加西市の普光寺を起点とするハイキングは、行者道を歩いて鎌倉山に向かうのが定番だが、この山域で最高峰となる原山を目指すのも悪くないと思えたのは2015年11月のことだった。原山に初めて登ったのは1998年のことで、そのときは明楽寺町から歩き始めていた。その原山を行者道経由で目指そうと決めたとき、幾つかあるピークにも立ち寄れることになるので、そのことにも興味が湧いてきた。
向かったのは11月の最終土曜日で、朝の空は快晴だった。国道372号線で加西市に入ると、県道716号線を北上した。県道24号線に合流して河内町に入ると普光寺の案内標識が現れたので、後はそれに従うと普光寺が見えてきた。その普光寺には参拝者用の駐車場とは別にハイキングに来た人のための駐車場があり、ありがたくそちらに駐車した。そばにはハイキングコースの描かれた案内板があり、それを眺めてから行者道に通じる登山道に入った。右手にゲートボール場を見ながら植林地を抜けると、幅広の道となった。その車道ほどある道を少し歩くと、右手に登山口が現れた。登山道は始めは植林地の中を小さな沢に沿いに続いていたが、一部は水害によるものかけっこう荒れていた。その沢筋を離れると植林地の中をつづらに登った。途中で送電塔(播磨線135番)に出会うとその先で登山道が二手に分かれたが、そこは右手を選んだ。その位置から10分ほど登ると尾根に出た。その尾根の道が行者道だった。近くにピークがあったので、北に向かわず先に南へと歩いた。送電塔(播磨線136番)があり、その先の389mピークに着くと、「釈迦如来」の石仏を見た。そこは少し展望があって、鎌倉山の姿が西向かいに眺められた。南に歩くのはそこまでで、引き返して北に向かった。普光寺からの合流点を過ぎて、次のピークへと自然林の中を登って行く。鞍部から100mほど登って着いたのが鉢尾峰(大天井)と名付けられた461mピークで、そこは南の方向が開けており、逆光の中に志方城山が眺められた。その次のピークは小天井だったが、鞍部まで下りてみると右手に巻き道コースが分かれていた。この日の目的は原山だったので、原山への近道となる巻き道コースに入った。その巻き道で小天井をパスすると、原山を目指して北東へと延びている尾根を進んだ。道こそはっきりしていなかったが、自然林の尾根は無理なく歩けた。目印テープを見かけることがあったが、尾根筋がはっきりしていたのでテープを気にせず歩き易い所を選んで歩いた。ときおりきれいに紅葉した木を見かけた。尾根はごく緩やかで、易しい尾根歩きだった。尾根なりに歩いていると自然と北に向かうようになって、原山へと近づいた。その北に向かい出したとき、木立の空いた所から笠形山が意外と近い位置に眺められた。原山への道も易しく歩けて、上り坂が現れると、それを登りきった所が原山の山頂だった。二等三角点(点名・貴船)の周りは開けていたが、周囲は樹林が囲んでいた。それでも東の方向に少し展望があって、西光寺山が覗いていた。前回は北方向に展望があって笠形山が見えていたのだが、そちらはすっかり樹木が育ってしまったようだった。山頂に立っていると冷たさのある風を受けたため、東斜面側に入って陽射しの当たる所で昼休憩とした。辺りをよく見ると色付いた木立も見られ、晩秋の雰囲気を味わいながら休んでいた。原山の山頂で20分ほど過ごすと、下山はすんなりと往路の道を歩いて戻った。再び雑木林の中を静かな尾根歩きだった。この帰路では小天井のピークに立った。行者道が通るピークは大なり小なり展望があったが、この小天井は北側が開けており千ヶ峰が眺められた。その右手は木立に邪魔をされていたため手頃な木に登ってみたところ、千ヶ峰や篠ヶ峰だけでなく先ほど立っていた原山まで一望出来たのは良かった。小天井を後にすると大天井には向かわず、巻き道を歩いて普光寺に向かった。途中で往路コースと合流すると135番鉄塔が現れ、そして登山口へと下りて行った。駐車地点まで戻ってくると、そこにも少しは紅葉が残っており、それを眺めたり本堂に立ち寄ったりと、暫しの散策を楽しんだ。
(2016/1記)(2020/9改訂) |