姫路と神戸をつなぐ県道65号線を西から走って行くと、加古川に架かる上荘橋を渡るとき加古川の東岸に二つの小振りな山が目に付く。一つは南東間近に見える城山で、あと一つが北東方向に見えるこの正法寺山である。加古川左岸を県道18号線が通っているが、この県道を北上すると、正法寺山がどんどん近づいて来る。山頂に電波塔を持ち、東に長々と裾野を引いたように見えるその姿はけっこう端正で、一度は登りたいと思わせる山である。
2005年5月連休はパートナーの時間が取れず、そこで近場の山で過ごすことにした。その中で向かったのが正法寺山だった。まずは遠くから眺めたく、加古川の右岸側から遠望した。加古川を挟んで見るその姿は、周りに大きな山が無いだけに目立っており、その存在感は大きかった。山頂への登山道を知らないため、地図で判断することにした。「三木」の地図を見ると、電波塔の管理道路が山の北側から始まって山頂まで続いているのが分かり、まずはこの道で山頂を踏むことにした。その道路の入口近くの空き地に駐車とした。9時が近くなっていたが、気温はもう20度を越しており、初夏が近いことを思わせる暑さだった。そしてこのところの好天続きで、風景は強いモヤのために薄ぼんやりとしたものになっていた。その舗装された車道を歩き始めると、入り口付近にゲートは無く、どうやら車でも山頂に向かえるようだった。車道はらせん状に登っており、緩やかそのもので、全くの散歩感覚で登って行けた。また周囲を樹林が陰を作っており、けっこう涼しい中で登って行けた。ただ展望は良くなかった。そして小山だけに14,5分で山頂に着いてしまった。そこには遠くから眺められたNHK三木テレビ中継放送所を始めとして、幾つかの電波塔が建っていたが、一帯は雑木が育って、期待した展望は得られなかった。また山頂まで車道が付いている山の総てに言えることだが、車道の終点にはゴミが散乱していた。少々平凡な山頂に期待外れの感じを持ったが、この山の三角点はと言えば車道のそばにあり、難なく見つけることが出来た。そしてその側に小径が南側から来ているのが見えた。どうやら麓から続いているようである。そこで下山は、その小径を辿ることにした。歩き出すと、小径は荒れも無く良く踏まれており、古くから親しまれてきた道であることを窺わせた。それに今がまさに新緑の季節で、緑の美しい木々に囲まれて小径を歩くのは、気持ちの良いものだった。緩やかな道をのんびりと足の進むままに下って行くと、麓に近づいた所で十字路に出た。そこからは駐車地点方向に戻ろうと、西方向に折れた。すると周りは竹やぶとなり、倒れた竹をくぐったりして少し歩き難くなった。ただ道ははっきりしており、そこを抜けると正法寺集落の外れに下り着いた。その後は集落の道を抜けて駐車地点へと向かったのだが、西麓の丘に達すると、そこには古墳があって、小さいながらも公園風に整備されていた。その中の1号墳は小山の形になっており、愛らしい姿を見せていた。
(2005/5記)(2020/1写真改訂) |