TAJIHM の 兵庫の山めぐり <鹿児島県の山 
 
宮之浦岳    みやのうらだけ 1936m 屋久島(鹿児島県)
 
1/2.5万地図 : 宮之浦岳
 
【2020年10月】 2020-177(TAJI&HM)
 
   投石岳付近より  2020 / 10

 屋久島の宮之浦岳をいつかは登ろうと数十年来思い続けていたのだが、他の山を優先したり、行ける時間が作れても天気が良く良くなかったりと、実現が先延ばし先延ばしになっていた。その宮之浦岳登山を漸く実行に移したのは2020年10月の最終週だった。2020年に入って宮之浦岳に登りたい気持ちはいっそう強くなっていたのだが、夏頃まではコロナ禍により計画が立てられず、秋口に入っても天気が良い日は仕事が忙しかったりと、とうとう10月に入ってしまった。その10月こそは宮之浦岳登山には最適と思えて天気を注視していると、24日から数日間の屋久島は好天に恵まれると分かったとき、一気に実行に移した。それは25日を登山実行日と決めた3日前のことで、まずは移動手段を決めることにした。実行日が迫っていたことでもあり、姫路から鹿児島までは新幹線を利用することにした。そして宿を決めたまでは良かったが、一番の問題はレンタカーの予約が出来ないことだった。屋久島のレンタカーはコロナ禍による需要減少で多くを本土に返しているようで、宮之浦港や宮之浦空港での手配が出来なかった。ネットで探すのは諦めて直接電話で各社に問い合わせた結果、何とか安房港で手配をすることが出来た。それも滞在中ずっと借りることは出来ず、二日間だけだった。更に新幹線の指定席予約を出発前日にしたため、希望の列車で隣同士の席は空いていなかった。前後の列車も同様だった。自由席での移動はしたくなく、そこで裏技として指定席を姫路−広島間、広島ー鹿児島中央間で別々の席として予約にこぎつけた。更なる難関があり、鹿児島ー宮之浦港間の高速船がやはりコロナ禍で減便しており、満席の船も多いことだった。それも予約を入れる段階で直前の予約は出来ないことが分かった。とにかく見切り発車で実行に移した。
 出発は10月24日で、この日から屋久島だけでなく、関西、中国、九州一円まで数日間は好天が約束されていた。7時20分姫路発さくら543号に乗り込むと、鹿児島中央駅下車は11時04分のこと。鹿児島の空は快晴だった。鹿児島港13時発の高速船を予定していたので待ち時間はたっぷりあったが、早く船の席を確保したい気持ちがあって、鹿児島港までの移動はバスを待たずタクシーを利用した。そして無事宮之浦港までの往復チケットを手に入れたのだが、いざ乗船してみると90%を越す乗船率だったので、これはひやひやものだった。快晴の空の下、噴煙を上げる桜島を眺めながらの鹿児島港を離れた。その127便は種子島経由だったため時間がかかることになり、2時間半ほどの船旅だった。種子島の上空にもほぼ雲は見なかったのに、屋久島が見えてくるとその上空には雲が多かった。この日の宮之浦岳は雲がかかっていたようだった。宮之浦港の到着は定刻より5分遅れて15時35分だったので、15時40分発のバスには間に合わないかと思っていたが、バスが出る直前に何とか乗車出来る幸運があった。ただ大勢の人が船から下りたのだが、バスに乗ったのはこちら二人だけで、他の人は別の移動手段を持っていたようだった。そのバスを30分ほど乗って安房に着くと、安房港に近いレンタカー屋で二日間の約束で軽自動車を借りた。そしてレンタカー移動で尾之間地区にある宿には17時を過ぎた時間に到着して、この日の長い移動を終えた。
