神鍋山と聞けばスキー場の山と反射的に思ってしまうが、山頂は火口になっており、火口風景を求めて軽いハイキングを楽しむことが出来る。その考えで向かったのは2013年4月末の日曜日で、氷ノ山登山の翌日だった。前日も天気は良かったが、この日も朝から快晴で雲一つ見られなかった。神鍋山が間近になったとき、道の駅「神鍋高原」が現れた。そのそばにあるかんなべ温泉「ゆとろぎ」の駐車場なら午前中は迷惑にならないだろうと、そこに駐車した。もう神鍋山まで僅かな距離だった。神鍋山に近づくと、その斜面は草地になっているのだが、そこに点々と人影が見られた。どうやら山菜採りと言うかワラビ採りをしているようだった。その斜面を登って行っても良かったが、往路としては車道を歩くことにした。車道は神鍋山の南面をつづら折れで山頂へと続いているのだが、入口には「噴火口」の標識が立っていた。車道を歩き始めると、そばには石仏が所々に置かれていた。そのことよりも車道からは蘇武岳の尾根が眺められて、その方に目を奪われた。また少し進むと右手の斜面にボタン桜の林が現れて、それが見頃になっており、それも目を楽しませてくれた。車道だけに終始緩やかで、車道の入口から25分で山上公園に出た。東屋があり、車道はそこまでだった。その山上に立つと、目の前にどんとばかりに火口風景が広がっていた。その火口の縁を遊歩道が巡っており、左回りで歩き始めた。火口の北側が神鍋山のピークになっており、そちらを目指した。ピークが近づくと、火口縁の遊歩道とは別にピークに通じる遊歩道が分かれた。分かれたと言ってもすぐにピークに着いた。そこは樹林に囲まれており、特に目印も無かった。目印と言えば一角にNHKの通信設備が建っていた。そのまま遊歩道を歩いて行くと、スキーリフトの最高点に出た。次に目指すは三角点だった。地図を見ると別のスキーリフトのそばに三角点記号が付いていた。その一体は芝地になっており、あっさりと三角点が見つかるものと思っていると、そうはいかなかった。スキーリフトの周りにも、近くにあった「神鍋発祥之碑」の周りにも見当たらなかった。ヤブならいざ知らず、見通しのきく所で見つからないことが解せなかったが、何としても見つからないので諦めることにした。代わりに目に付いたのがワラビだった。多くの人は中腹辺りで採っていたので、まだ山頂近くには多く残っているようだった。涼しい風に吹かれながら暫しワラビ採りを楽しんでいると、どうも午後も続けてハイキングをする気が無くなってきた。ワラビ採りでひととき過ごすと、後は草原の中を適当に下って行った。そして駐車場に戻ると、この日のハイキングはここまでとして帰路につくことにした。
(2013/5記)(2021/3改訂) |