兵庫の北西端に近い一等三角点の山が孤高のごとくあるとなれば興味は当然起きるもので、初めて目指したのは1999年5月のことだった。三成山の登山コースに関する知識は全く無く、その山の形から稜線歩きを長く楽しもうと、北の尾根に取り付いて「U」の字の形をなぞるようにして山頂へと歩いた。その登山がヤブコギとなってけっこう厳しく、おまけに展望にも恵まれなかった。そのため三成山には若干の失望感を持つ形で終わってしまい、再訪をしたいという気持ちは起きてこなかった。その三成山がガイド本「たじまハイキング」に取り上げられたことで、改めて興味が湧いてきた。登山コースを変えれば面白さが出てくるのではとも思った。更に兵庫100山として選ばれたのを見て、この山を見直すことにした。ただ山頂近くまで林道が付いていることを思うと、この三成山のみを目指しての気持ちは起きず、他の山との組み合わせで考えた。そこでいつ行こうかとタイミングを図っていたのだが、諸寄港に近い千々見山登山を計画したとき、午後の時間に三成山にも立とうと漸く行動に移した。
向かったのは2010年4月の最終日のこと。こちらはゴールデンウィークに入っていたが、パートナーは仕事とあって単独で向かった。午前の千々見山は標高は三成山の半分ほどの小山のうえに、しかも遊歩道も付いており、ごく気楽なものだった。その千々見山を離れたのは13時前だった。まだ食事をしていなかったので、途中の浜坂の町で昼食をとり、おもむろに三成山へと向かった。考えていた登山コースは、単純にガイド本「ふるさと兵庫100山」に紹介されていたコースを歩くことだった。それは後山集落の南詰めから始まる林道をひたすら歩いて山頂に近づき、後は登山道で山頂に立つ。下山は南東へと続く登山道を歩くというものだった。田君川沿いの車道を南下して最奥の民家を過ぎると、車道は車一台分の幅しかない林道に変わった。川沿いを進むうちに林道は二手に分かれたが、川沿いから離れて右手方向に上り坂になる方が三成山へ向かう林道だった。但し駐車のために川沿いの左手の林道を50mほど進み、橋の手前にあった路肩スペースに車を止めた。この日のハイキングの様子は写真帳を見ていただきたいが、天気に少しばかり惑わされてしまった。午前は雲が多いながらも晴れた空だったが、三成山登山を始める頃にはほぼ曇り空に変わっており、ときおり陽射しが漏れるぐらいになっていた。それも登山を始めると陽射しが消えてほぼ曇り空となった。そして途中では小雨も降ってきた。ただ小雨は長くは続かず、すぐに止んで曇り空に戻った。その後は陽射しが現れたかと思うと小雨が降ってきたりと、ころころと変わった。そしハイキングを終える頃は再び小雨となっていたが、車に戻ったときを境に雨は強い降りへと変わった。その天気のことは別として、まずは午後の数時間での手頃なハイキングを楽しめた思いで終えることが出来た。そして三成山の印象はと言えば、前回よりも少しは展望があり、また下山で歩いたコースは自然らしさがあって多少面白味があったのではと思えたものの、兵庫の100山として選ばれるだけのインパクトは特に感じなかった。やはり一等三角点の山として、それに兵庫の北西辺に位置する地域性が加わって選ばれたのではと思われた。
(2010/5記)(2021/10改訂) |