国道312号線のそばに立つ初鹿野山は、その豊満な姿で市川町ではけっこう目立つ山である。その初鹿野山を16年ぶりに登ろうと向かったのは2019年の3月中旬だった。前回の2003年では初鹿野山と東隣の奥山とをセットで登ろうとしたため二つの山の間に車を進めて、そこより斜面を登って初鹿野山の南尾根を歩いて山頂に立っていた。今回も南尾根を辿るつもりだったが、地図に描かれている破線路の起点となる播但道側から登って行くことにした。その尾根コースへは播但道の高架下を通るのだが、国道312号線側から枝道に入って播但道の高架下に来てみると、なんとそこにフェンスが張られており車だけでなく人も入れないようになっていた。こうなると南尾根コースは諦めざるを得なかった。他の山へ行くことも考えたが、初鹿野山を別ルートで登ることをまずは優先することにした。そこで国道312号線を北へと走って初鹿野山の北面側に向かっていたところ、貝野橋東交差点に来たとき、初鹿野山の西面側に作業道が付いているのを見た。そこで西面側から山頂を目指すことにした。交差点からは東へと新しい道が作られようとしており、その起点の辺りに数台分の駐車スペースがあったので、そこに駐車とした。始めに作りかけでまだ車の通らない広い車道を歩くと、すぐに西面側に向かえる作業道が分かれた。その坂道となった作業道に入るとすぐに作業小屋の前に出た。そこより作業道は南へと向かい出し、初鹿野山の西面側を歩くことになった。西面側は植林地になっていたが、作業道に近い辺りは草ヤブになっていた。その草ヤブに分け入って植林地に近づくとネットを越すことになったが、ネットは倒れている所もあって簡単に中に入れた。植林地はやや急坂ながら下生えは少なく、無理なく登って行けた。尾根筋を辿るようになると、そこにはネットがありネットの向こうは雑木林だった。植林地にシダが混じって歩き難くなるとネットを越して雑木帯に入った。その雑木帯がヤブっぽくなると植林地に戻った。ほぼ尾根筋を登って小ピーク(標高313m地点)を越した。尾根の傾斜がきつくなったときシダヤブが現れたが、やっかいだったのはそこだけで、ヤブを抜けるとスムーズな登りとなった。そしていつしか市川町と神河町の境界尾根を登るようになった。残念だったのは展望が現れないことで、雑木帯であっても植林帯であってもそれは変わらなかった。標高が450mを越して漸く尾根の傾斜が緩んできた。その緩んだ中で緩やかに下り緩やかに登って山頂到着となった。山頂も檜の植林地で展望は全く無く、単にピークハントをしたと言う印象だった。前回はそこそこ展望を得られたのは植林が幼木であったためで、今はすっかり生長したとあってもう展望は諦めざるを得なかった。往生際が悪く少し尾根を東へと歩いてみたが、ただ植林を眺めるだけだった。どうやら二度目の初鹿野山は平凡な印象となってしまった。山頂で手早く昼食を済ませると、往路を辿って下山とした。目印の無い尾根を適当に下るとあって、一度北の尾根に入ってしまったが、そのとき展望が現れて北の方向を眺めることが出来た。その地点から町境尾根に戻るときにシダヤブに突っ込んでしまい、少しばかりヤブコギをした。往路コースを辿るようになると、展望に注意しながら下った。そして周囲が雑木林に変わったとき七種山の方向が僅かばかり眺められるときがあり、展望に関してはこの程度かと納得して、後は急斜面を滑らないように注意しながら麓の作業道を目指して下って行った。
(2019/3記) |