夢前町の中央を中国縦貫道が貫いており、そこより南には500mを越える山は無いが、400m台の山が多く並んでいる。その一つである芦田集落の北に位置する457mピーク(点名・芦田)を18年ぶりに登ってみることにしたのは、2018年のゴールデンウィークが終わった翌週の土曜日のことだった。前回は南尾根を登っていたが、ほぼ記憶は消えていた。それが再訪を決めた理由の一つだが、今回も南尾根を登って山頂に立つことにした。
県道411号線を走って芦田集落に入ったものの、適当な駐車場所が見つからなかった。そこで少し離れているものの菅野中学校が近い芦田橋のそばにあった空き地に車を止めた。そこからは457mピークのほぼ全姿が眺められた。前回の記録を見ると南尾根の東にある溜め池の道を暫く歩いて尾根に出たようだったので、そのつもりでまずは溜め池を目指した。農道を歩き新池のそばを通って南尾根の端に近づくと、そこに小径を見た。そこで予定を変更してその小径を歩いて南尾根を尾根端から登ることにした。小径に入るとすぐに電気柵が現れてそれを越したところ、その先にもう小径は無く灌木のヤブ尾根になっていた。ただヤブと言っても木々は疎らとあって、ヤブコギの感じにもならず登って行けた。尾根も緩やかで無理のない尾根歩きだった。登るうちに林を抜け出して歩き易くなるかと思うとシダヤブが現れたりしたが、厳しくなるようなことも無く高度を上げた。但し展望は良いとは言えず、ときおり東向かいの尾根を見る程度だった。尾根の傾斜は多少きつくなることはあっても急傾斜とまではならず、尾根端から1時間で三等三角点(点名・芦田)の置かれた山頂に到着した。そこも樹林に囲まれて展望は無かった。その山頂の西斜面は採石場になっているので、その縁に立ってみることにした。西の方向へと尾根を80mほど下ると、僅かな時間で採石場のそばに出た。そこはフェンスがあって中に入れないようになっていたので、安全に縁に立つことが出来た。そして一気に大展望を得られることになった。足下は切り立っており、まさに採石場のまっただ中の風景が広がっていた。また周囲に視界を遮るものは無く、北には明神山の姿が大きかった。その右手は七種山塊だった。その展望を楽しむと山頂に戻り、そして東へと尾根歩きを開始した。再び樹林に囲まれての尾根歩きだったが、歩くほどに雑木ヤブの感じは無くなり、雰囲気の良い樹林風景に変わってきた。また少しだが展望が現れて、北東に薬師峰を、南西に的場山を眺めることがあった。隣のピークとなる430mピークを過ぎると南の方向へとはっきり下り坂になった。その下り坂に入ると岩場が多くなり、それと共に俄然展望が良くなった。西に葛城山、南に伊勢山が眺められた。下るうちに書写山や谷山の尾根も現れた。この素晴らしい展望は予期していなかったため、ちょっと贅沢をしている気分になれた。それも中腹辺りからは南尾根と同様に樹林帯へと入り、展望は消えることになった。ただこちらの尾根の方が歩き易いようだった。林道の方向へと南西尾根に入ると次第に尾根筋がはっきりしなくなった。そこで林道に出るべく西斜面に入った。その西斜面も傾斜はさほどきつくは無く、木々も疎らとあって無難に下って行けた。最後は溜め池から続く沢のそばに着くと、その沢を渡って林道に出た。林道を数分も歩けば電気柵が現れて、それを越すと芦田集落は近かった。その集落を通っているとき一軒の家の前に家人がいたので、山のことについて聞いてみた。すると地元では三角点の位置辺りは高森(たかもり)と呼んでいるとのことだった。それなら山名を高森としても良さそうに思えた。後は集落を抜けて駐車地点へと戻って行った。
(2018/5記) |