TAJIHM の 兵庫の山めぐり <西播磨編 
 
百間岳    ひゃっけんだけ 435m 赤穂市
 
1/2.5万地図 : 備前三石
 
【2009年3月】 No.1 2009-38(TAJI&HM)
 
    長谷川に架かる横山橋のそばより  2009 / 3

 赤穂市で400mを越す高さの尾根は黒鉄山の一帯だけだが、代表格の黒鉄山よりも僅かに高い山が黒鉄山の北西にある。高さは435mで、地図では無名だが地元では百間岳の名で呼ばれている。その百間岳の北麓、長谷川の源流部は「あこう河鹿の森」の名でハイキングコースが整備されており、そのハイキングコースの延長の感じで百間岳山頂まで登山道が続いている。
 そのハイキングコースで百間岳を目指したのは09年3月の最後の土曜日だった。国道2号線を西へと走って千種川を過ぎると、左手に清水山が見えて来るが、その清水山の横を通り過ぎたとき、左手に上組集落への道が分かれた。その車道へと入り、上組集落を抜けて長谷川沿いを進んで行くと、前方にこの辺りにしてはちょっと大ぶりの山が見えてきた。それが百間岳と思われた。横山集落の手前で長谷川の右岸に渡ると、車一台分の細道が長谷川沿いを続いていた。その細道を奥へと進むと、有年大池に着く手前で「あこう河鹿の森」の標識が現れた。その手前に数台分の駐車スペースがあったので、そこに車を止めることにした。まだ車道は続いていたが、有年大池のそばも歩きたく、その位置からスタートすることにしたものである。少しひんやりとした朝で、弱く吹く風にも冷たさがあった。空を見ると雲が多く、覗く青空は淡い色合いで、ちょっとあいまいな空だった。有年大池は南北に細長い池で、静かな湖面を眺めながら歩いて行く。道は平坦なまま続いていた。有年大池が終わっても車道は続き、程なく沢の流れに道は寸断されていた。浅い流れだったが、四駆車なら渡れそうだった。実際に沢を渡っても車の轍は付いていた。その先でまた徒渉点が現れて、そこが車道の終点だった。「あこう河鹿の森」としてハイキングコースらしさが始まるのはそこからで、まだ冬姿の多い木立の中を雰囲気の良い小径が続いていた。沢を二度渡ったことでもう徒渉は無いと思っていたのだが、その先で何度も沢を渡ることになった。それはそれで面白いのだが、増水時は少々やっかいではと思えた。小径はほぼ平坦なまま続いており、全くの散策路と言えそうだった。よく見るとアセビの木が多くあり、白い花をいっぱいに咲かせていた。ヒサカキも小さな花を付けている。所々に案内標識は立っていたが、それとは別にこの一帯が大津八幡神社、新田日吉神社、塩屋荒神社の共有林であることを示す標識も点々と立てられていた。その小径の風情を楽しみながら歩いていると、百間滝の標識が現れた。どのような滝かと思っていると、その先で現れたのは落差の少ない小ぶりな滝だった。水量はまずまずあり、姿としてはまとまっていた。その滝の上で沢を横切ると、程なく百間岳の登山口が現れた。ここまで来てようやく登り坂が始まった。ごく普通の山道で、目印の赤テープ以外にも何合目の標識も付いていた。沢沿いを南の方向に登っていたのだが、途中でその沢を離れて方向が南東となる。そちらでも別の沢に沿って登ることになった。その沢もずっとは歩かず、途中で左手の山肌を急角度で登ると尾根に出た。そこからは一気に緩やかな尾根歩きとなった。尾根はシダに覆われていたが、その中を小径ははっきりと続いていた。いつしか赤テープも何合目の標識も見られなくなっていたが、道がはっきりしているので問題なし。行く手には三角形のピークが見えている。地図を見るとそれは山頂の西隣りにある400mピークのようだった。次第にその400mピークの左手が見えるようになり、そしてどっしりとした百間岳の山頂が現れた。その山頂へ近づくのに400mピークの東側を巻くように歩くが、そのとき左手は急斜面になった荒削りの山肌を見せていた。その急斜面とは関係なく登山道は緩やかなまま続いていた。後方には山並みが広がり、その中にあってすっきりした姿を見せるのは、その周囲に点々と住宅の見える風景から石堂丸山ではと思われた。ところで登っているときにずっと西から重機の音が聞こえていたのだが、山頂が近づいて岡山との県境尾根が見えてくると、その原因が分かった。県境尾根の山陽道に近い位置が採石場になっており、そこからの音だった。何台もの重機が動いていた。山頂が近づいたとき、また八合目、九合目と標識が現れたが、どうやら途中のものは痛んで落ちてしまっていたようだった。最後、山頂には南西方向から近づいた。山頂は遠くからは雑木に覆われているように見えたが、その山頂に着いてみると、多くの雑木が切られて木立は疎らになっており、木立の間から遠くが見渡せた。この百間岳には三角点は無いのだが、なぜかケルンが一つ作られていた。さっと見渡して南西方向に露岩地が見られたので、そこで休憩することにした。赤い肌の岩で平らになっており、休むにはちょうど良さそうだった。その休憩場所からは瀬戸内が一望だった。淡く見えるのは小豆島で、その左には家島諸島、右は日生諸島だった。またごく近くに百間岳とほぼ同じ高さで見える山は、黒鉄山とその西峰だった。その風景を眺めながら遅めの昼食とした。相変わらず雲の多い空だったが、朝の空よりは青空が広がっており、淡い色合いながら空の半分ほどになっていた。陽射しが現れているときはその暖かさが快かったが、遮られているときは風も現れてけっこう肌寒かった。いかにも早春の気候と言えた。一段落したところで改めて山頂を見ると、木立に切れ目があり、そこからはけっこう展望の良いことが分かった。北の眺めが良く、遮るものも無く見渡せる位置もあった。この日の北の空は薄くモヤがかっており、うっすらと見えるか見えないかぐらいの感じで後山が望まれた。また黒尾山も見えており、視界の良い日には北部の山並みが一望ではと思われた。また西の方向も県境尾根以外に備前市の低山群が眺められた。のんびりと山頂で休んでいるうちに、空はまた曇ってきた。北の空はすっかり薄曇りになってしまった。それを見て下山とする。下山は登山コースを引き返すのみ。尾根が緩やかなだけに、下山はいたって気楽だった。足の下りるままに下る感じで、40分ほどで登山口まで戻ってしまった。そして後はあこう河鹿の森の風情を再び眺めながら、散策気分で遊歩道を戻った。その散策も朝と比べるとけっこう短く感じられ、もう終わってしまったかと言う思いで有年大池に戻り着いた。この赤穂の奥まった所に広がる森は思っていた以上に雰囲気の良い所で、新緑の候には更にその美しさを増すのであろうと思いながら、駐車地点へと戻って行った。
(2009/4記)(2018/11写真改訂)
<登山日> 2009年3月28日 10:43「あこう河鹿の森」入口スタート/10:54最初の徒渉点/11:18〜20百間滝/11:23百間岳登山口/11:38尾根に出る/12:05八合目/12:19〜13:22山頂/13:56尾根を離れる/14:05百間岳登山口/14:37最初の徒渉点/14:48エンド。
(天気) 雲の多い空で、陽射しはときおり現れる程度だった。昼頃が一番天気が良く、淡いながらも青空が空の半分ほどになる。その後は薄雲が広がり、ほぼ薄曇りとなった。気温は低めで、木陰で9℃ほど。昼には13℃まで上がったが、薄曇りとなってまた10℃まで下がってきた。風は弱いながらも冷たさがあった。視界はうっすらとしており、特に北の空は薄ぼやけて見えていた。
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有年大池の手前で「あこう河鹿の森」の標識を見た 有年大池の北端をを見る 有年大池に沿って続く車道を歩いて行った
車道を沢が寸断していた 標識に百間岳の名があった アセビが可憐な花を付けていた
 