 宮之浦岳登山の実行日は翌25日。コースタイムは5時間弱となっていたので、11〜12時の間に山頂に立ちたいと考え、そこから逆算して6時前には淀川登山口に入ることにした。宿は県道592号線(安房公園線)の起点がある安房地区からは少し離れた尾之間地区だったので、安房公園線入口まで20分はかかり、更に登山口まで40分は走ると予想して、5時前に宿を離れることにした。ところが少し興奮していたのか、25日に目覚めたのは4時を過ぎた時間だった。もう一眠りしてもよいかと思ったが、早く着くのに越したことはないと、すぐに出発準備に移って4時20分に宿を離れた。宿を出たときに上空を見上げると、満天の星空だった。県道77号線を北へと走り、安房地区に近づいたときヤクスギランドの標識が現れて安房公園線に入った。程なく縄文杉コースの起点となる荒川登山口へのシャトルバスが出る屋久杉自然館のそばを通ったが、もう大勢の人がバス待ちをしていたのには驚いた。その自然館の先で淀川登山口への林道が分かれるのだが、そこに係員が立っており、この日は既に多くの車が淀川登山口に向かっていることを知らされた。そこまでも舗装路だったが、淀川林道に入っても道幅こそ細くなったが舗装林道として続いたため、スムーズに走れた。その林道では登山者を送った帰りと思われるタクシー数台とすれ違った。その林道は長く、ヤクスギランドの前を通っても今暫く走ることになった。もうそろそろ登山口駐車場に着くと思われたとき、広い路肩スペースに数台の車が止まっているのを見た。そこに登山準備をしていた人がいたので聞いてみると、はや登山口駐車場は満車とのことだった。そこで残り1台分となっていた駐車スペースにレンタカーを滑り込ませた。時刻は5時半過ぎだった。ここまで登山開始までの状況を長々と書いてきたが、登山コースは多くのガイド本で紹介されていることでもあり、この後の宮之浦岳登山の様子は下の写真帳をご覧いただくことにして、ここからはこの日の登山を感想的にさらっと記述するにとどめたい。まだ周囲は真っ暗とあってヘッドランプを付けて登山開始となった。淀川登山口まで2分ほどで、すぐに登山道に入った。見上げる上空は星空だった。足下を見るだけの登山道歩きで、40分ほど歩いて淀川小屋に着いた。その頃には漸くヘッドランプ無しで歩けるまでになっていた。そして上空を見ると、雲一つ無かった。宿で豪華弁当を作っていただいており、淀川小屋で朝食をとったものの食べきれる量ではなく、残りは昼食に回した。なお淀川小屋にはトイレが一つあり、それが山頂までで唯一のトイレだった。朝の淀川小屋は冷えており、温度計を見ると4℃と冬並みの気温だった。それでもその冷気は歩く分には快く、良い感じで登山道を進めた。コースの印象は思っていた以上に良く整備されていることで、木道や階段が多くあり、歩き難さは無かった。岩の上を歩くことも多くあり、濡れた岩も多くあったのだが、その花崗岩質の岩は意外と滑ることは無く、足がかりが良かった。ただコースは上りばかりではなく下ることも多くあり、徐々に高度を上げる感じだった。コースには500m毎に標識が立っており、山頂までの距離が示されていた。ちなみに淀川登山口から山頂までは8kmだった。一つ一つの標識を確認しながら進んで、登山口から3.5kmを歩いたときに一つのポイントが現れた。それは高盤岳展望所で、そこに立つとくっきりと山並みが眺められた。一際目立つ山は黒味岳と思われた。天気が良いだけでなく視界も澄み切っていた。その後も小花之江川と花之江河の二つの湿原を過ぎたが、木道には霜が降りていた。投石平を越すと漸く前方に宮之浦岳が姿を現した。その姿を見て少しばかり感動を覚えた。投石岳を過ぎた辺りより大きな岩を点々と見るようになり、そして徐々に宮之浦岳の姿が大きくなってくるのは宮之浦岳登山のハイライトと言えそうだった。大勢の登山者が歩いていると思っていたのだが、登山口の駐車場が狭いだけのことで、実際の登山者は数十人程度ではと思われた。そのうち10人ほどのグループが二つあったので、前後に登山者を見ることはほとんど無かった。山頂に着いたのは9時40分のこと。登山口に入ってから休憩時間を含めて4時間での山頂到着だったので、まずは快調に歩けたと言えそうだった。天気が良い上に冷気の中を登って来られたのが良かったようだった。プループを途中で追い抜いていたので、山頂にいた先着者は二名のみで、全く静かな山頂だった。早朝の冷え込みはすっかり消えており、日陰こそ13℃と低かったが陽射しに当たっていると20℃を越す暖かさに感じた。但し風はけっこう冷たく、その風が避けられる場所で休憩とした。一息つくと展望を楽しんだ。上空は相変わらず雲一つなく、くっきりとした視界の中に永田岳を始めとして周囲の山々が鮮やかに眺められた。