TAJIHM の 兵庫の山めぐり <シンガポール
 
ブキティマサミット 163.5m
 Bukit Timah Summit (シンガポール島中部)
 
 
 
【2006年5月】 2006-32(TAJI)
 
   ブキティマ自然保護区に近いバス停のそばより  2006 / 5

 06年の5月連休に入る二日前、4月27日の午後に、突然シンガポールの会社から電話があった。機械の故障で明日来てくれと。泣く子とカスタマーには勝てません。この一言で連休予定は吹っ飛んでしまった。すぐに航空券の手配をし、翌28日のJAL721便で関西空港を飛び立った。3年ぶりのシンガポールだったが、相変わらず暑い国で、連日30℃を越す天気だった。そのシンガポールの滞在予定は4日間だったが、現地に来て5月1日は祝日(レイバーデイ)と言うことで、仕事の出来ないことが分かった。レイバーデイと言えば、日本では勤労感謝の日に相当するもので、ほとんどの会社は休みとのことだった。休日になることは考えていなかったので、どう過ごそうかと考えた。基本的にダウンタウンの散策やショッピングはきらいであり、そうかと言ってホテルで過ごすのも味気ないことである。そこで持参していた「地球の歩き方」を参考にすることにした。そして決めたのが、シンガポールの最高地点であるブキティマサミット(Bukit Timah Summit)に立つことだった。そこはブキティマ自然保護区(Bukit Timah Nature Reserve)としてハイキングコースも整えられていると書かれていた。
 シンガポールは着いた日から午前は快晴で、午後に一時しぐれる天気が続いていた。5月1日も快晴で朝を迎えたが、どうもそのような天気になりそうだった。そこで14時にはハイキングを終えることをまず考えた。ホテルを出たのは8時半過ぎ。現地までタクシーを使えば簡単なのだが、時間がたっぷりあることでもあり、公共機関を利用することにした。そこで一番近いMRT(地下鉄)の駅であるチャイナタウン駅をまず目指した。およそ12分で駅に着くとまず切符を求めたが、切符は総てICカードになっており、目的地のブキバトック(Bukit Botok)駅までの料金は2$60¢(約190円)だった。そして9時の電車に乗り込んだ。右回りの路線で行くのが近いのだが、シンガポール島をよく見ようと、乗り込んだのは島の北部を巡る左回りの電車だった。この路線は都心を抜けるとずっと地上を走る路線で、おかげで車窓風景を楽しめた。ただほとんど平坦な島だけに風景の変化は乏しく、緑豊かなことは良いのだが、多くは郊外のマンション群を眺めているだけと言うことが多かった。それと各停とあって20以上の駅に止まることになり、乗車時間は1時間はかかってしまった。さてブキバトック駅からはバス路線を使うことになる。ガイド本に載っていた171系統の乗り場はすぐに分かったが、乗る段になって戸惑ったのは、バスもICカード方式になっていることだった。運転手に現金でもよいことを聞き、そして目的地を告げて乗り込んだ。バスは始め住宅地を回っていたが、やがて丘のそばを走るようになった。少し行き過ぎているのではと思い出した頃、運転手に教えられて下車した。およそ10分の乗車時間で、料金は1$10¢(約80円)だった。ホテルを出てから2時間もかかってしまったが、予定通りに着いたことになる。次はブキティマ自然保護区にあるビジターセンターへはどう行けばよいのかだったが、手っ取り早くバス停にいた女子学生に聞くと、前方を左折すれば良いとのことだった。何のことはない、その方向を見ると、ブキティマ自然保護区の大きな標識が見えていた。そうなると左手に見えているごく低い丘がシンガポールの最高地点(ブキティマサミット)と言うことになる。本当にシンガポールは山の無い国だと思いながら、標識に従って幹線道路から左手の道に入ると、すぐにマレー鉄道の高架をくぐった。そこより100mも歩くとビジターセンターが見えて来た。来る前までは、この熱帯の国でハイキングを楽しむ人などほとんどいないのではと考えていたのだが、見事その反対で、休日ということもあってか、多くの人が来ていた。ビジターセンターの駐車場は満車で、路上駐車もされていた。そしてビジターセンターのそばから始まる遊歩道は遠くから見ても、多くの人の歩いているのが分かった。まずはビジターセンターでハイキングマップを入手し、売店で冷たいジュース(ラズベリー茶)を買う。歩き始める前に気温を見ると30℃で、前日までと比べて幾分低かった。さてどのコースを歩くかだったが、往路はすんなりメインコース(Main Road)を歩くことにした。このコースは幅3mほどの舗装路で、車も十分に通れる道だった。その道が緩やかなまま山頂に向かっている。そこを歩く人の足元を見ると、サンダル履きであったり、ランニングシューズであったり、ハイキングシューズであったりと様々で、家族連れが多かった。休日をハイキングで過ごそうと考えるのは、暑い国でも同じ思いのようだった。その路上の様子を見るだけでは日本とさほど変わらないが、周囲は鬱蒼とした樹林が取り囲んでいる。どの木を見ても総て日本では見られないものばかりで、それもけっこう高い木が多かった。中には50mを越しているものもありそうで、日本の山と比べてずいぶん高いように思われた。(こういう樹林だからこそオランウータンが住めるのではと変に感心させられた。)その樹林のために展望は無し。所々でサブコースが分かれたが、その地点には地図があって、現在地が分かるようになっていた。またコースは色分けされており、どのコースを歩いているのかも分かるようになっていた。結局のところガイドマップ無しでも歩けることになる。また東屋風の休憩所がコースそばの所々に建っており、一休み出来るようになっていた。