2017年も前年に続いて4月末から始まった連休は、ソウルの山を登ることにした。日程は全く同じで、4月28日が移動日だったが、航空会社を変えたため、14時前に仁川空港に到着となった。ソウル市街へは空港鉄道のの普通電車で移動すると、後は地下鉄を乗り継いで、東大門に近いホテルには16時45分の到着となった。前年と同じホテルだった。
翌29日は登山初日。ソウルは連日快晴で、この日も朝から雲一つない空だった。向かったのは清渓山で、ソウルでは一、二を争う人の多い山とかで、アプローチが簡単なことだけでなく、その人の多さにも興味があって出かけた次第だった。地下鉄新盆唐線を清渓山入口駅で降りて駅の外に出てくると、意外とハイカーの姿は少なかった。駅では1番出口から出てきたのだが、どうやら出口を間違えたようだった。2番出口側に回ると、なるほどハイカーだらけだった。もう後はハイカーが歩く方向へと一緒に向かうだけだった。南へと歩いて行くと、地上を走るようになった新盆唐線の高架下を通ることになった。その高架の手前では後一週間と期日が迫った大統領選挙の運動が行われていた。また大きな標石があり「チョンゲサン(清渓山)」の名が彫られていた。高架下を通って右手に折れると、緩やかな坂を登るようになった。まだ車道歩きで、両側は登山用品店が並んでいた。その商店街も大きな清渓山の案内板が立つ位置までで、そこは待ち合わせ場所になっているのか、大勢のハイカーが佇んでいた。案内板を見ると、583mピークのメボン(鷹峰)を山頂にしているようで、最高点となるその先の618mピーク(清渓山)は描かれていなかった。案内板の先は道が細くなり、大勢のハイカーに混じって歩いて行った。右手は渓流でハイキングの雰囲気となって緩やかな道を進んだ。いつしか沢は左手となり、案内板の位置から7分ほど歩いたとき、右手に小径が分かれた。そちらはチンダルレ・リッジ(つつじ尾根)とあり、その名に興味を持ったので登って行くことにした。ハイカーはずっと少なくなったようだった。ところがチンダルレ(つつじ)は終わったようで、落花は多く見るのに残っている花はほとんど無かった。少々がっかりしたが、それも登るほどに花を見るようになり、ちょうど満開状態の木も現れた。また登るほどに新緑の美しさが増してきた。途中に展望台があったので一休みとしたが、この日の視界は濁っており、近くの尾根も薄ぼんやりとしていた。別のコースに合流すると、そこに立っていた標識には標高376mのオンニョボン(玉女峰)まで700mとあった。道幅は少し広くなり階段の部分が多くなった。新緑は増々きれいになり、チンダルレもピンク系が増えてきて、それを楽しみながら登った。メボンに通じる主尾根に着くと、先にオンニョボンを目指して北西方向に向かった。登山道は一部で保護のためかムシロが敷かれていた。最後は階段を登ってオンニョボンに着くと、そこは広場になっており大勢のハイカーが休んでいた。また展望もあって西向かいに見えたのは冠岳山で、全姿が眺められた。そのオンニョボンからメボンはと見ると、木々の隙間からちらりと見えるだけだった。10分ほどの休憩を終えると、メボンに向かうべく引き返す形で主尾根を南東へと歩いた。少し下ったとき現れた標識を見ると、メボンまで1.7kmとあった。歩くうちに両側をびっしりとチンダルレの花が飾るようになった。そのチンダルレの回廊は長々と続き、なかなかの美しさだった。主尾根歩きとなってハイカーの数は一気に増えたのだが、一度は百人ほどの団体と出会うことがあり、これまでにない人の多さに清渓山の人気のほどがよく分かった。階段を登ることが多かったが、気が付くと階段には番号が付けられており、1000を越える数字が付いていた。登るほどに階段の登りばかりとなって少々きつくなったが、周囲はチンダルレの花が続いて雰囲気は悪くなかった。当然、新緑も美しかった。山頂が近づくと広場が現れて、そこはヘリポートになっており、また三角点が置かれていた。そこより少し登った所に現れたのが石門岩(トルムンバウィ)で、何人ものハイカーが岩潜りをしていた。それを見てパートナーもその岩潜りに加わっていた。3回潜ると精気が宿るとか。登りを続けると、階段の番号は1400を越えてきた。どこまで続くのかと思っていると、程なく岩場のピークに着いて、そこに大勢の人が休んでいた。そこがメボンかと思ったが、山名標柱があり、そこはメバウィ(鷹岩)でメボンは100m先と書かれていた。メバウィに立つと、南の方向に少し離れて電波塔が建つピークが見えていた。そこが清渓山の山頂ではと思われた。メボンまで僅かな距離だったが、近くの木陰で昼休憩とした。木陰は涼しい風もあってなかなか快適だった。20分ばかりの休憩を終えると、最後の一歩きと緩やかな尾根道を進んだ。小さな露店が点々とあり、その前を通って進むと数分でメボンに到着となった。メバウィも人は多かったが、メボンはいっそう多くの人がおり、山名標石が見えないほどだった。何ともすさまじい人気と言えそうだった。この日はメボンから先へもはっきりとした道があるのなら清渓山の最高点まで歩こうかと考えていたが、その先ははっきりしなかった。また向かう人もいないようだった。案内板やハイカーの様子からして、このメボンを清渓山として登っているように思われた。そこでこちらもメボンまでとして下山することにした。下山は登ってきた道を途中まで引き返し、清渓山駅への近道ではと思えるコースに入った。そちらもやはり階段の道で、どうも清渓山は他の山と比べても階段を歩くことが多いように思われた。そのコースもチンダルレと新緑が美しく、悪くないコースだった。下りとあってどんどん下ったが、周囲は終始樹林が続いて展望の現れることは無かった。下るうちに東屋も見られ、道の雰囲気は散策路となってきた。手ぶらで歩く人も見るようになった。新緑を楽しむために来ている人のようだった。階段が終わって沢沿いを歩くようになったが、そこまでずっと階段を下ってきたと言ってもよいほどだった。沢沿いとなって道はごく緩やかになり、程なくチンダル・リッジの分岐点が現れた。後は朝に歩いた見覚えのある道で、駅近くの商店街へと入って行った。そして高架下を通ると街の雰囲気となり、清渓山駅へと近づいた。
後日、韓国の書籍「登山地図200山」を改めて眺めると、そこでは鷹峰(メボン)を清渓山としており、標高618mの最高点ピークは望京台(マンギョンデ)の名が付けられていた。
(2017/8記)(2020/4改訂) |