小径は何度も沢と交差した パートナーが沢を渡っている 百間滝は小ぶりな滝だった
百間滝を過ぎて登山口が現れた 登山道は小さな流れに沿って続いていた 沢筋を離れて東へと向かう
コースは左手の急斜面を登るようになった 尾根に出ると、山頂が望めた 尾根道を歩く シダが多かったが道は歩き易かった

(←)
シダが茂っても道は
はっきりしていた

   (→)
   尾根道は百間岳に向
   かうようになった
百間岳をすっきりと眺められることがあった 百間岳が近づくと、どうも展望は悪そうに見えたが 山頂に着くと、意外と木立は空いていた
山頂の展望は悪く無かった 南の海に小豆島が淡く見えていた この岩の上に座って瀬戸の風景を眺めていた
上の写真に写る小豆島を大きく見る 山頂からは北の展望も良かった 遠方は良く見えていなかったが、上郡町の山並みが眺められた

右上の写真に写
る六道山を大き
く見る

上の写真に写る黒
沢山付近を大きく
見る

山頂にはなぜか
ケルンが作られ
ていた

下山を始めると西
に県境尾根が眺め
られた
六道山が山頂で見るよりも姿良く見えていた 下山中に尾根から北に石堂丸山を見る 石堂丸山の右手に八塔寺山を見る
帰路の「河鹿の森」では別の小径を歩いた ヒサカキが小さな花を付けていた ツツジの色が鮮やかだった