人の多いメインコースをのんびりと歩いていたが、山頂が近づいた頃に直登コース(Summit Path)が分かれたので、それを登ることにした。そこは階段状になっており、一気に山頂に近づいて行く。但し登る人はほとんど見かけなくなった。そして歩き始めてから16分で山頂だった。山頂は公園風に芝地にされており、最高点には大ぶりの東屋が作られていた。その東屋を真昼の陽射しが照りつけていた。但し山頂の気温も30℃ほどと高くは無く、ときおり風が通ると涼しさも感じられた。ハイカーは少し立ち寄るだけですぐに戻る人が多かったが、こちらは東屋で手軽に昼食とした。そばには石碑があり、そこに標高と経緯度が記されていた。『163.63m、N1°21′16.85″、E103°46′34.95″』と。北緯1度とはまさに赤道直下である。この山頂も高い木に囲まれて展望は無かった。そこでサブコースを歩いて、少しは周囲の様子を探ることにした。まずは青コース(Quarry Road)を歩いてみたが、この道は何も見えないまま電波塔の所ですぐに終わっていた。そこで引き返し、山頂の手前で分かれるジャングルフォールパス(Jungle Fall Path)に入った。この道は急階段の下りで始まっていたが、これを登って来る人は、さすがに全員あえぎながら登っていた。そしてその服装はと言えば、もう本格的なハイキングスタイルが多かった。その急階段が緩くなると土道となったが、そのそばに休憩所が現れた。その奥が明るくなっていたので、コースを離れてその奥へと進んでみた。すると立入禁止のロープが張られていた。ただ別に危険な風にも見えなかったのでその先に行くと、そこは崖になっており、すっきりと展望が広がっていた。どうやらロープは不測の事態を防ぐためのようだった。足元には池が見え、その先は草地が続いて、その中にマンション群が見えていた。MRTから見えた郊外風景とさほど変わらなかった。再びジャングルフォールパスに戻ってハイキングを続ける。土道は湿っており、ぬかるんでいるでいる所も見られた。サブコースだけに出会う人は少なかったが、それでも数分に一人ぐらいの割合ではすれ違った。やはり昼となって空気が熱せられて来たのか、風の通らないときはひたすら蒸し暑かった。気温は30℃ほどなのだが、身体全体が汗びっしょりになって来た。もうこの蒸し暑さをむしろ楽しむ気持ちで歩くだけだったが、その暑い感じは、日本の真夏の低山歩きと似ていると言えそうだった。この後はノースビューパス(North View Path)に入り、そしてティプティプパス(Tiup Tiup Path)、ロックパス(Rock Path)と山中のサブコースを渡って、スタート地点へと向かった。おおむね緩やかな下り坂を歩くので楽なものだったが、ロックパスに入るとなぜか全く人と出会わなくなり、コースの名の通り岩場も現れて、ファミリー向きでは無くなった。道も分かりにくくなってこのまま下って行っても大丈夫なのかと少し心配になり出した頃、メインコースと合流した。もうそこからはビジターセンターは間近だった。結局は1時間半ほどのハイキングで終えたが、やはりこの暑さでは2時間が限度とも思えて帰路についた。帰りも173系統バスとMRTを乗り継いで、この日の安上がりハイキングを終えてホテルへと戻って行った。
 ところでホテルに戻って来たのは15時半。夕食どきまで今少し体を動かそうと、ホテルのプールで一泳ぎを楽しんだ。その間に上空に雨雲が広がって来た。一泳ぎで涼しくなっていたのだが、それだけで無く陽が陰るとともに気温も下がって来たようで、25℃ほどになっているのではと思える涼しさだった。そして風も出て肌寒ささえ感じられ出すと、しとしとと雨が降り出した。それをしおに部屋へと戻っって行った。
(06/5記)(10/4改訂)
<登山日> 06年5月1日 10:53ビジターセンター前スタート/11:09〜22山頂/12:33エンド。
(天気) 晴れ。淡い雲が浮かんでいる。気温はふもとで30℃ほど、山中の涼しい所で28℃とさほど高くは無かった。風が通ると涼しさを感じたが、風の通らない所はひたすら蒸し暑かった。視界はモヤがかっていた。
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バスを下りると、そこは郊外の雰囲気だった 上空は青い空が広がっていた 道路標識に「Bt Timar Nature Reserve」の文字を見てひと安心だった 左手に見える丘がブキティマサミットのようだったが、単に少し高い所としか見えなかった
ゆったりとした歩道を歩いて行く 案内標識に従って幹線道路から枝道に入った 自然公園の雰囲気が漂いだした
瀟洒な建物が現れた ビジターセンターだった 案内図には数種類のコースが描かれていた メインコースは多くの人が歩いていた
フットパスの周囲は熱帯林が囲んでいた 山頂が近づいて直登コースを登った 丘の上に出ると大きな東屋が建っていた
東屋のそばの石碑を見てここが山頂と分かった 標高は163.63mと記されていた 山頂そばには子供が多く来ており、ピクニックを楽しんでいる風だった 山頂を別の角度から見る 山頂と言うよりもすっかり公園の雰囲気だった
山頂周りのフットパスを歩くと電波塔のそばに
出た
フットパスはごく普通の散歩道だった ジャングルフォールパスに入ると急階段が始
った
どの木も高く、見上げると首が痛くなるほどだ
った
展望地に立つと、緑の中にマンション群を見え
ていた
左の写真に写るマンション群を大きく見る
ジャングルフォールパスにある小橋を渡る 別のコースにも入ったが周囲は熱帯林が続いた 少し遠くが見えたが熱帯林の風景だった

 ビジターセンターに
 戻ってきた すっか
 り汗みずくになって
 しまった

 バス停でバスを待っ
 ていると、急速に雲
 が増えてきた 午後
 はスコールが降るか
 も知れなかった