地図で一ツ岳を見ると、ごく間近を林道が通っており、登山道が無くとも僅かな時間で山頂に立てそうだった。その一ツ岳を目指したのは2022年12月の沖縄山行三日目のこと。午前に津波山を登っており、午後の山として一ツ岳に向かった。この一ツ岳の問題は長い林道走行だった。まずは多野岳を目指して海岸線の国道58号線から多野岳の標高350m辺りまで坂道を走る必要があり、一ツ岳に近づくにはその多野岳に通じる車道から分かれた瀬嵩林道を3kmほど走らなければならなかった。更に瀬嵩林道から分かれた嘉陽林道を今度は4kmほど走って漸く一ツ岳のそばに着くことになる。いざ走ってみると、瀬嵩林道は道幅こそ狭かったが荒れた感じは無く、対向車に注意するだけだった。ところが嘉陽林道は更に道幅が狭まっただけでなく、車道脇のススキが道に被さるように茂っており、絶えずススキが車体に触れることになった。レンタカーを傷付けないように細心の注意を払ってのろのろと進んだ。ただ林道には所々に「車廻し」があってすれ違いが出来るようにはなっていた。なお、一ツ岳に向かうに当たって寄り道として多野岳を先に登っており、その多野岳を終えてから一ツ岳へと向かった。そして多野岳の駐車地点を離れてから一ツ岳に一番近い位置までに30分かかることになった。
一ツ岳の点の記を見ると、山頂へは一ツ岳の北尾根に取り付いて登っているようだったが、林道と北尾根とが交差する辺りには、適当な駐車スペースが無かった。そこで少し戻った所にあった「車廻し」に駐車とした。そこからスタートして尾根端まで歩いてみると、その辺りは急斜面になっており、取り付くのは難しそうだった。そこで取り付き易そうな所はないかと引き返す形で歩くと、すぐに易しい斜面が現れた。しかもそこにはコンクリートブロックで階段が作られていた。どうやらそこが登山口で、登山コースがあるようだった。そのブロック階段を登ると、すぐに尾根に出た。その尾根にも小径があり、山頂へと易しく登って行けることになった。但し少々ヤブっぽさはあった。急坂になるとロープが張られていた。そして登山口に入ってから5分で山頂到着となった。そこに三等三角点(点名・一ツ岳)を見た。また三角点のそばには石仏が置かれていた。山頂は数人が立つのがやっとと言えそうな狭さで、周囲はびっしりと灌木やリュウキュウチクが茂っていた。これは展望とは無縁の山頂と思えたが、辺りを探ると一箇所木々の空いた所があった。また登れそうな木を見たので登ってみると、眼前の木々に邪魔をされながらも南の海岸線や近くの尾根を眺めることが出来た。下山はさっと下るのみ。下山も林道まで5分だった。取り付き点を探したりで多少時間を使ったものの、終わってみれば40分も使わぬ一ツ岳登山だった。この後は再び長い林道走行が待っていた。ただ往路、復路共に対向車と出会うことが無かったのは幸いだった。
(2023/1記) |