ぶざま岳はガイドブック「新分県登山ガイド・沖縄県の山」に紹介されている石垣島の市街地に近い山だが、山頂展望が良くないと書かれていたこともあって、2011年1月の石垣島山行では訪れていなかった。そのぶざま岳を8年後となる2019年1月の第2回石垣島山行で訪れることにした。山行三日目のことで、この日は朝から快晴で、最初に岩場のテラスから展望が楽しめる屋良部岳に登り、二番目の山としてぶざま岳に向かった。ぶざま岳の登山口は屋良部岳の登山口からは数キロと離れていないため、ごく短時間の移動だった。登山口と言っても標識は無く、そこは車道の終点位置で、南側は農地になっており牛やヤギを見た。車は終点位置の少し手前となる道幅が少し広くなっている所に止めた。登山口に入るとヤブに分け入る感じになったが、すぐに幅広の道を歩くようになった。その道はガイドブックによると元は於茂登林道で、今は廃道となった道だった。登山口の標高は50mで、山頂との標高差は270mほどでしかなかった。また歩く距離はおおよそ3kmとなるため、登山道はごく緩やかだった。樹林は美しいものの展望は無く、単調な歩きが続くため現在地を掴むのは難しいと言えたが、この日はガーミンを用意していたため現在地を掴むことが出来、後どれくらい歩けばよいかが分かって助かった。その単調な登山道歩きに変化が現れたのは、歩き始めてから46分ほど経ったときで、「川平湾絶景テラス」の標識が現れてそちらに寄り道することにした。斜面を登って小さな尾根に出ると、そこから少し下ることになり大きな岩が現れた。その岩の上がテラス状になっており、そこは本当に素晴らしい展望地だった。川平湾の全景が眺められるだけでなく西表島も望めて、石垣島にあって有数の展望地と言って過言ではなかった。そこまで歩いてきた価値は十分にあると言えた。ただいつしか雲が増えており、空の半分ほどまでに広がっていた。登山コースに戻って改めてぶざま岳を目指すと、道は荒れてきて林道であったとは到底思えない所もあった。その旧林道がごく緩やかな下り坂に変わり始めたとき、右手に目印テープが二つ現れ、そこより別の小径が始まっていた。ガーミンで位置を確認すると、その先が山頂だった。小径は真っ直ぐでない上にはっきりしない所もあって、目印テープを見失わないように慎重に歩いた。そして分岐点から5分で山頂到着となった。そこに四等三角点(点名・シーラ岳)を見るも、周囲はすっかり樹林が囲んでおり展望のかけらも無かった。そのため数分ほど佇んだだけで下山に移った。下山はひたすら旧林道を戻るのみ。基本的に緩い下り坂を歩くとあって、けっこう気楽な下山だった。一時は曇り空に変わっていた空も、登山口に近づく頃には晴れの空に戻っていた。
(2019/3記) |