婆々山を登る楽しみに上部フライト基地からの展望があるが、その楽しみを裏切られたのは2018年10月7日のことだった。晴れ時々曇りの天気予報を信じて婆々山に向かったところ、播州南部こそ晴れていたものの神河町まで来るとほぼ曇り空に変わっていた。ハイキングに入るとスタート時こそ少し青空が見られたが、山頂が近づくと黒い雲が上空を覆うようになり、山頂に立った頃より雨になってしまった。その後はガスに囲まれてとなり、すっかり意気消沈して下山したものだった。その天気が翌日は快晴が期待された。そこで胸のもやもやを解消すべく改めて婆々山を登ることにした。前日は南麓の馬場山キャンプ場から始まるハイキングコースを起点から歩き出していたが、この日は同じコースを登る予定ながらも出来るだけ車で林道を走ることにした。そうなると時間が余るので、午前は同じ朝来市内の低山である衣笠山で過ごすことにした。
その衣笠山の登山を昼前に終えると、すぐに婆々山へと移動した。ハイキングコースとなる林道は前日に歩いたばかりとあって勝手は分かっており、荒れた所が現れても気楽に車を進めた。そして下部フライト基地のそばを通りNTTの基地局を過ぎたとき、一般車通行禁止の標識が現れた。別に車止めは無かったのでその先も車は進められたが、標識に従って標識近くの空き地に車を止めた。そしてハイキング開始とした。そこから山頂まではおおよそ1.3kmほどの位置だったので、登山道の入口までなら500mほど歩くだけだった。上空を見上げると天気予報通り快晴と呼べる空になっていたが、雲は少し多めだった。そして視界は前日の雨で現れて、くっきりとしていた。登山道に入ると7分で広々とした芝生広場に出た。パラグライダーの上部フライト基地だった。山頂をパノラマ展望台としていたが、その名はフライト基地にこそ相応しく、暫しの時間展望を楽しんだ。前面に広がる生野高原だけでなく、左手には粟鹿山、右手には須留ヶ峰、北の方向も眺められて遠くは但馬妙見山、蘇武岳も望めた。フライト基地では軽い昼食もとったりして30分ほど休んだが、その短い時間の間に雲は減ってすっかり快晴となった。北東には明るい山頂が見えており、いよいよ山頂を目指した。前日は登山道のままに歩いたため、山頂へはトラバースする形で北東側に回ってそちらから近づいたが、この日は真っ直ぐ山頂へと直進した。傾斜はきついもののヤブの部分は無く、むしろしっかり登る感があって悪くなかった。10分も登れば山頂に着いた。アセビの茂る山頂の展望は良いとは言えなかったため、小休止にとどめてすぐに山頂を離れた。そして東へと登山コースに入った。そちらに向かったのは北の展望を楽しむためで、少し下ると別の展望地に出た。そこからは東から北までが眺められて、フライト基地とは違った風景が楽しめた。これで展望に関しては十分に楽しんだことになり、前日のもやもやはすっかり解消されていた。後は登山コースのままに歩いて駐車地点へと戻って行った。
(2018/11記) |