒ桜が点々と眺められた。登山口標識はあるだろうとの気持ちで車を走らせていたのだが、北尾根端に着いてはみたものの、どこにも標識は見えなかった。仕方なく近くの路肩が広くなっている所に車を止めて、適当に斜面に取り付くことにした。駐車地点の辺りもカンヒ桜が花盛りだった。そばの斜面に取り付くと、雑木林の空いた所を歩いて尾根筋に近づいた。すぐに尾根筋に出ると、そこに細々とした尾根道を見て一安心となった。後は尾根道を辿って山頂に向かうだけだった。尾根筋は緩やかとあって易しい尾根歩きだった。目印テープも付いていたので、その目印テープを確認しながら歩いた。尾根筋の西寄りを進むこともあったが、山頂が近づくと尾根筋を歩くようになった。周囲はずっと樹林が続いており、展望が現れないまま山頂に着くことになった。その山頂はなだらかになっている上にヤブっぽいとあって、すぐには三角点は見つからなかった。それでも丁寧に探した結果、リュウキュウチクが茂る辺りで一等三角点(点名・久米島U)に出会うことになった。ヤブ山で三角点を見つけるのは、うれしいの一言だった。そこまで展望は全く無かったのだが、三角点近くの岩の上に立ってみると、いきなりと言った感じで展望が現れた。北には伊江城岳が眺められ、東にも南にも青い海が眺められた。展望には期待していなかっただけに、これはうれしい誤算だった。ひとしきり展望を楽しむと、下山は尾根道を戻るのみ。登山道があることは何とも有り難く、目印テープを追って北尾根を辿った。この下山では登山道を最後まで歩いた。林道に下り着くと、そこは往路の取り付き点とは数十メートルしか離れていなかった。ただ目印が無いだけでなく、ぱっと見た感じでは登山口とは全く分からなかった。
(2024/3記) |