2015年12月に実施した鹿児島山行では、当初の予定に開聞岳は入っていなかった。既に3回登っていたことでもあり、開聞岳を登るよりも開聞岳を眺められる山に登りたいと考えた。それが清見岳で、池田湖の東岸に立つ山だった。その清見岳に向かったのは山行2日目の12月25日で、山頂に立つと期待通りに池田湖を前景とした美しい開聞岳が眺められた。その清見岳は小さな山なので、登山を終えて車に戻ってきたときは、まだ午前11時半だった。その日は午後に薩摩半島西部の山を予定していたので、車に戻るとすぐにそちらへ向かおうとしたとき、パートナーが急に開聞岳に登りたいと言い出した。やはり堂々とした開聞岳を目の前にして登高意欲を刺激されたようだった。登りたいのであればこちらも異存は無く、即断で開聞岳に向かった。パートナーにとっては20年ぶりだったが、こちらは一年前に登ったばかりとあって登山コースはよく分かっており、昼からの登山でも問題無しと判断した。池田湖を巡る県道28号線を走って開聞岳に近づいて行くと、開聞岳の姿が次第に大きくなり、枚聞神社まで来ると見上げるばかりになってきた。麓の登山者駐車場に着くと、広い駐車場に止まっている車は少なかった。晴れてはいるものの平日とあって登山者は少ないようだった。出発は正午過ぎ。上空は晴れてはいたが、開聞岳の上空のみ雲が広がっていた。その雲が増えないことを祈って歩き出した。そこからのハイキングの様子は下の写真帳をご覧いただきたい。心配した雲は杞憂だったようで、歩くほどに陽射しを受けるようになった。これなら山頂からの展望は期待出来そうだった。一年前に登ったばかりとあって、復習しているような気分で登山道を歩いた。展望ははや5合目で楽しめることになった。そこには展望所があり、池田湖や錦江湾の風景が眺められた。但し、この日の視界はうっすらとしており、錦江湾を挟んで対峙する肝属山地は輪郭が分かる程度だった。その後はまた樹林に囲まれてしまったため展望は塞がれたが、7合目を過ぎると太平洋の方向が広く眺められた。9合目を過ぎると西の海岸線になり、その辺りから展望登山となった。北の方向が見えてくると、足下には池田湖が見えてきた。その展望は山頂で十分に楽しもうと、足を止めずに山頂に向かった。そして山頂に着いたのは歩き始めてから2時間後の14時10分だった。山頂には先着者が一人いたがすぐに下山したので、後はパートナーと二人きりとなった。往路ですれ違ったハイカーも数人だけだったので、この日の開聞岳は駐車場で予想した通り少ないようだった。一年前はすっかりガスの山頂で全く展望は無かったのだが、この日は十分に山頂展望を楽しめた。西海岸や池田湖の風景だけでなく、東の方向も少し視界が良くなっており、大隅半島の山並みがうっすらとながら佐多岬の方まで眺められた。山頂の気温は8℃ながら風があったので肌寒さを感じたが、上空はすっかり晴れているとあって、陽射しをたっぷり受けられたのは良かった。山頂でのんびりと30分ほど過ごした後、下山に移った。この日の視界は夕方が近づいて更に良くなってきたようで、5合目展望台に着くと、山頂で眺めたときよりも更にはっきりと対岸の肝属山地が眺められた。駐車場に戻ってきたのは17時前。この下山では誰一人会うことはなかった。開聞岳を振り返ると、夕方の光に少し赤みを帯びた姿で眺められた。急な思い付きで登った開聞岳だったが、十分に楽しめたとの思いを抱いて帰路についた。
(2016/2記)(2020/9改訂) |