種子島もくっきりと見えており、北の方向を望むと、開聞岳でなく霧島連山の姿も認められた。その山頂で早めの昼食をとっていると、グループ登山の人たちも到着して賑やかな山頂となった。誰もがこの幸運としか言いようのない上天気に満足顔だった。1時間ほどの休憩を終えると下山開始とした。ピストン登山とあって歩いてきたコースをなぞって戻るだけだったが、往路よりもこの帰路の方が8kmの距離が長く感じられた。それでも基本的に下る方向だったので、もうひと踏ん張りする感じでは無く、ひたすらマイペースを保って歩いた。空の澄み具合は午後に入っても変わらず、本当にこの日の天気は素晴らしかった。さすがに最後は十分に足が疲れた感じを持って登山口に戻ってきた。この後は宿のある尾之間地区へと直行したのだが、宿に入る前に尾之間温泉に立ち寄って疲れた体をほぐすことが出来た。
(2021/10記)
<登山日> 2020年10月25日 5:39駐車地点スタート/5:41〜43淀川登山口/6:21〜34淀川小屋/7:30高盤岳展望所/7:45花之江河/8:22投石平/9:08最後の水場/9:40〜10:38山頂/11:15最後の水場/12:00〜10投石平/12:42花之江河/12:59高盤岳展望所/13:54淀川小屋/14:33〜38淀川登山口/14:40駐車地点エンド。
(天気) 雲一つ無い快晴が終日続いた。未明の淀川小屋の気温は4℃だった。山頂は13℃ながら、陽射しを受けていると20℃ほどに感じられた。山頂でこそ冷たい風を受けたが、尾根歩きではほとんど風を受けなかった。視界は澄み切っていた。
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駐車地点から数分で淀川登山口に着いた 5時40分
過ぎだった
登山口に入ると階段道を登った ヘッドランプ登山だ
った
ヘッドランプで足下の登山道を追うだけだった
階段を登ることも多くあった 歩くうちに空が薄明るくなってきた 登山口から1km地点の標識を見る まだ7kmあった
ほのかに周囲が見えるようになってきた 淀川小屋に着いて朝食をとった 漸くヘッドランプの
必要が無くなった
淀川小屋は登山口から1.5kmの地点だった ここ
まで40分かかっていた
小屋でトイレを済ませると、登山を再開した 橋の上から川の水を眺めると、透明度は高かった 木造りの階段を登った このタイプの階段が多かった
自然な道はワイルドだった 周囲に朝日が当たり出した 木の根が這う所を通った
周囲は明るくなったが、足下まではまだ先だった あと5.5kmの標識を見る 朝日がまだ届かない所を歩いて行く
歩き難い所は多いものの、登山道は緩やかだった あと5kmの標識を見る 易しく歩けることもけっこう多かった
木の階段を歩く 尾根を見ることがあった 全く雲の無い快晴だった 階段にも日が届くようになった
展望所が現れた 正式名は高盤岳展望所だった 展望地点に立つと、北の尾根が眺められた 7時半とあって山並みはすっかり朝日を受けていた
コースに戻ると、緩やかに下った 小花江之河に着いた そこは湿原だった 小さな湿原だった
木道歩きで通過したが、木道に霜を見た あと4kmの標識を見る 中間地点だった 登山道はほぼ平坦になっていた
花之江河に着いた 少し大きな湿原で、ここも木道歩きだった 別の位置に立って湿原を眺めた
湿原は山頂まで3.8km地点だった 緩やかな木の階段の上り坂に入った 水の流れになっている岩の上も歩いた
木道になっている所が多く、緩やかに登った あと3.5kmの標識を見る 登山道の分岐点が現れた
黒味岳コースの分岐点で、山頂まで3.3kmだった 石のごろごろしている所を歩いた 岩場の下りがあり、ロープを掴んで下った
小さな沢を横切った 岩場を登り返した 開けた所に出てきた
大きな岩が点在する所に出た 投石平だった 岩の上に立つと、宮之浦岳がちらりと見えていた 岩場からは少し下った
登り返すと、山頂まで2.5km標識が現れた 更に登って行く 小さなピークを巻く道に入ると左手に海が眺められた

振り返って見えた
のは黒味岳だった

巻き道歩きでササ
のそばを抜けて行
くと
漸くはっきりと宮之浦岳を眺められるようになった 宮之浦岳の左手後方にちらりと見えているのは永田岳のようだった
木道を歩くと、そこは水の流れにもなっていた 道幅が狭くなった所を歩いた また前方が開けてきた

前方に見るのは安
房岳だった 丸み
を帯びた岩が点在
する風景だった

安房岳の山頂辺り
を見る
別のピークを眺めた ササに囲まれた中を歩いた 水の流れる上を歩いた
尾根を歩くのでは無く、小ピークを巻く形で歩いた また宮之浦岳が眺められた あと1.4kmの標識を見る 時刻は9時になった
山頂を正面に見て登って行く 水場が現れた 最後の水場だった 細い登山道が続いた
近くの山肌を見ると、びっしりササに覆われていた 山頂まで1kmとなった ササの中を歩いて行く
やや急坂となった 振り返ってパートナーを見た 特徴のある岩をよく見るようになった 山頂へと続く道を眺めた

階段が崩れたよう
になっている所を
通った

振り返ると峨々と
した尾根が眺めら
れた
あと500mとなった 栗生岳のそばを通って行く 巨岩を見上げたった

(←)
少し離れて前方に
登山者が歩いてい
るが、コース中に
登山者はほとんど
見なかった

 (→)
  山頂はもう少し先
  だった

(←)
岩の間を抜けて行


 (→)
  漸く山頂が目前に
  なった
(←)
宮之浦岳の山頂に
着いた 4時間か
かっていたが、ま
だ9時40分だっ


 (→)
  山頂の一等三角点
  (点名・宮之浦岳)
  を見る

登山者が山頂から
離れたタイミング
で山頂を改めて眺
めた

上空は雲の全く無
い澄んだ青空だっ


山頂から西に見え
ていたのは、屋久
島第二の高峰、永
田岳だった

(←)
永田岳山頂の左手
奥には口永良部島
が見えていた

 (→)
  北の洋上には鬼界
  ヶ島(硫黄島)が
  望めた
北から東にかけてを眺めた 澄んだ視界とあって、遠くは鹿児島北部の霧島連山もうっすら眺められた
うっすらとながら桜島と開聞岳の並ぶ姿を見る 東の洋上に見える種子島は、南北60kmあり、薄く細長く見えていた
上の写真に写る開聞岳を少し大き見る 鹿児島本土の山並みも眺められた 一番遠くに見えるのは霧島連山と思えた
登ってきた方向となる南の方向を眺めた 近くの山肌を眺めた
南西方向の海にも小島が眺められた トカラ列島の中之島と口之島だった
中之島の御岳を大きく見る 山頂では1時間ほど休んだ後、往路を引き返した まだ11時前とあって気楽な下山だった
急坂も下山は楽だった 木道歩きに移った 近くの巨岩を眺めた
卵形の大きな岩を前方に見た 岩の手前に人がおり、岩の大きさが良く分かった

栗生岳のそばまで
来た

振り返ると、もう
山頂は見えなかっ


(←)
栗生岳の横を通り
過ぎた先で、前方
の高峰を眺めた

 (→)
  翁岳に向かう形で
  登山道を戻った
モアイ像に似た奇岩を見た 山頂から1km地点に戻ってきた 前方に見えてきたのは安房岳だった
水の流れに沿って木道は続いた 草地の緩やかな道とあって、のんびり歩いた 安房岳を巻き道で通過する 前方は投石岳だった

西の海が見える位
置まで戻ってきた

小楊枝山を大きく
見る
投石平が近づくと、露岩が増えてきた 前方に黒味岳が見えてきた 足下に投石平が見えてきた 大勢の人が休んでいた
投石平で一休みとした 山頂から2.6kmだった 下山を続ける 木の根を越して行く
木道歩きが増えてきた 木道が途切れたとき、濡れた岩を歩いた 花之江河まで戻ってきた

中間点を過ぎれば
小花之江河は近か
った

時刻は13時前だ
った 午後の小花
之江河を見る
小花之江河からは黒味岳が望めた 下山を続ける この下山でも高盤岳展望所に立ち寄った
展望台からも巨岩が眺められた もうビューポイントは無いので、下ることに専念した 緩やかな下りが続く
登山口まで3km、淀川小屋まで1.5kmとなった 緩く登ることもあった 淀川小屋まで500mだっt
小屋手前の橋を渡った 水の色は早朝とは違っていた 淀川小屋まで戻ってきた 誰もいなかった 小屋から先は、早朝時はヘッドランプ区間だった
自然な道もあったが 階段が多かった 往路で見逃していた登山口まで600mの標識を見る
ごく平坦な所もあった ハシゴ段を下った 登山口が見えてきた
登山口に戻ってきた 下山にかかった時間は4時間弱
と、往路でかかった時間とあまり変わらなかった
登山口から駐車場へと戻って行く 2分ほどの距離だ
った
車に戻って帰路についたとき、屋久猿がたむろしてい
るのを見た

(←)
安房公園線を走っ
ていると、左手に
登高意欲をそそら
れる山を見た

 (→)
  その鋭い姿から愛
  子岳かと思われた